モンスターハンター:ワールド:<解説>カプコン“悲願”の1000万本 「ただの通過点」上積みどこまで

「モンスターハンター:ワールド」のゲーム画面(C)CAPCOM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
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「モンスターハンター:ワールド」のゲーム画面(C)CAPCOM CO.,LTD. ALL RIGHTS RESERVED.

 カプコンの人気ゲーム「モンスターハンター:ワールド」の世界累計出荷数が1000万本を突破したことは、同社が目指した世界的大ヒットを作った証しといえる。既に「バイオハザード」シリーズや「ストリートファイター」シリーズなどのヒット作を持つ同社だが、辻本憲三会長は10年以上前から、決算説明会などで両シリーズを上回る「ソフト単体で1000万本クラスのゲームを作りたい」と発言しており、その“悲願”が結実した形だ。

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 だがここ10年の国内ゲーム会社は、巨額の開発費と先端技術を投じる欧米のメーカーに遅れを取っていた。国内市場も基本利用料無料のスマホゲーム市場の拡大の前に、家庭用ゲーム機の売り上げが伸び悩む中、主に携帯ゲーム機で展開していた「モンスターハンター」シリーズも、社会的現象を巻き起こしたかつてのような“メガヒット感”はなくなった。しかし今回の新作「ワールド」は高画質のCGで楽しめる据え置き型のゲーム機で勝負をかけ、欧米のユーザー獲得に成功した。「モンスターハンター:ワールド」の1000万本の比率だが、国内と海外では3対7。国内市場だけを見ると、以前のように500万本は狙えないものの、欧米でのヒットでカバー以上の成果を収める構図だ。

 今までのシリーズは、日本先行・海外後発の発売だったが、世界同時発売という海外からの要望に応じただけでなく、敵に与えたダメージ数を表示させるなど海外ファンの好みも研究、さまざまな変更を加えたこともプラスに出た。海外の大作ゲームが「FPS」と呼ばれる対戦型の射撃ゲームばかりになったことで、剣やハンマーなどの武器を手にモンスターを狩るという違うタイプの「モンハン」が受け入れられる素地もあった。そうした“追い風”はあるものの、社内の反対意見もある中でリスクを覚悟し、巨額の開発費用がかかる据え置き型ゲーム機で勝負に踏み切った判断が、最高の結果をもたらした。

 わずか半年での大台達成ではっきりしたのは、この1000万台は「ただの通過点」に過ぎないことだ。米国などでは、ゲームの売れ行きが落ち着くと、メーカー公認の値下げ「プライスプロテクション」があり、さらに売り上げを伸ばせる見通し。現在中国での販売が停止されているが、もしも解除されたらさらに大きく数字を積み上げることは確実だ。同作はオンライン対応ゲームでもあるため、新モンスターを追加できる強みもあり、どこまで数字を積み上げられるか注目だ。

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