注目の新譜:宇多田ヒカル「Fantome」 本格的な活動再開を告げる8年半ぶりオリジナルアルバム

宇多田ヒカルさんのアルバム「Fantome」 のジャケット
1 / 1
宇多田ヒカルさんのアルバム「Fantome」 のジャケット

 シンガー・ソングライターの宇多田ヒカルさんが、前作「HEART STATION」以来、8年半ぶりとなるニューアルバム「Fantome(oの上にサーカムフレックスが付く)」(ユニバーサルミュージック)を28日に発売した。

ウナギノボリ

 2010年にアーティスト活動を一旦休止し、今年の春に6年ぶりに活動を再開した宇多田さんの通算6枚目のオリジナルアルバムで、タイトル「Fantome(ファントーム)」はフランス語で「幻」「気配」といった意味。NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」の主題歌「花束を君に」、日本テレビ系ニュース番組「NEWS ZERO」のテーマ曲「真夏の通り雨」、「ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q」のテーマソングで12年にDVDシングルでリリースされた「桜流し」の3曲が既発表曲として収録されている。

 新規書き下ろし曲は全8曲。「俺の彼女」「ともだち with 小袋成彬」では男女間の微妙な関係と赤裸々な心情を歌い、同期(98年)デビューのレーベルメート・椎名林檎さんがボーカルで参加した「二時間だけのバカンス featuring 椎名林檎」では、日常から非日常へ逃避行する束の間の快感と背徳感が絶妙なバランスで表現されている。そして、本人出演の「サントリー天然水」新CMソング「道」をはじめ、随所に見られるのが、13年に亡くなった母・藤圭子さんへの惜別の思いやいとしさ、葛藤……という感情。だが、結婚・出産を経て自らも母となったその歌声はどこまでも穏やかで、心の陰影をそっとなぞるような優しさとしなやかさをにじませる。

 アルバム「Fantome」は全11曲入り、3000円(税抜き)。(水白京/フリーライター)

芸能 最新記事