飯豊まりえ:渡部篤郎と主演ドラマ「パパ活」語る 野島伸司脚本の異色ラブストーリー

配信ドラマ「パパ活」について語った飯豊まりえさん(右)と渡部篤郎さん
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配信ドラマ「パパ活」について語った飯豊まりえさん(右)と渡部篤郎さん

 俳優の渡部篤郎さんと女優の飯豊まりえさんが主演を務め、野島伸司さんが脚本を手がけたドラマ「パパ活」が映像配信サービス「dTV」などで配信中だ。今作は、dTVとFOD(フジテレビオンデマンド)が共同制作したオリジナルドラマ第2弾で、現代の新たな男女関係といわれる“パパ活”をテーマに、スキャンダラスなラブストーリーが描かれる。大学教授の栗山航を演じる渡部さんと、女子大生の赤間杏里役の飯豊さんに話を聞いた。

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 ◇野島作品「お客さま寄りになったかな」

 カラダの関係はなく、デートをするだけで金銭的支援をしてくれる男性との交際を意味する“パパ活”を扱う物語について、「台本を読んだときには正直、理解ができなかった」と笑う渡部さんは、「ただこれはエンターテインメント。世代とかに区切りがあるとしたら、野島さんとは同じような世代なので、そろそろ野島さんの作品をやってみたいと思っていました」と野島作品への参加を熱望していたという。

 一方、「最初、“パパ活”という自分の父親ぐらい年の離れた人との恋愛の話と聞いたときには、絶対無理と思ったんですけれど……」と飯豊さんは第一印象を語り、「脚本を読んでみたら“パパ活”というのは(物語の)きっかけなだけであって、すてきな恋愛も描かれていたので、実際のパパ活がどんなものか分かりませんが、ちょっと夢があるような話だなと感じました」と台本から感じたという。

 今作が野島作品へ初出演となった渡部さんは、「全作品を拝見しているわけではないですけれど、テーマなどは以前、もっと難しかったような気がします」と切り出し、「でも形はどうあれ、今作は一つの恋愛というものがまとまっていますし、野島さんも“お客さま寄り”になったのかなって感じました」と分析する。

 2015年に放送されたドラマ「アルジャーノンに花束を」(TBS系)で野島作品に出演経験がある飯豊さんは、「山下(智久)さんの妹役で出演させていただいたのですが、そのときは(ドラマのテーマが)ちょっと重かったので、少し難しいなって思いました」と当時を振り返り、「今回もせりふが詩的だったり、(野島さんの真意を)くみ取るのが難しく、せりふを覚えるのが大変でした。あと、最初に航さんと出会ったときと最後のせりふが同じだったりとか、そういうのも(伏線的なものも)“野島さんワールド”だなと思いました」と作品の魅力を語る。

 ◇渡部の演技アドバイスに感銘

 飯豊さん演じる杏里は、強めの口調で話す勝ち気な女の子。飯豊さんは「すごく口調が今どきというか、私はそういう役をあまりやったことがないですし、『マジで』とか『ガチで』とか普段使わないので、慣れるのが大変でした」と役作りで苦労した点を明かす。渡部さんも、「自分とシンクロする役なんてほとんどないですから、分からないことだらけ。だから監督と相談して、いつも『これでいいのかな』とか言いながらやっていたような気がします」と同意する。そして、「恋愛としてちゃんと成立できているのかということだけを考えていました」という。

 互いの印象を、渡部さんは「真面目な方。すごく貴重な存在なんじゃないかなって思います」と飯豊さんをたたえると、飯豊さんは、渡部さんの男性としての大人の色気に「憧れます!」と笑顔を見せる。

 現場で渡部さんから演技に関してアドバイスはあったのだろうか。渡部さんは「ありません。僕はしませんから」と言うと、飯豊さんは「『(せりふを完璧に)言おう言おうとしなくても大丈夫』と言ってくださって。そういうことを言ってくださる方は貴重で、ありがたかったですし、勉強になりました」と感謝する。

