コミケ:五輪対応で障害も「ベター目指す」 共同代表に聞く

10~12日に東京ビッグサイトで開催された「コミックマーケット94」
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10~12日に東京ビッグサイトで開催された「コミックマーケット94」

 日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット(コミケ)94」が10~12日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催され、酷暑にもかかわらず3日間で約53万人を集めるなど変わらずの人気だ。だが、2020年夏は東京五輪のために東京ビッグサイトを使えず、「コミケ98」は、同年のゴールデンウイーク(GW)への前倒しとなった。19年夏の「コミケ96」(8月9~12日)と冬の「コミケ97」(12月28~31日)は、東京五輪に向けた工事のため同施設の東展示棟が使えなくなり、施設からから約1.5キロ離れた青海展示棟(建設中)を利用せざるを得ない。運営するコミックマーケット準備会の市川孝一共同代表に聞いた。

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 ◇19年 実は5日間開催も検討

 ――19年夏・冬のコミケの4日間開催を決めた理由は。

 ビッグサイトの東展示棟が使えなくなり、コミケで1日に利用できる面積が今の7割程度になると、一般サークルの抽選率が悪くなりますよね。それは私としては論外でした。そこで考えたのが開催の延長で、五輪が決まった段階から(内部では)2年前に案を出していました。今回のタイミングで発表したのは、まだ知らないコミケスタッフもいて、これ以上延ばすと準備に間に合わなくなるからです。

 ――4日間だと、スタッフが仕事の休みを取れますか?

 19年の夏は、山の日(8月11日)が日曜日で、月曜日の12日が振り替え休日になるんです。年末も土曜日が初日の12月28日に当たっていて、日程が良いのです。恵まれたと思う半面、(4日間なので)我々の体力、そして(皆さんが)参加してくれるかですね。ぜひ体を鍛えて、頑張ってほしいと思います。

 ――それでも4日間は大変そう。

 海外のサブカルチャーのイベントは4、5日間というところも多いですよ。実は5日の開催も考えました。5日間にすれば企業ブースの入れ替えもできるし、サークル数も増やせる。でも(コミケのスタッフが)疲れ果ててしまうので「ダメだろう」と却下しました。ところが、最初に3日、4日、5日の開催でどれが良いか(スタッフに)質問して、目を閉じて挙手してもらったら、意外に5日間が多かった。みんな、すごく頑張るんだと感心しました。もちろんスタッフも好きだから頑張れるのだとは思いますが……。我々もいろいろ考えますので、皆さんもぜひ考えてほしい。後ろ向きではなく、前向きに明るい未来をもって考えてもらえればと思います。

 ◇2020年GWの日程は「来年の今ごろに発表したい」

 ――20年のGW開催ですが、ネットでは賛否両論です。同人誌を出展する一般サークルの反応は。

 サークルさんは、まだ実感がないのだと思う。作家さんが締め切りに追われるように、もう少したたないと分からないのかもしれない。

 ――ですが、運営側は待ったなしなのでは。

 もちろんです。我々(運営側)は準備をする側で、スタイル(方針)を決めないといけません。7団体で動かしている(2020年のGWに開催する)プロジェクト『DOUJIN JAPAN2020(仮)』では、関係者で毎月顔を合わせています。準備を怠らないのはもちろん、どうすればサークルさんに話が届くか。いろいろ企画を練っています。

 ――20年のGWに開催されるコミケ98の日程は?

 来年の今ごろには発表したい。(GWに)やることは絶対なので、後は中身を考えています。

 ◇コミケの酷暑対策 13年夏から取り組み

 ――今年は全国で熱中症が問題となりました。コミケの対応は。
 コミケの開催前は、全国で35度超えの場所も多く、全国的に暑かったので、開催前に瞬間冷却パックや氷、水の手配などをしました。ですが、いざ開催してみると、予想より気温が低かったので、(用意した氷などは)それほど使うことはありませんでした。もちろん、使わないことが良いことなので、それは良かったと思っています。ただコミケの酷暑対策は以前から取り組んでいます。

 ――いつごろから?

 13年の夏は、コミケ来場者の熱中症が多く、救護室から病人があふれるほどでした。そのころ熱中症は、今ほどメジャーではなかった。今は熱中症が知られるようになり、来場者が対策をしてくれたのが結果として良かったと思います。コミケは13年夏を教訓にしていて、今では救護室が人でいっぱいになったらどの部屋を次の救護室にするか、あらかじめシフトが決まっています。1回やった失敗を2回しないことが大切なんです。

 ――酷暑対策はしていたのですね。

 そうですね。ですが、繰り返しになりますが、参加者が熱中症を予防するための装備を持ってきてくれるのが大きいと思っています。もちろん油断をしてはいけないわけで、我々スタッフも装備をするので、皆さんも対策をしっかりして来てもらえれば。全員が意識を持てば、コミケは安全な場所なのですから。

 ――19年と20年の問題。そして酷暑対策。コミケはいろいろな人の意見があって、まとめるのが大変です。

 コミケは立ち止まるわけにもいきません。今よりもベストがあるのかもしれませんが、まずは思いつくベターを考えたい。ベターの精度を上げて、できるだけベストに近づけて、次の問題があれば次のベターを考えるのが大切だと思っています。

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