ROLLY:“濃縮ボーカル”で「燃えろいい女」を熱唱 70年代の邦ロックカバー第2弾を語る

アルバム「ROLLY’S ROCK THEATER~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその光と影~」を発売し取材に応じたROLLYさん
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アルバム「ROLLY’S ROCK THEATER~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその光と影~」を発売し取材に応じたROLLYさん

 ミュージシャンのROLLYさんがこのほど、1970年代の日本のロックの名曲をカバーしたトリビュートアルバムの第2弾「ROLLY’S ROCK THEATER~70年代の日本のロックがROLLYに与えた偉大なる影響とその光と影~」(キングレコード)を発売した。昨年、発売した第1弾と合わせて「前回は70年代前半風で大人っぽく、今回は自分が中学生ぐらいだった70年代後半風で、曲の“質感”がカラフル。ビートルズでいうと赤盤と青盤ですね。2枚で1セットというイメージ」と語るROLLYさんに楽曲への思いを聞いた。

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 ◇ショッピングモールでのライブで手応え 名曲を“ROLLY色”に

 第1弾の発売時には、ショッピングモールなどで無料のライブを行ったROLLYさん。「私のことに、まったく興味がなさそうな、おじいさんとおばあさん、その息子夫婦、孫……みたいな人々が(収録曲の)『タイムマシンにお願い』『たどり着いたらいつも雨ふり』を演奏すると、足を止めてとても喜んでくれました。『ギターを持っているタレントだと思っていたけど誤解していた。聴いてみたら、いいじゃないか』と言ってライブに来てくれる年配の人もたくさんいた」と手応えを語る。

 第2弾でも「燃えろいい女」「雨あがりの夜空に」などのヒット曲から、ウォッカ・コリンズ、乱魔堂といった知る人ぞ知るロックバンドの楽曲をカバーし、自身の新曲「1978」も収録。ROLLYさんの“変幻自在”のボーカルや、入魂のギタープレーが炸裂(さくれつ)している。

 なかでもツイストの「燃えろいい女」のカバーは、パワフルで“燃えるような”ボーカルが魅力の一つ。そのボーカルが「賛否両論なんですよ」と苦笑しつつ、近年、共演することの多い同バンドの世良公則さんと同曲への思いを「世良さんの隣で、その人間の大きさや熱量を見ていると、本当に癒やされる。素晴らしいロックアーティスト。故に世良さんの(ボーカルの)質感を5倍ぐらいに濃縮してクドくやってみたの」と説明する。

 また「音楽はウソをつけない。その人の社会に対しての立ち位置や、体臭、思想、ありとあらゆるモノが凝縮されている。最近は僕にとって“薄味なモノ”が多くてね。平均的なものが多い中で、あんなクドい歌い方をしたら面白いよね」と思いを語った。

 ◇新曲は“ロック少年”の実話 亡き祖父の言葉も

 新曲「1978」は、このアルバムの制作時に誕生。1978年から、今日まで続くROLLYさんの実話で、中学生の頃にあこがれたロックスターの姿と、大人になった今、そのロックスターと共演できる喜びをシンプルな歌詞でつづった。聴き手が自身の成長を重ね合わせることのできる普遍的なストーリーの名曲に仕上がっている。

 「このアルバムのレコーディングで中学生だった頃のことを思い出して、その思い出を歌にした」という。加えて、自身がデビュー26周年を迎え「デビューした頃に(自分を)見てくれていた中学生が、プロミュージシャンになって(自分のことを)慕ってくれる」と先輩から自分へ、そして後輩への「音楽のバトンが流れているさま」も、曲に込められている。

 また間奏のコーラスの最後には「この世の水はあたたかい この世の風はあたたかい」というせりふがある。これはROLLYさんの祖父が、亡くなる直前にROLLYさんの母に語り、ROLLYさんが子供の頃から「ことあるごとに思い出してきた」という大切な言葉。「少年の頃からの三十数年の思いをコーラスに込めたら、この言葉を言いたくなった」と偶然の産物だったと振り返る。

 「言葉の本当の意味は分からないけど……、『いろいろつらいこともあるだろうが、まじめに生きていれば、必ず幸せは訪れる』という意味だと受け取っています。祖父は真面目で、とても心が大きくて偉大な人。母もいつでも明るく前向きで、決して人の悪口を言わない心の大きな人だった。その母親に育てられた僕は、浮き沈みもありながら、今がもっとも幸せで充実した活動ができている。その感謝の気持ちを込めて、この言葉を次の世代に渡そうと思ってね。このアルバムで、この言葉を聴いた人が、心のどこかに覚えていて、自分の息子や娘に伝えていってくれたら、うれしいですね」

 これまでも新旧、和洋問わず数々の曲をカバーしてきたROLLYさん。「楽曲に対する尊敬の念と愛情を大切にしている」と語り、そのあふれんばかりの愛は、第1弾の約4000字から約7000字にボリュームアップしたセルフライナーノーツにも表れている。

 「日本にも海外にも歌謡曲にもロックにも、かっこいい曲がたくさんあって、僕はそれを聞いて育った。デビューの頃から一貫して、そんなかっこいい曲を“合体”させている。このアルバムを通じて、オリジナルの音楽にも興味を持ってもらえたら、“先輩”方への恩返しにもなるかな」と音楽への愛を語った。

 <プロフィル>

 ろーりー。9月6日生まれ。大阪府高槻市出身。1990年に「すかんち」でデビュー。96年に解散し、ソロ活動を開始。現在は、音楽活動をはじめ、舞台、映画、ドラマ、読み聞かせなど幅広く活動している。今年は、音楽ユニット「Orquesta Libre(オルケスタ・リブレ)」とコラボしてミュージカルの楽曲などをカバーしたアルバム「ROCK OPERA!」を3月に発売したほか、出演した映画「TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ」(宮藤官九郎監督)も公開された。

 *……「ROLLY’S ROCK THEATER」の発売を記念したツアーを、10月15日に大阪・心斎橋のライブハウス「JANUS(ジャニス)」で開催。同月16日に名古屋・今池の「TOKUZO」、同月18日に東京・渋谷の「CLUB QUATTRO」でも開催する。

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