音楽家の坂本龍一さんが4日、東京都内で行われたドキュメンタリー映画「Ryuichi Sakamoto: CODA」(スティーブン・ノムラ・シブル監督)の初日舞台あいさつに登場した。初日舞台あいさつは1983年公開の「戦場のメリークリスマス」(大島渚監督)以来約34年ぶりという坂本さんは「こうして日本で一般公開することができて、もちろん僕もとてもうれしいです」と喜びつつ、「(映画を)まともに正視はしていない。一応見ましたけど、とてもじゃないけどこんな大きなスクリーンで自分の姿は恥ずかしくて見られないです」と苦笑していた。
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「Ryuichi Sakamoto: CODA」は、2012年から5年間にわたって坂本さんに密着取材した長編ドキュメンタリー。米ニューヨークの自宅スタジオなどで行われた楽曲制作の様子や、雨の音や北極圏の氷が溶ける音を録音する姿、3人組ユニット「YMO」時代のライブ映像や14年の中咽頭がんの1年近くにおよぶ闘病生活の映像なども収められている。
5年間におよんだ映画の密着取材が坂本さんの提案だったことをシブル監督が明かすと、坂本さんは「こっちから言ったの?」とシブル監督に確認して苦笑い。その後、「自分を撮ってほしいということではなくて。2011年の災害の後の、激動の日本の社会みたいなことを、僕を使いながら撮ってほしい、みたいな気持ちだったんですよ」と説明し、「自分をさらすような露出狂では全然ないんですよ」と笑いを誘った。
また、さまざまな映画監督と仕事をしてきた中で印象的なエピソードを聞かれると、坂本さんは「(『戦場のメリークリスマス』の)大島さんと仕事をしたことが、映画に関わる生まれて初めてのこと」と大島監督との思い出を披露。「映画音楽の作り方も分からなくて。大島さん、なんにも言わないんですよ。ああしろこうしろと言わなくて、楽ではあるんですけど、でも右も左も分からない素人にとってはどうしたらいいか分からなくて」と当時の苦労を明かし、「作ってできたものをそのまま渡して、(大島監督が)全部そのまま使ってくれたっていう……。ビギナーにとってはラッキーだったのかな?」と振り返り、「それ以来、そういう方はいませんね。例外中の例外」と語っていた。
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