東出昌大&池松壮亮:「10年後の今だからできた」 映画「デスノート」最新作を語り合う

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映画「デスノート Light up the NEW world」について語った東出昌大さん(左)と池松壮亮さん

 人気マンガを実写化した映画「デスノート」シリーズの最新作「デスノート Light up the NEW world」(佐藤信介監督)が公開中だ。「デスノート」は、大場つぐみさんが原作、小畑健さんが作画を手がけた人気マンガで、実写映画のほかテレビアニメや舞台、ドラマ化もされた。今作は2006年公開の「デスノート」から10年後を舞台に、名前を書かれた者が死ぬ「デスノート」を巡る3人の男たちによる争奪戦が繰り広げられる。「デスノート対策本部」のエース捜査官の三島創を演じる東出昌大さん、前作に登場した名探偵「L」の後継者、竜崎を演じる池松壮亮さんに話を聞いた。

 ◇ファンと同じくらい衝撃を受けた続編の製作発表

 10年前の映画と同じ世界で進行するストーリーだが、池松さんは「デスノートらしく綿密に計算されたものでした」という感想を脚本に持ち、「どの台本もしょせんは字面であって、僕らがやらなきゃいけない。じゃあどうするかというのを毎回考える」と自身の役割について言及する。

 完成作を初めて見た際には、「台本も素晴らしかったのですが、完成した映像を見たらちょっと桁(けた)が違う」と池松さんは驚き、「佐藤監督が台本に書かれていないセンテンスを入れていましたし、10年を経て映像の力やCGの力など、いろんなものがレベルアップしている。台本を読んだときよりも、さらにドキドキしました」と目を輝かせる。そして、「一回“心中”したような気分なので、何を言われようが受けて立つ覚悟というか、みんなその覚悟でやっていたと思います」と言い、「どんなことがあれ、自信を持って(公開)初日を迎えられた」と充実した表情を浮かべる。

 一方、東出さんは、「製作発表を受けたファンの方と同じように、僕もオファーをいただいたときは、『10年後の今、なんでこれをやるの?』って驚いたんです。僕も『デスノート』のファンだったので、それはすごく分かる」と当時の心境を振り返り、「これは誰でも分かると思うのですが、『デスノート』と銘打って映画をやれば、当たるという算段があるから映画化するんだろうと思われるのも当然のこと」とファン心理を分析する。

 そういった中で目を通した脚本は、「一読しただけでは理解できなくて、何回も読み直して、ここのせりふがここに掛かっているとか、この事件はこういうことかといったような捉え方や解釈を必要とするのが、まさしく『デスノート』だなと思いました」と原作ファンならではの視点による感想を口にする。続けて、「今回の『デスノート』の強みであり魅力は、原作ファンの方を裏切らない“難しさ”」と持論を切り出し、「答えを全部知っている僕らが見ても、迫力があってエンターテインメントとして面白かったので、何もご存じない方が見てくださるっていうのは、もう強みでしかないですし(見てもらうのが)楽しみだなと」と思いをはせる。

 そして、「コミックスというガイドラインがない分、皆さんがご存じない分、楽しんでいただけるものが出来上がったと思います」と自信をのぞかせ、「10年後の今だからできた『デスノート』を楽しんでいただければと切に思います」と力強く語る。

 ◇役割を認識しそれぞれのアプローチで役を作り上げる

 東出さんが演じる三島は10年前のキラ事件を徹底的に調べ、デスノートのことを知り尽くしているという人物だが、「(三島は)オリジナルのキャラクターですが、前作の(夜神)月(やがみ・らいと)の影を感じないかというとそうではなくて、前作の2人(月とL)に尊敬の念もあります」と切り出し、「今回は警視庁内の人間なので奇抜な格好をすることはなく、普通にスーツを着て仕事をしている姿を見せることで、お客さんを現実世界につなげる役目でもあるかなと思います」と三島の役割を解説する。

 さらに、「最もお客さんの目線に近いのが三島かなと思う。ビジュアルの提案や役作りをふくらませてきた竜崎と紫苑(菅田将暉さん)に現場で会えたときは、2人とも『デスノート』の世界のビジュアルで際立つものがあるので、素直にうれしかったです」と笑顔を見せる。

 池松さんはLの後継者である竜崎を演じているが、「あれだけの原作からあれだけの映画が作られ、Lというキャラクターは10年という時をかけて育っている」と前作のLについて語り、「Lって言えばみんながイメージする確固たるものがあるので、正直なことを言うと、それを超えるのはまず無理だと思った」と率直な思いを明かす。

 そう感じながらも池松さんは、「でも、だからこそ面白い。Lの遺伝子をもらい、Lを超えなきゃいけないというだけの(竜崎の)人生は、想像し得ないぐらいぶっ壊れていると思う」と人物像を捉え、「自分がLの子供だったらどうしたかなと考えたとき、ゴールは一緒でもすべて(Lの)逆を行くのではと思った」と感じたという。

 そして、「『デスノート』の一つの魅力として、死神に劣らない2人(夜神月とL)のキャラクター性が本当に素晴らしくて、死神よりも強烈というところに人々を魅了したものがあった気がします」と持論を述べ、「そう考えたときに僕の独断だけではないですが、いろんなことが混ざって竜崎はああいうふうになっていきました」と役作りについて説明する。

 普段はナチュラルで体温が低めな人物を演じることが多い池松さんだが、今回はかなり熱い芝居を披露している。「この映画をやるときの気分、2016年の気分というのが合致したのがあのやり方でした」と池松さんは振り返り、「僕の中にもああいう熱い部分はありますし、あくまでこの映画に何が必要かということを考えやったことです」と意図を明かす。

