女優の満島ひかりさんが、「夏の終り」(2013年)以来4年ぶりに単独主演をした「海辺の生と死」(越川道夫監督)が、29日からテアトル新宿(東京都新宿区)ほかで全国順次公開される。奄美群島を舞台にした、太平洋戦争末期の男女のはかない恋物語。満島さんが恋人をひたむきに愛するヒロインを力強く演じている。特攻で死ぬ運命にある恋人との海辺でのシーンは、妖艶で力強い。
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加計呂麻島をモデルにした奄美カゲロウ島が舞台。昭和19(1944)年12月、大平トエ(満島さん)は子どもたちに慕われる国民学校の先生だ。新しく赴任してきた海軍特攻艇隊隊長の朔中尉(永山絢斗さん)と知り合い、恋に落ち、浜辺で逢瀬を重ねていく。しかし、中尉はやがて特攻艇で出陣する運命にあった……という展開。
戦後文学の傑作小説「死の棘」の島尾俊雄と、同書のヒロインとなった妻のミホをモデルにした物語。ミホの同名短編小説と俊雄の短編小説「島の果て」の内容を織り交ぜて、脚本化した。「狂うひと-『死の棘』の妻・島尾ミホ」で読売文学賞を受賞した梯久美子さんが脚本監修に名を連ねる。2人が出会って、引かれ合う姿が、神がかった奄美の自然の中に描き出される。「ゲゲゲの女房」(2010年)などを手がけ、満島さんの主演作「夏の終り」などのプロデューサーとしても知られる越川監督の2作目。
愛する人の元へと突っ走っていく熱情。もう二度と会えない、触れることもできないという刹那(せつな)の思いを、満島さんが体当たりで演じ、すごみのある演技を見せつけている。自身のルーツも奄美大島にあるという満島さんの野性的な風貌が、幻想的な海や緑生い茂る森の風景にマッチした。情熱的なトエに引かれていく中尉を、永山さんが好演。互いに死を覚悟しながらの恋愛に生きる強さを見いだせる。5人の俳優以外は、すべて地元・奄美の住人が出演。劇中では、奄美で古くから伝わる島唄を、満島さんが歌っている。(キョーコ/フリーライター)
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