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神田京子:赤ちゃん同伴「出勤」 子守歌も講談!? 9日に復帰の会

芸能
9日に産休明けの“復帰の会”を開く講談師の神田京子さん

 神田松之丞さんら若手の人気で勢いが出てきている講談。落語と違い、釈台(しゃくだい)という小さなテーブルを前に張り扇(おうぎ)を小気味よくたたく語り芸だ。神田京子さんは松之丞さんの先輩に当たる真打。出産を経て復帰したばかりで、9日に横浜にぎわい座(横浜市中区)で復帰記念の独演会を開く。仕事に育児に頑張る京子さんに聞いた。

 元気な語りが京子さんの持ち味。いきなり「ごぶさたしてまーす」と元気な声が聞こえてきた。昨年10月に男児を出産。結婚して10年目に授かった。京子さんのブログを見てみると、楽屋の写真が掲載されていた。そこには赤ちゃん、そして夫で詩人の桑原滝弥さんの姿も……。

 「同伴出勤なんです。まだ乳飲み子なんで。(歌手の)アグネス・チャンじゃないけれど」

 もう30年も前のことだが、1987年にチャンさんが第1子を出産。その後、赤ちゃんを連れて仕事場にきたことを一部の文化人が批判し、擁護派、批判派による「アグネス論争」が続いた。論争はしばらくして落ち着いたが、子育ての大変さ、そして保育園が足りないなど社会環境が追いついていけてない現状は、今も変わらない。

 「私、ちっちゃくて覚えてないけど、(バッシング)すごかったみたいですね。うちは夫が詩人だし(笑い)、子供が生まれてもみんなが協力していけたならいいねと思ってました。夫は基本的に夜中に詩作をしているので、昼間はゆっくり起きてきて、日中、子供のことを見ていられるんです。私は、ちょっと夫に預けて、寄席に出たり仕事に行ったり。母親になったことがある人なら分かると思うんですが、2、3時間に一度はお乳がはってくるんで、外(出先)で搾乳し……(笑い)。ということで、なんとか今まできてます」

 早く復帰しようと思っていたのかと聞くと、「どちらかというと、私、高齢出産だったので、妊娠期間の方が不安がいっぱいで、1年近く仕事を休んだんですね。だから、産んだら早く復帰しよう、やりたいこともいっぱいあるし、と。手に職の夫婦じゃなければ、なかなか難しいでしょうが、うちはたまたま両方とも手に職なんで。だから子どもの面倒もお互い半分半分見てられるから、協力し合ってます。地方の仕事も、おとといもそうだったんですが、子供を連れていける時は、夫にも同伴で来てもらって、アグネス・チャンみたいにやってまーす(笑い)」

 だが、そうはいっても、これもなかなかたやすいことではない。「こちらも(子どもを)連れていかないと無理というのがあって。東京で子ども一人預けるわけにもいかないし。となると、連れて行くしかしょうがないという選択肢になった時に、高座をしっかりやって皆さんに納得してもらって、子連れでも文句を言われないようにしないと。『京子ちゃんをそれでも呼びたい』という人になろうという、決意ができました」という。

 出産で変わったことは集中力だという。「それまでは、無限に時間があって、自分のことに時間が使えて、稽古(けいこ)もいつでもできる。なので、ここしかできないという集中力がなかった、でも今は、子どもに時間を取られるので、5分できた(空いた)から5分稽古しよう、と集中できるようになりました」と話す。

 復帰記念の独演会は、子どもが出てくるネタだ。「違袖(たがそで)の音吉」「秋色桜(しゅうしきざくら)」「五郎正宗孝子伝(ごろうまさむねこうしでん)」の3席。「3席ともタイプの違う子どもが出てきます。子どもが紆余(うよ)曲折を経ながら、出世したり、失敗したり、酸いも甘いも経験し始めている物語です。うちの子どもは0歳児ですが、もしこの子だったらと思ったら、想像がしやすいので、セリフは変わらないけれど、大人が子どもを諭すようなセリフも、形で習った通りから、間合いとかため方が変わってきますね。子どもを産んでみないと、もしかしたら変わらなかったかもしれません」と明かす。

 松之丞ら今の若手の子をどう思っているのか。「今の若手はSNSとかを駆使できる世代ですよね。あと、彼らはみんな仲間で切磋琢磨(せっさたくま)してやっていける。お互いのお客さんもシャッフルして楽しめるという、部活的ノリを上手にできる子たちじゃないんでしょうか。そこは偉いなあと思うんです」とうらやむ。

 講談師として、母として、今後の活動については「育児もあるので、ペースダウンするかもしれないけれど、納得できる会を開いていきたいですね」と話す。

 そんな話をしていると、赤ちゃんの声が聞こえてきた。「私も夫も子守歌をよく知らないので、泣いてるのが止まらなかったら、私は講談をやり、夫は詩を朗読するんです。そうすると、聞くんですよ(笑い)。聞くし、すごくニコニコ笑って、15分ぐらいで寝るんです。だから、稽古台としてはもってこい(笑い)。子どももお母さんがいろんな顔してしゃべってるからすごく喜ぶんですね。子守歌代わりに講談を聴かせているので、将来、講談師になっちゃうかもしれませんね。3歳ぐらいになったら高座に上げちゃおうかな、一緒に(寄席の踊り)奴(やっこ)さんとか踊っちゃったりして」と母の顔で笑った。

 「サンキュー産後復帰記念・神田京子独演会」は9日午後7時から横浜にぎわい座(桜木町)で。ゲストは紙切りの林家二楽さん。問い合わせは045・231・2515(にぎわい座)。(油井雅和/毎日新聞)

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