ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
東映アニメーションが製作する劇場版アニメ「ポッピンQ」(宮原直樹監督)が23日、公開される。同社の60周年を記念した作品で、「プリキュア」シリーズのダンス映像を手がけてきた“名手”宮原監督が長編アニメに初挑戦し、人気ライトノベル「キノの旅」シリーズ(KADOKAWA)などで知られるイラストレーターの黒星紅白(くろぼし・こうはく)さんがキャラクター原案を手がけた。約30年にわたって東映アニメーションで作品を作り続けてきた宮原監督にダンスシーンを含む「ポッピンQ」に込めた思いや同社の“伝統”について聞いた。
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「ポッピンQ」は、不思議な絆で結びついた少女たちが、“時の谷”に住むダンスが生業(なりわい)の生命体・ポッピン族と出会い、世界の危機を救うという使命を突如帯びることになる……という少女たちの成長を描く物語で、ダンスシーンも見どころだ。
2011年に公開された劇場版アニメ「プリキュアオールスターズDX 3Dシアター」の製作に携わった際に、プロデューサーの金丸裕さんから「ダンスに可能性があるんじゃないか?」という言葉を受けたという宮原監督は「(今作の企画を思いついた)最初のきっかけはダンスだったと思います」と明かす。
「今までアイドルのPVのような映像を作ることが多かったのですが、ストーリーを作って、踊る中でいろいろなことが変わってきて、お客さんの心を動かすことができれば、映画として成立すると考えました」と当時を振り返る。
「プリキュア」シリーズのダンスシーンを手がけてきたことで知られる“名手”でもある宮原監督。「ポッピンQ」のダンスシーンについて「彼女たちが何かをしようと踊る。カメラに向かってウインクするなどは排除して、部活だったり、アスリート的なダンスを見せようとしました」と語る。
さらに、「キラキラ汗をかいて踊っているのが、マッチするような構成を考えましたね。一生懸命な女の子を描くという芯は、今までと一緒です」と説明し、「見ている人の心を揺さぶりたいんですね。ただ上手に踊るのではなく、テンションが上がるように緩急を付けるようにしています。うまくいっているといいとのですが」と狙いを明かす。
黒星さんが描く可愛いキャラクターも今作の魅力だが、宮原監督は「(黒星さんの絵には)絶対的な清潔感がある。安心して、さまざまな層に提供できるものになる」と考え、黒星さんにイメージを伝えながらキャラクターを作り上げたという。さらに「黒星さんの絵からイメージをふくらませていったところもあります。絵の存在が大きかった」と明かし、「いたいだたデザインはほぼ一発オッケーでした。想像を超えたデザインだった」と喜ぶ。
また、今作ではメインキャラクターを5人にした。「90分くらいの映画を作る際、それぞれのキャラクターを丁寧に描こうとしたら5人が限界。これよりも少ないと華がないし、黒星さんのキャラクターが素晴らしいので、何人でも出したかったのですが、多くなるとそれぞれを丁寧に描けないですからね」と理由を明かした。
宮原監督は今作で初めて長編アニメに挑戦した。「全部苦労だったのですが、面白がってできるように、周りが支えてくれました。絵コンテは半年あれば描けると思っていたのですが、9カ月かかってしまった。焦らずできたのは、みんなが待ってくれたからですね」と苦労も明かす。
約30年にわたって東映アニメーションでアニメを作り続けてきた宮原監督。同社の“伝統”について聞くと、「男、女だから、大人、子供だからとう考え方はやめよう。気分が悪くなる絵は作らない。例えば、残酷なシーンを残酷に描くのではなく、刺激的な描き方はしない。そこを守れば、誰に対してもいいボールが投げられるということでしょうか」と語り、「直接教えていただいたものではない。30年働いていて、自然とたたき込まれたのかな?」と説明する。
自然に身についていた“伝統”は「ポッピンQ」にも引き継がれているといい「芯の一つとしてあるかもしれません」と語る。実際に完成した作品も、少女たちの成長を描く、アニメファンはもちろん、親子でも楽しめる内容に仕上がった。宮原監督は「子供でも入り口として入ることができる作品を目指した。話を作っていく中で、(ターゲットの)広がりを考えていた。欲張りましたね」と話す。
約30年におよぶキャリアを「僕は作画をやっていて、その後、面白そうだからとCGを手がけるようになったので、一回“ぺーぺー”になったんです。ベテランという感じがしないんですね」と振り返る宮原監督。今後については「アクションをやりたいですね。時代劇、人形劇みたいな作品もアニメやCGでやってみたい」と意欲的に語っていた。
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