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フジテレビ:深夜アニメ枠を新設する理由 「+Ultra」で世界に向けた戦略

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フジテレビの新たな深夜アニメ枠「+Ultra」の第1弾として放送されるアニメ「INGRESS THE ANIMATION」のビジュアル(C)「イングレス」製作委員会

 フジテレビの新たな深夜アニメ枠「+Ultra(プラスウルトラ)」の第1弾「INGRESS THE ANIMATION(イングレス)」が17日深夜にスタートする。フジテレビのアニメといえば「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」「ONE PIECE(ワンピース)」などを想像する人も多いかもしれないが、深夜アニメ枠「ノイタミナ」も人気を集めている。10年以上の歴史があり、ブランド化しているにもかかわらず、深夜アニメ枠を新設したことが話題だ。深夜アニメが転換期にあるともいわれている中、なぜこの時期に新設したのだろうか? ノイタミナの編集長を務め、+Ultraも手がけるフジテレビの森彬俊プロデューサーに、新枠の狙いを聞いた。

 ◇ノイタミナはどうなる?

 ノイタミナは、2005年に設立され、「ハチミツとクローバー」「のだめカンタービレ」「墓場鬼太郎」「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「PSYCHO-PASS(サイコパス)」など数々のヒット作を生んできた。+Ultraは「最初から世界を見据えた枠」になるといい、第1弾の「イングレス」は、第1話放送翌日の18日に動画配信サービス「Netflix(ネットフリックス)」で全話一斉配信されることも話題になっている。

 森プロデューサーは新枠について「ノイタミナは、深夜アニメの中でも異端といわれていますが、近年、受け入れられていく中で、次のチャレンジをしたいと考えました。これまで国内のアニメファンに訴求できる作品を作ってきましたが、海外に訴求したい。約14年間ノイタミナを続け、視聴者の目が肥え、熟成してきました。海外のマーケットもそうなっています。多くのアニメは、日本で放送された後、タイムラグがあって海外でも放送、配信されていますが、近年は配信のインフラが整い、世界同時に配信できるようになった。世界中のアニメファンの感覚が日本のファンに近くなっています」と説明する。

 ノイタミナはこれまで、1週間に2作品を放送した時期もあったが、15年4月以降は1作品にしている。ノイタミナで再び2作品放送すれば、枠を新設しなくてもいいのでは?とも考えてしまうが、新枠とノイタミナにはすみ分けあるという。森プロデューサーは二つの枠を「兄弟のようなもの」と考えているといい、「ノイタミナはドメスティックな作品を今まで通りにやっていきたい。+Ultraはドメスティックなものは避け、日本と海外を意識する。ノイタミナも今後、力強いラインアップが決まっています」と語る。

 ◇テレビ放送する理由は?

 日本では、大人向けの深夜アニメの本数が増え続け、ビジネスとして頭打ちになっているという声もある。しかし、「むしろ元気になっていて、メジャーカルチャーになってきた。一方、欧米ではアニメは子供向けで、大人向けのアニメはカウンターカルチャーという認識がある」と考えているという。今後、日本の深夜アニメは、海外でカウンターカルチャーからメジャーカルチャーになっていくことも考えられる。+Ultraはその先導役を目指すようだ。

 大人向けのアニメは、テレビ放送から配信にシフトしつつあるともいわれている。Netflixが今年、「DEVILMAN crybaby」「B:The Beginning」「A.I.C.O. Incarnation」などを独占配信したことも話題になった。配信がメインになりつつあるのであれば、テレビ放送をするメリットはあるのだろうか?

 「国内ではテレビ放送が強い。ニーズもあります。体感ではあるのですが、一時期に比べると、視聴者がテレビに戻ってきているとも感じています。ネットでもテレビの話題が多い。テレビは、多種多様な人が見るもの。配信メインの作品はラジカルになっていき、地上波ではできないことをやっていくかもしれません。今後、配信メインとテレビ放送するアニメではすみ分けができてくることも考えられます」と感じているという。

 一般的に、深夜アニメはテレビ放送はあくまでソフトや原作をPRする場で、ブルーレイディスクやDVDといったソフトや原作の売り上げなどで制作費を回収してきた。しかし、そのビジネスモデルが崩壊しつつあるという声もある。「BD、DVDを売るパッケージビジネスは昔に比べると衰退している。ただ、成功率は低いのですがゲーム化もありますし、パッケージ以外の商品化もあるため、マーケットが縮小しているわけではない。2次利用のモデルが変わっている」。ビジネスモデルは崩壊しているわけではなく、変化しているようだ。

 ◇ジャンルにとらわれずチャレンジ

 新枠の第1弾として17日深夜にスタートする「イングレス」は、世界的に人気のスマートフォンアプリから生まれたアニメ。続いて、「コードギアス 反逆のルルーシュ」などの谷口悟朗監督が手がけるオリジナルアニメ「リヴィジョンズ」が19年1月、「カウボーイビバップ」などの渡辺信一郎監督のオリジナルアニメ「キャロル&チューズデイ」が19年4月にそれぞれスタートする。

 森プロデューサーは「3作品とも、新枠のコンセプト通り、世界に訴求できるクオリティー。『イングレス』は世界で人気がありますし、谷口監督、渡辺監督も海外で人気です」と自信を見せる。「ノイタミナの『PSYCHO-PASS』は、海外でも反響が大きかった。作っている時は、とがりすぎていないか?と心配もあったのですが。海外に目線を向けた時、クリエーターはブレーキを踏むことをあまり意識しないでいいのかもしれません。海外で受けるのはSFだけではありません。日常系があってもいいし、マンガが原作でもいい」と、ジャンルにとらわれずに展開していくようだ。

 「いつか『+Ultraっぽいね』と言われるようになればいいのですが」と語る森プロデューサー。新枠は、転換期ともいわれるアニメ業界の中で台風の目になるかもしれない。

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