濱田龍臣:「女の子って大変だな」 映画「ハイヒール革命」で女装に挑戦

映画「ハイヒール革命!」について語った濱田龍臣さん
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映画「ハイヒール革命!」について語った濱田龍臣さん

 オネエタレントの真境名(まじきな)ナツキさんの実体験を基にした映画「ハイヒール革命!」(古波津陽監督)が17日公開された。男性として生まれた真境名さんが思春期に女性へと生まれ変わり、いかにして本当の自分を手に入れたのかをドキュメンタリーと再現ドラマで描く。「レズビアン」「ゲイ」「バイセクシュアル」「トランスジェンダー」の頭文字を組み合わせた「LGBT」の世界に真正面から取り組んでいることも話題だ。真境名さんの思春期を再現したドラマパート部分で、真境名さんの少年時代を演じている俳優の濱田龍臣さんに、今作で挑んだ“女の子の心を持った男の子”役や女装、俳優としての目標などを聞いた。

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 ◇自身の女装姿に「すごくでかくて違和感があった」

 今作で女装に挑戦している濱田さんは、「体は男の子だけど心は女の子という役で女装もしましたし、自分にとっていい経験になるんじゃないかと思いました」と初めての役柄に期待していたと言い、自分が女の子になった姿を見て、「なんか自分っぽいというか、男だなって(笑い)」と率直な感想を明かす。その理由を「顔の輪郭、肩幅とかも女の子の服を着てるのに、すごくでかいなと違和感がありました(笑い)」と説明する。

 女の子のメークについては「メークをされているだけなのに大変でした」と感じ、「アイラインを引くとき半目にしたり、かゆくなったり……女の子って大変だなと思いました」としみじみ語る。周囲のスタッフからは「撮影も終盤になると『慣れてきた』『自然になってきた』と言われました」と評価され、「逆に男の子であるほうが変なくらいとも言われました」と楽しそうに話す。女装はクセになるといわれることもあるが、「面白かったのですが、自分は面倒くさがり屋で横着なところもあって、自分でやりたいかというと、ちょっと……」と笑う。

 ファンの反応は気になるか?と聞くと、「多少は気になりますけど、女の子姿の写真を見た友達は可愛かったと言ってくれたので、意外に大丈夫なんじゃないかなと思い込んでます(笑い)」と自分に言い聞かせるように話す。さらに濱田さん自身は女性に対して求めるものはあまりないと話すも、「口を開けてご飯を食べる人は嫌です」と言い、「自分の食欲もなくなってしまうので、そこだけは譲れない。それさえクリアしていれば、あとは全然大丈夫です(笑い)」と言い切る。

 ◇実在の人物を演じるのは「ちょっと恥ずかしい」

 役作りでは、「LGBTについて調べたり、真境名さんと直接会ってお話できたので、その中でいろいろと教えていただきました」と明かし、「すごく明るい方でテンションが高く、話していて楽しい方。台本を読んで想像していたイメージとは真逆でした」と真境名さんの印象を語る。

 真境名さんとのコミュニケーションを取ったことで、演技に参考になる部分があったと言い、「男の子のときは結構、落ち着いた感じで、女の子になってからはテンションが高くという形で(芝居を)変えられたのではと思います」と自信をのぞかせる。しかし実在する人物を演じることについては、「なんかまねしているみたいで、ちょっと恥ずかしい部分はありました(笑い)」と本音をもらす。

 続けて、「仕草として取り入れた部分はあるのですが、監督からは真境名さんをまねして(役を)作るのではなくて、また違う人格でやってほしい、というようなことを言われました」と明かし、「学校のクラスの女子や女性スタッフさんにも話を聞いたり、仕草を見ていろんな人の部分を取り入れ、僕が見た中での女子のイメージを芝居として表現したつもりです」と説明する。

 撮影では「実際に存在しているのは女の子だけど、心の中には男の子の薫(真境名さんの本名)君もいて、“2人の対話”シーン」が特に印象に残っていると濱田さんは言い、「1人2役でしかも女の子と男の子で衣装も真逆ですし、服装も気持ちも切り替えて、いないはずの自分に語りかける撮影は少し大変でした」と振り返る。