 話を聞いていた渡部さんも「あまり真面目に『これをちゃんと言わなきゃ』と気負いすぎなくてもいいですよとは言いました」と思い出し、「監督の立場だと、『(台本に)書いてあるんだから言えよ』ってなるから、なかなかそんなこと言えないでしょう(笑い)」と楽しそうな表情を浮かべる。

 続けて、「(飯豊さんは)真面目な方なので、現場をスムーズに回すために、せりふを覚えてきて、それを言うという作業になりがちですけど、そんなのはいいんです」と渡部さんは言い、「彼女が(自然と言葉を)発することの方が興味がありますし、お客さまに届くところはそこですから」と持論を語る。

 ◇映像配信サービスのドラマについて

 今作のような映像配信サービスで視聴できるドラマについて、渡部さんは「家族で楽しめるものだと思います」ときっぱり。「仕事となると、新しいメディアということで柔軟に対応しなければという思いはあります」と神妙に語り、「テレビや劇場というこだわりだけではなく、新しいメディアにお客さまが興味を持ってくれることは、俳優としては無視できない。早めにお話をいただいてラッキーだったのかな、と。自慢できますから(笑い)」とちゃめっ気たっぷりに語る。

 飯豊さんも映像配信サービスはよく利用するといい、「海外ドラマにはまっていて、携帯を使って外でも家でも見られるのが便利だなって思います」と話し、「1人や友達と見たり、気軽にカフェでも見られたり、お風呂でも見られる時代というのはすごい」と喜ぶ。

 今作の見どころを、飯豊さんは「社会現象といっていいのかはわからないですけど、“パパ活”という新しいワードをテーマにした作品は初めてだと思うので、若い世代だけでなく、お父さんやお母さん世代の方にも見て、楽しんでいただけるような作品になっています」と語り、「新しい恋愛の形を今作で知ってもらえたらうれしいです」と思いをはせる。

 一方、渡部さんは「(作品を)見ていただいて初めて苦労が癒やされる。それの繰り返しです」と俳優業のあり方を説明し、「恋愛もなきにしもあらずの作品なので、(今作を見て)自信を持てたりする人もいるだろうし、中には嫌いだっていう人もいるでしょうが、それを反面教師にすればいい」と自身の見解を述べる。そして、「大事な時間を使って見ていただくというのが一番の幸せです」と語った。

 ドラマは、26日からdTVとFODで同時配信。1話約30分の全8話で、週1回更新予定。

 <渡部篤郎さんのプロフィル>

 1968年5月5日生まれ、東京都出身。91年にドラマ「青春の門」(テレビ東京系)で俳優デビュー。95年に映画「静かな生活」で日本アカデミー賞優秀主演男優賞と新人賞を受賞。2008年に映画「コトバのない冬」で初監督を務める。数多くのドラマや映画に出演し、演技派として活躍している。最近の主な出演作に、ドラマ「ST 警視庁科学特捜班」シリーズ(日本テレビ系)、東海テレビ×WOWOW共同製作連続ドラマ「犯罪症候群」、映画「外事警察 その男に騙されるな」(12年)、「探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点」(13年)などがある。7月からはドラマ「警視庁いきもの係」(フジテレビ系)に出演する。

 <飯豊まりえさんのプロフィル>

 1998年1月5日生まれ、千葉県出身。2008年に「ニコ☆プチ」でモデルデビュー。その後、「ニコラ」専属モデルを経て、現在「セブンティーン」専属モデルを務める。女優としても活動し、連続ドラマ「MARS~ただ、君を愛してる~」と映画版(共に16年)のヒロイン役で注目される。主な出演ドラマは、NHK連続テレビ小説「まれ」(15年)、「無痛 ~診える眼~」(15年)、「アルジャーノンに花束を」(15年)、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」(15年)、「お迎えデス。」(16年)、「好きな人がいること」(16年)、「嫌われる勇気」(17年)など。映画は「きょうのキラ君」(17年)などがある。7月からはドラマ「マジで航海してます。」(TBS系)と「居酒屋ふじ」(テレビ東京系)に出演する。

 (取材・文・撮影:遠藤政樹)

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