今年、誕生20周年を迎えた「デジタルモンスター(デジモン)」シリーズ。1997年6月に携帯ゲームが発売され、テレビアニメ第1弾「デジモンアドベンチャー」が99~2000年に放送された後も次々と新作が制作されている長寿シリーズだ。なぜ、20年にもわたって愛され続けているのか……。アニメ「デジモンアドベンチャー」などを手がけた東映アニメーションの関弘美プロデューサーに人気の理由を聞いた。
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1997年6月に発売された携帯ゲーム「デジモン」は「たまごっち」のようにキャラクターを育成し、通信対戦でキャラクター同士のバトルを楽しめるのが画期的で、小学生を中心に大ヒットした。テレビアニメ第1弾が99~2000年に放送され、後に「サマーウォーズ」などを手がけることになる細田守監督による劇場版アニメも話題になった。その後も「デジモンアドベンチャー02」「デジモンテイマーズ」などが制作され、現在も劇場版アニメ「デジモンアドベンチャー tri.」やテレビアニメ「デジモンユニバース アプリモンスターズ」などの新作が作られており、息の長いコンテンツとして親しまれている。
関プロデューサーは「デジモン」が誕生した1990年代後半を「携帯電話を持つ人が増えてきた時代。デジタルなものに囲まれるようになっていった」と振り返る。テレビアニメ第1弾の放送が始まった99年は、携帯電話のiモードがスタートするなどインターネットがより身近になり、仮想現実をテーマとした映画「マトリックス」もヒットした。
97年にテレビアニメがスタートした「ポケットモンスター」と比較されることもあるが、「デジモン」はパソコンインターネット、電脳空間、デジタルガジェットなどが登場するなど時代性が大きく反映され、デジタル化する社会とリンクしたのが特徴だった。関プロデューサーは「『デジモン』は時代に合わせたんですよ。だからこそ、子供たちに強い印象を与えることができた」と話す。
時代性が反映された一方で、関プロデューサーは「アニメで描いていることはアナログなんですよ」とも話す。アニメのテーマは、子供たちの成長、デジモンや仲間たちの友情などで、「普遍的なドラマを描き、デジタルという風俗と一体化した。普遍的なものをその時代に合わせて料理したんです。だから、長く愛される作品になったのかもしれません」と分析する。
デジモンという不思議な生物の存在に魅了されるファンも多い。関プロデューサーは、デジモンについて「魂のパートナーという定義付けをしていた。子供たちを決して否定しないで、受け入れる。悪い子だったとしても受け入れる。父や母とは実は違うんです。子供にとっては親は子供に注意することもあるし、必ずしも認めてくれる存在ではない。学校の先生だってどこまで信用できるか分からないし、友達だって理解できているようで、理解できていないところもある。子供にとって本当に自分を受け入れてくれる大事な存在」と話す。
現在、テレビアニメ「デジモンユニバース アプリモンスターズ」が放送中で、新作「デジモンアドベンチャー tri.」の第5章「共生」も9月30日に公開予定。さらに初の舞台版「超進化ステージ『デジモンアドベンチャー tri.』 ~8月1日の冒険~」も8月5~13日にZeppブルーシアター六本木(東京都港区)で上演を控えている。
関プロデューサーが「登場人物、設定を変えながら新作が作られている。今後も残っていってほしいですね。新しい世代がどんどん新しいものを作っていけば、面白いと思います」と話すように「デジモン」の魅力は誕生から20年たっても色あせることはない。今後もファンに愛され続けていきそうだ。
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