 ◇ウルトラマンへの夢まで「あと5歩くらい」

 子役からキャリアを重ねてきたことで、「小さなころはせりふが言えるだけで『すごい!』などと評価されましたけど、今はもう大人の一員になってきて、そのレベルの芝居ではだめだというのは変わってきている」と濱田さんは変化を明かし、「求められているパフォーマンスをきちんとできるようするということが大切と、意識は変わってきてると思います」と実感を込める。

 仕事以外では「電車料金が上がったこと」で、もう子供ではないと感じたと言い、「いつも電車で現場に行ってるので、交通費がかさんできたなって(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに語る。気を取り直して、「他の役者さんと一緒にお仕事させてもらうと、いろいろ指導していただいたり、励ましていただいたりして、自分自身が周りから見られる形が変わってきたとは思います」と自身の成長を実感している。

 多感な時期を大人に囲まれ仕事をしてきた濱田さんは、「小さなころから(自分を)見てくださっているので、『大きくなったね』とよく言ってくださるのですが、会う人会う人続くと『ああ、はい……』みたいな時期は一瞬だけありました」と苦笑い。それでも俳優を続けているのは、「自分とはまったく違う人格を演じるのって面白い」と語り、「いろんな人との出会いもありますし、すごく楽しいです」と充実感をにじませる。

 子供のころには「幼稚園に入る前ぐらいはアンパンマンが大好きで、幼稚園に入ってからはウルトラマン」とはまったものを明かし、「放送も毎週録画して見ていましたし、フィギュアを買ってもらったりもしました」と振り返る。

 他のヒーローものには目もくれず、「ウルトラマン一筋でした」と話す濱田さんは、「単純にカッコよくて、人を守る姿もすごく、怪獣やストーリー性も面白い」と魅力を語り、「以前、劇場版(『ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国』)に出させていただいて、ウルトラマンに近いところまで行けたので、今度は変身してみたいです」と目を輝かせる。そして、「幼稚園のころの夢がウルトラマンになることだったので、あと5歩くらいでたどり着けるのかなと。頑張ります!」と笑顔を浮かべる。

 ◇今後は「振り切った役にも挑戦したい」

 今回は女の子役に挑戦しているが、今後やってみたい役について「ブラックなダークな役はやってみたい。サイコパスのような役には興味があります」と目を輝かせ、「イメージとしては、(ドラマ)『デスノート』で窪田正孝さんが演じていたキラみたいな感じ。(今までとは違う)振り切った役にも挑戦してみたい」と思いをはせる。そして、「いろいろな役を演じられる俳優になりたい」と目標を掲げる。

 今作を通して「周りの人がどう思うかで変わってしまうものなんだなと」と性に対して考え方が変わったと濱田さんは明かし、「劇中に『周りが理解してくれれば障害じゃなくなる』というせりふがありますが、そういう部分では周りの人の受け止め方だなと思いました」と語る。そして、ナツキにとって母親が最大の理解者であったように、「身近に支えてくれる人がいるって、いい力になるんだなって思いました」と共感する。

 映画の見どころを「ドキュメントではありますが、とても見やすい映画になったかなと思います」と切り出し、「LGBTに今まで縁がなかったという人も、身近に起こり得ることだと思うので映画を見て、ぜひ考えてもらいたいです。もし身近にそういう人がいた場合には、自分から歩み寄って、理解する努力をしてほしいなと思います」とメッセージを送った。映画は全国で公開中。

 <プロフィル>

 2000年8月27日生まれ、千葉県出身。NHK大河ドラマ「龍馬伝」で坂本龍馬の幼少期を演じ注目を集める。その後、ドラマ「怪物くん」(日本テレビ系)に出演するなど、ドラマ、舞台、映画、バラエティー、CMと幅広く活躍。主な出演映画に「ウルトラマンゼロ THE MOVIE 超決戦!ベリアル銀河帝国」(10年)、「怪物くん」(11年)、「BRAVE HEARTS 海猿」(12年)、「ガッチャマン」(13年)など。11月には出演した映画「疾風ロンド」の公開を控える。

 (インタビュー・文・撮影:遠藤政樹)

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