日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)90」で今回から、企業ブースの会期がこれまでの3日間から2日間に縮小され、場所もそれまでの4階の西3、4ホールから1階の西1、2ホールに変更された。エンタメ系以外の一般企業が参加するようになった企業ブースのあり方や現状について出展企業の本音を聞いた。
ウナギノボリ
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企業ブースは、コミケの中でも異色な存在として誕生した。コミケは元々「同人誌の頒布」が目的だったが、「プロやアマチュアの垣根を越えた表現を模索する」という狙いのもと、当時の準備会や参加者の意見が割れる中で、1995年夏から導入され、96年冬から本格的にスタートした。だが今では、会場では限定グッズ、先行販売グッズが出そろうため、それを目当てに来場者の列ができる人気スポットとなっている。
当初は出版社やアニメ会社、ゲームメーカーなどのエンタメ系企業が主力だったが、コミケがメディアに取り上げられるにつれて、参加者の情報発信力の高さやプロモーション効果の高さが知られるようになった。近年は、NHKなどのテレビ局をはじめ、地方自治体、サントリー、グーグル、マイクロソフト、ホンダなどエンタメと無縁の企業なども参加するようになり、出展を希望しながら落選するケースも多い。
ただし、売り上げとは別のプロモーション面では「歓迎しない」という声が強くなった。別の出展企業は「コミケは、買う楽しみもあるが、体験する楽しみもある。最終日に店じまいしたブースでも等身大ポップを置き、それを目当てに撮影する人もいた。最終日のダラダラが大事だったりする」という指摘があった。また、業界関係者がそろって意見交換をする時間がなくなるという意見もあった。
会期や場所の変更より、別の問題を指摘する意見もあった。あるアニメ会社の社員は「企業ブース自体が踊り場に来ているのではないか。出展企業も手慣れてきたため、良く言えば完成度は高いが、悪く言えばサプライズがない。プロモーション効果も弱くなっているから、今後に向けてさまざまな企業が新しいことを考えるはず」と現状のマンネリ感に危機感を示した。
また、「今回のコミケの話題は、一般ブースに登場した「T.M.Revolution」の西川貴教さんに話題をさらわれた。その原因は、パワーのある作品を生み出せなかったため」という厳しい指摘をする関係者もいた。次回以降、プロモーション、作品制作ともに、エンタメ系企業の腕の見せどころといえそうだ。
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