俳優の白石隼也さんと鈴木亮平さんがダブル主演しているテレビドラマシリーズの約3年ぶりの新作「彼岸島 Love is over」が放送中だ。同作は吸血鬼と人類の死闘を描いた松本光司さんのホラーマンガが原作で、前作に続いて白石さんが行方不明になった兄を探す宮本明、鈴木さんが兄の篤を演じており、15日には実写映画「彼岸島 デラックス」も公開される。9日に最終回を迎えるドラマ、それに続く実写映画について、白石さんと鈴木さんに作品や原作の魅力、撮影エピソードなどを聞いた。
ウナギノボリ
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「彼岸島」シリーズは2002年に「ヤングマガジン」(講談社)で連載が始まったマンガで、行方不明になった兄を捜すために彼岸島を訪れた青年・宮本明は、その地を支配していた吸血鬼たちと戦う……という物語。現在は、明が日本列島を占拠した吸血鬼たちに戦いを挑むシリーズ最新作「彼岸島 48日後…」が連載されている。10年に映画化、13年にドラマ化され人気を博した。
約3年ぶりに放送されたテレビドラマについて、白石さんは「うわさには聞いていたけれど、確実に(続編を)やるということではなかったので、キャストも仲よかったし、続編は楽しみでした」といい、鈴木さんも「昔の友達に会えたような気がする。うれしかったですね」とドラマの“復活”を喜ぶ。
「前作とは作風も違う」と白石さん。「全然違う世界観になっていて。最初シリアスに進んでいる中で、ちょっとギャグっぽい感じにもなってきて。(明が)超人的な強さを手に入れたり」と楽しそうに語り、「いかに気持ち悪い変態的な邪鬼(おに)が出てくるかとか、絶対に勝ち目がないのにただの人間の明が勝ってしまうとか、そういう痛快さが彼岸島のよさ」と魅力を語る。鈴木さんも「(実写版では)彼岸島の地獄が濃密になっていく。ホラーだけじゃなく、過剰な演出にも足を踏み入れていて、ともすればクスッともできるような世界観で、原作に近い感じになったのかなと。邪鬼もたくさん出てきます」と紹介する。
実写版は、超人的な強さの明や篤のアクションシーンが大きな見どころだ。これまでに放送されたドラマでは、巨大な化け物の邪鬼との戦いで手に汗握るバトルを繰り広げた。白石さんは「深夜ドラマでこの規模のコンピューターグラフィックス(CG)をやる作品は今までなかったと思う」と振り返り、「これだけアクティブに巨大なCGと戦うのは初めてだったので、想像力が試されますよね」と撮影時の苦労を語る。
“宮本兄弟”として兄と弟を演じた鈴木さんと白石さん。お互いに意識する部分はあったのか。鈴木さんは、白石さんと泊まり込みで(ロケ地の)山形に行き、「目つきから違っていって。見るたびに彼岸島に本当にいるような感じだったので、刺激を受けました」と明かす。白石さんも鈴木さんの役作りの姿勢に刺激を受け、プロテインを飲んでジムに行くなど体を作った。撮影前には約8キロの体重増に成功したという。
彼岸島といえば明がバタバタと敵を斬(き)りまくるアクション描写も魅力だが、登場人物たちの緊張感を演出する「ハァハァ」という息遣いや、“丸太”が武器として大活躍するなどの小ネタも人気だ。鈴木さんも「ハァハァには気を使っています」と明かすなど、作品の大事なポイントと見ている。「現場でも、『もっとハァハァして!』という演出は監督からあって。前作のときは『ハァハァ言ってやろう』と自分発信だったんですが、今作では、やっているつもりなんですが『もっとハァハァして!』と。演出も『デラックス』になってるんです(笑い)」と映画のタイトルにかけて笑う。
2人が思う原作の魅力とは? 改めて聞いてみると、「絶望ですね。明が絶望的状況をどう乗り越えていくか、その連続なので。無間地獄みたいなものを、いかに楽しめるか。またダメだった!とか(笑い)」と鈴木さん。白石さんは、「とんでもない試練を毎回越えてのける明の痛快さと、今まで仲間だったメンバーが敵に回ったりする人間ドラマが描かれていて、そのバランスが絶妙。ギャグホラーかと思いきや、ところどころに人間ドラマもあって」と冗舌に語る。
「明って、狂気じみたような、侍のような顔をするんですけど、普段はすごく純粋で弱々しい男みたいな部分が残っている気がします」と主人公への思いを語る白石さん。「今回のドラマや映画でもそこは大事にしたい。アクションシーン以外では、穏やかな明を意識しています」と語った。
「彼岸島 Love is over」最終回は毎日放送(MBS)で9日深夜1時24分から放送。映画「彼岸島 デラックス」(渡辺武監督)は15日公開。
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