 ◇印象に残ったシーンは「デスノート対策本部」

 互いの印象について、「この役を今、誰がほかにできたかっていうと誰もいないと思う」と池松さんは東出さんをたたえ、「(三島役が)東出さんと聞く前に他の人を当てはめて何度も想像したりもしましたけど、誰もいなかった」とイメージ通りだったという。そのため、「東出さんがいたから好き放題できましたし、そういう人が年齢の近いところにいらっしゃることは救い」と感謝し、「とにかく素晴らしい俳優さんだと思います」と敬意を表する。

 池松さんのことを「もともと好きな役者さん」という東出さんは共演を喜ぶ一方で、「自分の能力の限界を出しても全部受け止めてくれる相手だという思いはありましたが、比較されると芝居で(自分が)見劣りする可能性もあるなという恐怖もありました」と本音を打ち明ける。「トリッキーなことをやって存在感の裏付けがあるというのは、普通の役者はできないこと」と説明する。

 現場で池松さんと一緒になった際、「池松くんが“僕らがキャスティングされた意味”という話をしてくれて、それを聞いていると(今作が)ものすごい挑戦だと思いました」と会話の内容に共感し、「だからこそ、さらけ出してやるしかないというところでぶつかったし、そこから逃げることはしなかったと思います。その結果、いろんな意味で衝撃的な映画になっていると思います」と胸を張る。

 撮影中に特に印象に残ったシーンについて、池松さんは「3カ月ぐらいかけて東京と神戸で撮影したのですが、前作も神戸で撮ったシーンがあると聞いていたので、新しいチームで同じ世界を作りに行くというのは、自分でもよく分からないけれどちょっと高揚しました」と言い、「あと冒頭の交差点のシーンは、みんな(前作)を超えるぞみたいなところだった気がします」と思い入れたっぷりに語る。

 うなずきながら聞いていた東出さんも、「画がきれいだし、死神もすごくバージョンアップしているし、新しい死神も楽しめましたが、印象に残ってるシーンはやっぱり対策本部です」と明かす。その理由を、「会話劇の中に魅力があって、感情は乗っているけれど本当のところを見せないっていう、お互いの芝居」だと説明し、「切羽詰まったストーリーなので、その緊張感が撮影では思い出深いです」と振り返る。

 緊張感を出すために現場ではあまり話さなかったのだろうか……。「険悪な空気もあったよね(笑い)」と東出さんが発言すると、「本当はそういうプロっぽいことを言いたいんですけど、仲よかったです」と池松さんが笑顔で真相(?)を明かしたあと、「(険悪だったという)そういう売り方をしていこうと思います(笑い)」と楽しそうに宣言する。

 ◇活躍めざましい2人の海外作品への参加は…

 今作を含め日本のコンテンツが海外で映像化される機会も増えてきている中、ハリウッドや海外での活動について、「もちろん興味なくはないです。(プロ野球選手の)イチローは27歳で旅立ちましたから、(自分はその年齢まで)あと1年しかない(笑い)」と池松さんはちゃめっ気たっぷりに話しだすも、「自分は日本人だし、日本映画で育ったので、どこかで興味はありますけど『これからは世界だ』というつもりもないです。でもやっぱり負けたくない気持ちはあります」と言葉を選びながらも現在の心境を語る。

 東出さんは「5年前に役者になったのですが、それより前はこうやって役者をやってるとはまったく考えていなかったんです」と明かし、「役者として日本でやっていきたい、こういう役をやりたいということもありますが、その延長に今、海外っていうことは一切考えてないです」と話す。それでも、「もし機会があれば……って、そんな甘い話があるならやってみたいと思いますけど。今は考えていないのが本当のところです」と思いを口にする。

 今作は2人にとってどういう作品になりそうか。池松さんは「僕の俳優人生であまりにも大きな事件でした。きっと今後は、『デスノート』の……って言われるでしょうし、かけがえのないものになったことは間違いないです」と感慨深げな表情を浮かべる。一方、東出さんは「個人的な話になってしまいますが、『桐島、部活やめるってよ』の佐藤貴博プロデューサーと、また一緒に仕事ができたことがうれしかったです」と率直な思いを語り、「お客さんに見て楽しんでいただきたいとか、見終わった後に『いいものを見た。また明日から頑張ろう』と思っていただけたらうれしいです」と笑顔でメッセージを送った。映画は全国で公開中。

 <東出昌大さんのプロフィル>

 1988年2月1日生まれ、埼玉県出身。2004年に第19回メンズノンノ専属オーディションでグランプリを獲得し、モデルとして活躍。2012年に映画「桐島、部活やめるってよ」で俳優デビューを果たす。第67回毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞など受賞。その後、「すべては君に逢えたから」(13年)、初主演作「クローズEXPLODE」(14年)をはじめ数多くの話題作に出演し、第27回日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎新人賞などを獲得。16年にはNHK放送90年大河ファンタジー「精霊の守り人」、映画「ヒーローマニア-生活-」に出演。11月19日に出演した映画「聖の青春」の公開を控える。

 <池松壮亮さんのプロフィル>

 1990年7月9日生まれ、福岡県出身。10歳で劇団四季ミュージカル「ライオンキング」のヤングシンバ役でデビュー。「ラスト・サムライ」(2003年)で映画デビューを果たし、第30回サターン・若手俳優賞にノミネートされる。近年の主な映画出演作は、「愛の渦」「大人ドロップ」「春を背負って」(以上14年)、「愛の小さな歴史」(15年)、「セトウツミ」「無伴奏」(以上16年)、「ディストラクション・ベイビーズ」(16年)など。11月5日に出演した映画「続・深夜食堂」の公開を控える。

(取材・文:遠藤政樹)

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