松雪泰子:10年後の夢はミゲル役の石橋陽彩の「ドームツアーを見に行く」 「リメンバー・ミー」日本版声優

ディズニー/ピクサーの最新作「リメンバー・ミー」日本版に出演した松雪泰子さん(右)と石橋陽彩さん
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ディズニー/ピクサーの最新作「リメンバー・ミー」日本版に出演した松雪泰子さん(右)と石橋陽彩さん

 ディズニー/ピクサーの劇場版アニメーション最新作「リメンバー・ミー」(リー・アンクリッチ監督、エイドリアン・モリーナ共同監督、16日公開)の日本版に、声優として出演している女優の松雪泰子さん。アニメーションや洋画の声優経験はあるものの、ガイコツ役は初めての松雪さんと、「歌の天才少年」と呼ばれる声優初挑戦の石橋陽彩(ひいろ)さんに、印象に残ったシーンや、演じるために気をつけた点などを聞いた。

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 ◇設定に心底驚く

 映画「リメンバー・ミー」は、ミュージシャンを夢見る少年ミゲルが、ひょんなことから「死者の国」に迷い込み、ガイコツのヘクターに助けられながら、「生者の国」に戻ろうと奮闘する姿を描く。石橋さんがミゲルを、松雪さんがミゲルの亡きひいひいおばあちゃんで、今は「死者の国」で暮らすガイコツのイメルダを演じている。ヘクターの声を俳優の藤木直人さんが担当。映画は、5日に発表された米国の第90回アカデミー賞で、長編アニメーション賞と主題歌賞の2冠に輝いた。

 「ご先祖様を大切にしたいと思いましたし、ひいひいおばあちゃんやひいひいおじいちゃんのことを思いながら、この映画をもう1度見たいと思います」と話す石橋さん。松雪さんも、「血縁は、こうして守られてきたのだと改めて思いました。家族の愛はやっぱり永遠なのだと思いました」と映画の感想を語る。

 松雪さんは、「家族に忘れられると永遠に消えてしまう」という設定に心底驚いたという。「いつか自分もそうなるときが来るのかな、とか、いろんなことを思って切なくなりました」と言いながらも、「でも、だからこそ、日本にも(盆という)風習はありますが、ちゃんと子孫が先祖のことを思ってお参りしたりすることが大事なのだと改めて思いました」としみじみ語る。

 ◇収録が変声期と重なり…

 石橋さんは現在13歳。幼いころからミュージシャンを目指し、歌とダンスのレッスンを続けてきた。2015年にTBSの歌のコンテスト番組「Sing! Sing! Sing!世紀の歌声!生バトル 日本一の歌王決定戦!」ジュニア部門でグランプリを獲得。以来、舞台やテレビ、CMなどで活躍している。

 とはいえ声優は今回が初めて。「最初は不安と緊張しかありませんでした」と語るのは無理もない。しかも収録時が変声期と重なった。日本版の監督から声の大人っぽさを指摘され、「加湿器をつけたり、夜寝るときにはマスクをしたり、日々の生活では、小学校5年生くらいの時を思い出して高い声でしゃべって高音をキープする」などし、収録に備えたという。そのかいあって、松雪さんからは「素晴らしいです。歌もそうですが、ピュアで、心がクリアになる声に、すごく癒やされました」とお褒めの言葉をいただき恐縮する石橋さん。

 ◇楽しんでできたガイコツ

 一方、松雪さんは、「声の音域やボリュームもそうですが、表現する中で威厳を出さなくてはならなかったので、そのあたりを細かくコントロールしながら、ディレクターさんと話し合いながら」イメルダを演じていったという。

 また、「ガイコツとはいえ、表情は豊かですし、キャラクターの心情がしっかりと分かるように細部まで綿密に計算された映像」だったため、「楽しんで演じることができました」と振り返る。そんな松雪さんの演技に、石橋さんは「映画の中のイメルダは、すごく厳しいというイメージでしたが、松雪さんはとても優しい声なので驚きました」と感嘆していた。

 ミゲル同様、もし大好きな音楽を禁止されたら? 石橋さんは「いろんなステージで、いろんな人に自分の歌を聴いてもらって、もう一度歌をやれるように努力します」と前向きなところを見せる。10年後の自分を想像してもらうと、「あの、すごく大きな夢なのですが……」とはにかみながら、「歌手として、東京ドームだったり、アリーナツアーだったりができていたらいいなと思っているのですが、まだまだなので……」と打ち明ける。それを横で聞いていた松雪さんは、すかさず「私は10年後、そのドームツアーを見に行きます(笑い)」と石橋さんの夢にエールを送った。映画は全国で公開中。

 <石橋陽彩さんのプロフィル>

 いしばし・ひいろ 2004年8月24日生まれ、千葉県出身。幼いころから歌とダンスのレッスンを始め、15年、TBSテレビ「Sing! Sing! Sing!世紀の歌声!生バトル 日本一の歌王決定戦!」でジュニア部門グランプリを受賞。以来、CMや舞台、テレビなどで活躍中。

 <松雪泰子さんのプロフィル>>

 まつゆき・やすこ 1972年11月28日生まれ、佐賀県出身。1991年、テレビドラマ「熱血!新入社員宣言」で女優デビュー。主な映画出演作に「フラガール」(2006年)、「容疑者Xの献身」「デトロイト・メタル・シティ」(共に08年)、「脳男」(13年)、「at Home アットホーム」(15年)、「古都」(16年)、「鋼の錬金術師」(17年)などがある。4月から放送のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」に出演する。

 (取材・文・撮影/りんたいこ)

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