女性の落語家は、まだまだ男性に比べて少数だが、確実に増えてきた。「女性だから」ともてはやされる時代から、いずれ実力が問われる競争の時代へと変わっていく。春風亭ぴっかり☆さんは、春風亭小朝さんに入門してまだ10年の若手だ。昨年に続き、東京、大阪、名古屋の3大都市で落語会「ぴっかり☆夏祭り!」を開催中だ。若手としては異例の落語ツアーに挑むぴっかり☆さんに聞いた。
ウナギノボリ
10年前の朝ドラ「花子とアン」 当時の吉高由里子インタビュー
ぴっかり☆さんは、東京の落語会では「師匠」と呼ばれる「真打ち」を目指す若手「二ツ目」の一人。落語ツアーは2回目だが、3大都市に加え、松山でも会を開く。スペシャルゲストとして、いわばライバルでもある同世代の女流芸人を迎えた。
なぜ、この会を企画したのか。「やっぱり落語家が一人で出て行くのは難しいです。女性パワーを見せつけたいと思いました。女流芸人もそれぞれ個性があって、それをお客様がチョイスできる時代になりました。今回は、いろんなタイプの方に出演をお願いしました」と語る。
師匠の小朝さんは2003年、落語界を活性化しようと「六人の会」を結成した。声をかけたのは、笑福亭鶴瓶さんを筆頭に、林家正蔵(当時はこぶ平)さん、笑点の司会で注目の春風亭昇太さん、立川志の輔さん、柳家花緑さんという、現在の落語界の中心で活躍している落語家ばかり。これが「落語ブーム」と呼ばれ、今の人気にもつながっている。弟子は師匠の後を追うかのように、企画力を駆使して、落語を知らない人に聞いてほしいと願っている。
師匠、小朝さんの存在は「師匠は、分かりやすく言えば、憧れの先輩です。私が中学生だとしたら、私とは世界が違う高校生の先輩で、ずっと憧れが続いているんです。今でも、毎日、師匠に会う時は緊張します」と表現する。
そんな小朝さんの弟子に対する姿勢も変わってきたという。「師匠は『女流が増えてきたから特別感はもうない。君がこの風貌できちんとしたことをやらないと、何年後かにはいないから。地に足をつけなさい』とよく言われます」と話す。声のトーンなど、今まで小朝さんからオーケーだったところを矯正されるなど、「師匠のダメ出しは今までとは変わってきている。今は自分の落語の質を高めていきたい」とさらなる高みを目指す。
落語が初めての人に見てほしいとぴっかり☆さんは願っている。「落語への入り口はなんでもいい。この子、好みだな、でもいいんです。まず、聞いてもらわないことには何にもならない。好みの子を見つけに来てください。そして、新しい方に興味を持ってもらいたいのはもちろんですが、自分の毎年のステップアップを見てほしいと思います。面白くなかった、と思われないように。新しいお客さんを増やしたいんです。それは並大抵ではないことですが……」と前を向いた。
「春風亭ぴっかり☆2016サマーツアー『ぴっかり☆夏祭り!』」の今後の日程は、東京・日比谷コンベンションホールが21日午後2時半。ゲスト・林家あずみさん(三味線漫談)、27日午後2時半。ゲスト・林家つる子さん。松山・ひめぎんホールは28日午後5時半。ゲストは三遊亭美るくさん。大阪・トリイホールは29日午後7時。ゲストは桂鞠輔さん。愛知・大須演芸場は30日午後7時。ゲストは一龍斎貞鏡さん(講談)。詳しくは、公式ホームページ「ぴっかり☆倶楽部」(http://pikkari.club/)。(油井雅和/毎日新聞)
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