西郷どん:岩倉具視が本格登場 鶴瓶の起用は脚本家の“鶴の一声” その魅力は…

NHK大河ドラマ「西郷どん」に岩倉具視役で出演している笑福亭鶴瓶さん (C)NHK
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NHK大河ドラマ「西郷どん」に岩倉具視役で出演している笑福亭鶴瓶さん (C)NHK

 鈴木亮平さん主演のNHKの大河ドラマ「西郷(せご)どん」の第30回「怪人 岩倉具視」(12日放送)から、笑福亭鶴瓶さんが演じる岩倉具視が本格的に登場する。劇中での岩倉は、尊皇攘夷派によって朝廷から追放され、洛外の小さな農村で生活しながら、虎視眈々(たんたん)と再興の機会をうかがっている……ようでいて、その実、ボロボロになった小さな母屋で賭場を開催するなど、夜中にゴソゴソと動き回り、金づるを探すことから「ヤモリ」と揶揄(やゆ)されている怪しい男。風貌も公家らしさは一切なく、言葉遣いや話し方に至っては「ほぼ現代の関西弁?」、または「鶴瓶師匠のまんま?」と評判の、かなりクセの強いキャラクターとなっているが……。

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 ◇脚本の中園ミホが直感 岩倉具視は「鶴瓶さんみたいな人」

 岩倉具視といえば、下級公家出身でありながら、朝廷を動かし、西郷、大久保らと協力して幕府を倒すと、明治新政府でも活躍。また和宮降嫁(かずのみやこうか)や王政復古などを実現させた類いまれな策謀家であり、時流を見極める冷徹な目と、ユーモアや大胆な行動力を持ち合わせた「傑物」としても知られ、500円札の肖像画も有名だ。

 鶴瓶さんの起用は、脚本の中園ミホさんの“鶴の一声”で決まったという。制作統括の櫻井賢さんは「かなり初期の段階で、中園さんの中で『鶴瓶さんみたいな人』というある直感があったようです」といい、「『目の奥が笑っていない』とか。いわゆる侍、もののふ(武士)の価値観とはまた違う『傑物』というものをどう表現するか。千年の都というお公家の社会の表も裏もみんな見てきた人の強さやしたたかさが岩倉の魅力であり、そういう我々の思いを鶴瓶師匠には受け止めてもらった」と経緯を明かす。

 ◇役者・鶴瓶の魅力は底知れない? 「瞬発力」「人の懐に入っていく強さ」…

 実際に役を演じてもらった鶴瓶さんの印象を聞くと、「ここまでお公家言葉がフランクだったかは分かりませんが(笑い)、ものすごく瞬発力を持っていらっしゃる」と感心する。「吉之助(鈴木さん)が岩倉に迫るところでのドキッとするような表情。ああいう瞬発力は(鶴瓶)師匠ならでは。人の懐に入っていく強さ、エネルギーみたいなものも、役にうまく乗り移っている」と今回のキャスティングに自信をのぞかせている。

 さらに櫻井さんは「いろいろな人を知っていらっしゃるというか。人間の深みを知っていらっしゃる。『こんなに力が抜けていていいんだろうか』っていうくらい、収録の待ち時間もよくしゃべっているのですが、本番に入ると、グワッとすごい顔をする。その中で出てくる説得力のある表現。奥底の知れない、俳優としてのすごい才能を持っていらっしゃる」と手応えを感じている。そして「岩倉という人の魅力をまた見つけていただける機会になるでしょうし、西郷、大久保とは全く違うタイプの岩倉が、どう時代を切り開いていくのか、楽しんでいただけるんじゃないでしょうか」と力を込めた。

 「西郷どん」は、明治維新150年となる18年放送の大河ドラマ57作目。薩摩の貧しい下級武士の家に生まれた西郷隆盛(吉之助)の愚直な姿にカリスマ藩主・島津斉彬が目を留め、斉彬の密命を担い、西郷は江戸へ京都へと奔走する。勝海舟、坂本龍馬ら盟友と出会い、革命家へと覚醒。やがて明治維新を成し遂げていく……という内容。NHK総合で毎週日曜午後8時ほかで放送。

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