「映画 聲(こえ)の形」などの山田尚子さんが監督を務めた劇場版アニメ「リズと青い鳥」のトークイベントが11日、東京都内で開催され、山田監督と音楽を担当した牛尾憲輔さんが登場した。
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「リズと青い鳥」は、アニメ「響け!ユーフォニアム」に登場する鎧塚みぞれ、傘木希美という2人の女子高校生を中心とした物語で、劇中の音楽は山田さんが描いた絵コンテを基に作られていったという。山田さんは「牛尾さんが『コンテを読んでいたら、すごく3拍子の音が聞こえてくる』と言ってくださったんです。私も希美とみぞれのテンポは、3拍子だとずっと思っていて、コンテを切るテンポも3拍子だった。無意識にそうしていたので、牛尾さんに3拍子が伝わったのはうれしかったです」と語った。
牛尾さんは、希美とみぞれの繊細な心のやりとりを「のぞき込んでいる」雰囲気が作品のコンセプトだったと話し、音楽に「物音や周りの音を導入したい」と考えたという。そのため、実際に舞台となった学校へ足を運び、「椅子をたたいたり、窓をこすったり、ロッカーをたたいたり、ビーカーを弓でこすったりした。そういう音を使って音楽を作っていった」と明かした。
劇中では、オープニングとエンディングにみぞれと希美の足音で音楽が作られていくようなシーンがあり、牛尾さんはそれを「物音ミュージカル」と表現。牛尾さんは「最初に2人であの場面のテンポを決めて、そのテンポに合わせて山田さんが絵コンテを作られた。その絵コンテを動画の素材にしてもらい、それに合わせて必要な効果音を取り寄せ、足音をはめて、音楽にしていった」と説明した。
山田さんが希美とみぞれの足音について「最初は、みぞれがBPM60で、希美が110でしたね」と話すと、牛尾さんは「最初のコンセプトとして『互いに素』『disjoint』というキーワードがあった。ただ、エンディングの2人が下校するシーンで足音が4歩ぐらい合うんです」とコメント。さらに「そこはみぞれがテンポ100で、希美が99と101という『互いに素』のテンポでずっと変異していく。その変異の中で4歩だけ合ったんですよね。狙ったわけではなく奇跡的に合った。すごく感動的なところでしたね」と振り返った。
牛尾さんは「一つ一つのアニメーションのカッティングとか切り替えの点は、音楽のテンポをベースに作っていくというやり方をしました。『スポッティング』といって、音をアニメに置き換えていく作業をしました。象徴的な意味では山田さんが作曲されたような、僕がアニメをコントロールしたようなオープニングとエンディングになっていって、それはすごく面白かった」と語った。
「リズと青い鳥」は、武田綾乃さんの小説「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部、波乱の第二楽章」(宝島社)が原作。北宇治高校吹奏楽部のオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美の心の動きを丁寧に描く。みぞれにとって、希美は数少ない友人で強く執着するが、徐々に2人の関係が変化していく。「響け!ユーフォニアム」「映画 聲の形」と同じく、京都アニメーションが製作している。
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