溝端淳平:「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」吹き替え版声優に 「男性の肉体美を見て」

「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」の日本語吹き替え版でファルコンの声を担当した溝端淳平さん
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「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」の日本語吹き替え版でファルコンの声を担当した溝端淳平さん

 米マーベル・スタジオの最新作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(アンソニー・ルッソ監督&ジョー・ルッソ監督)が4月29日に公開された。人類を数々の危機から救ってきたアベンジャーズが、政府の管理下に置かれることを巡り、賛成するアイアンマンと、反対するキャプテン・アメリカが対立するという異常事態に陥る。今作の日本語吹き替え版で、キャプテンとは固い友情で結ばれている元米空軍兵士ファルコンの声を担当した俳優の溝端淳平さんに、4度目となるファルコン役への意気込みやファルコンの魅力、さらに、アベンジャーズ初参戦となる“あの助っ人”について話を聞いた。

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 ◇「人間の核的なものに触れた深い話」

 開口一番、溝端さんは「僕が今まで見てきたアベンジャーズシリーズの中で、ストーリー的には一番好きですね。しっかりした話というか、男同士の正義感の違いや2人(アイアンマンとキャプテン・アメリカ)の人間臭さが出ていて、本当に面白い作品なんです」と絶賛する。

 溝端さんによると「ずっと、国への貢献といったことを考えずに生きてきた中で、やっぱり正義とは集団的なことで、自分の正義だけでは決められない。そういう考え方になっているアイアンマン」と、第二次世界大戦と“今”の両時代を知り、「ずっと国に忠誠を尽くしてきた中で、正義というものが時代によってどんどん変化していく。そういうものに振り回されず、自分の正義を貫こうとするキャプテン(・アメリカ)」、この両者の違いが色濃く表れているという。

 「2人の言っていることはどちらもすごく理解できるし、その対比がものすごく面白い。これはもう、ヒーロー同士の戦いではなく、人間的かつ心理的な、“人間の核”的なものに触れた、すごく深い話になっているんです」と指摘する。

 ◇4度目で欲と余裕が生まれた

 溝端さんがファルコンの声を担当するのは、今回で4度目だ。「最初の頃は、(演じるアンソニー・マッキーさんの)ちょっとした息遣いだったり、英語のリップ(唇の)の動きに合うように日本語訳を言ったりするのが本当に難しく」感じたといい、アクションシーンなどは、普段、自分が演じる時の要領でついつい体を動かしてしまい、その都度、「マイクから離れないでくださいと注意され、マイクの前であまり身動きせずにお芝居しなければいけないことに慣れていなかった」と苦笑交じりに語る。

 しかし、「この仕事をやらせていただいてから、吹き替えというものをしっかり聞く」ようになり、ほかの吹き替え版の映画を見る際には、「英語字幕を読みながら、日本語の吹き替えを同時に聞く」などの準備をしてきたことで、今回は、現場でしばしば変わる台本にも自分から言葉を提案するなど「どんどん欲も出て、シリアスなシーンも結構多く、その中でファルコンがジョークを言ったりするのは難しいんですが、それがむしろ楽しい」と感じられるほどの余裕も生まれたという。

 結果、収録は予定していた3分1ぐらいの時間で済んでしまい、「物足りなくて、もっとやりたいと思うぐらい(笑い)、今回はのめり込んでやれました」と充実した表情を見せる。

 ◇今回のファルコンは…

 そのファルコン。今回は、これまで以上にキャプテン・アメリカとのつながりを強く意識させるという。「キャプテンとのあうんの呼吸というか、無二の相棒感は、すごくありますね。これだけいろんなヒーローが出ていると、いろんな意見が飛び交ったり対立もあったりするんですけど、その中でもファルコンは、キャプテンという男を無条件で信用している。キャプテンが右に行くなら右に行く。多くを語り合わずともキャプテンに寄り添っていく。その、絶対的な絆の強さを感じました」と語る。もともと「弱みを他人に見せない、真面目過ぎるがゆえに不器用」なキャプテン・アメリカのファンだという溝端さんは、ファルコンの、キャプテン・アメリカに対する信頼の強さを改めて確認できたことがうれしかったようだ。

 中でも、映画の後半でファルコンが「キャプテンのことを思うがゆえ」に、アイアンマンとキャプテン・アメリカ、2人にとってキーパーソン的な役割を果たす場面は、ファルコンを演じ、思い入れがある分、「(エピソードとしては)そこまでスポットは当たっていないんですけど、すごく大事なシーン」になったという。ちなみに、ファルコンのアクションシーンもこれまで以上に多いので、ファルコンファンはお楽しみに。

 ◇女性、男性、両方にイケる

 さて、マーベルファンにとって興味津々なのは、“あのヒーロー”とアベンジャーズの“競演”だろう。あのヒーローとは、スパイダーマンだ。自身も大ファンという溝端さんは、「アイアンマンがスカウトして来るんですけど、今回のスパイダーマンは、“スパイダーボーイ”といわれるぐらいの、たぶん、少年というか高校生ぐらいなんです。メイおばさんもすごく若返っています。(年齢的には)『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)の前ぐらいかな。演じている役者さんが若いというのもありますが……」と解説し、製作者側が今後、スパイダーマンシリーズとしても、「すごく長い目で考えているのでは」との見方を示す。

 “ヒーローもの”となると、劇場に足が向きにくいという女性もいるだろう。そこで溝端さんに、女性客に向けたメッセージをお願いすると、「まず、出てくる人はみんなカッコいい(笑い)。(キャプテン・アメリカ役の)クリス・エバンス、(アイアンマン役の)ロバート・ダウニーJr.、どちらもすごい肉体美ですし、ほかにもすてきなカッコいい男性がたくさん出てきます。ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソンさん)のような、本当にすてきでセクシーな女性も出てきます。キャプテン派かアイアンマン派か、どちらを彼氏にするかという話題で盛り上がれるんじゃないかな(笑い)。それぐらい今回は、ただのヒーローものではなく、人間像がきちんと表現されているので楽しめると思います」とアピールする。

 その一方で、「男性は絶対気に入ると思います。今回も話がすごく深く、友情だったり、正義だったり、しがらみだったり、そういう中で戦っている、メインの2人も含めたアベンジャーズのメンバー全員に感動できますし、すごく骨太な作品なので、コミック好きの大人の男性でもイケると思います!」と太鼓判を押した。映画は4月29日から全国で公開中。

 <プロフィル>

 1989年生まれ、和歌山県出身。2006年、「JUNONスーパーボーイコンテスト」でグランプリを受賞し、ジュノンボーイ史上最多となる40社の芸能事務所からのオファーを受けて芸能界入り。ドラマ「生徒諸君!」(07年)で俳優デビューし、「ハチワンダイバー」(08年)でドラマ初主演を務める。映画デビュー作は08年の「ダイブ!!」。以降、映画やドラマ、舞台で活躍。最近の作品に、映画「ボクは坊さん。」(15年)、「珍遊記」(16年)、ドラマ「わたしをみつけて」(15年)、「初恋芸人」(16年)などがある。5月からNHK-BSで放送される「立花登青春手控え」で時代劇初主演を務める。

 (インタビュー・文・撮影:りんたいこ)

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