12日に公開された映画「音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!」(三木聡監督)で、ヒロイン役と、そのヒロインが歌う楽曲提供者という形でコラボレートした女優の吉岡里帆さんとシンガー・ソングライターのあいみょんさん。今回一緒に仕事をし、親交を深めた2人に、吉岡さんが演じたヒロインへの印象と、日ごろのファッションや女性が輝くために必要なこと、さらに10年後の自分について聞いた。
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映画は、“声帯ドーピング”をやり過ぎて、もはや喉が崩壊寸前の世界的ロックスター、シンと、吉岡さん演じる、恐ろしく声の小さなストリートミュージシャン、明日葉ふうかが偶然出会い、互いの人生に影響を与えていく姿を描く。シンを、俳優の阿部サダヲさんが演じている。
吉岡さんは、演じるふうかを、「やらない理由を見つけてはぐちぐち文句を言いながらも、ちょっと憎めない、マイペースな子」と評する。さらに、「だらだらしている。何がしたい(という気持ち)もない。どうしたいという意志もない。それがふうかのベースにある」と手厳しい。半面、「意外と物おじしない、メンタルは強い人で、あんなに声が小さいのに路上パフォーマンスはする。なんでできるんだろう、なんでやるんだろうみたいな飄々(ひょうひょう)とした感じの面白いキャラクター」と指摘する。
吉岡さんの“ふうか評”を隣で聞いていたあいみょんさんは、「私は、声は全然出るし、歌えるくせに路上ライブをやってこなかった人間なので、真逆なメンタルが面白いなと思いながら(曲を)書きました」と、ふうかが自分とは正反対のキャラクターだったことが、むしろ今回作詞・作曲した「体の芯からまだ燃えているんだ」の創作意欲をかき立てたことを明かす。
そんな、吉岡さんいわく「ふにゃふにゃな芯のない、タコみたいな人。ちゃんとした夢もなかった」ふうかが、映画では、シンと出会ったことで変化し、輝き始める。そこで、吉岡さんとあいみょんさんに、女性が輝くために必要だと思うものを尋ねると、吉岡さんは少し考えてから、「自分の仕事に誇りを持つこと」と答えた。「自分の世界をちゃんと持って、自分で開拓していける場所があるほうが、女性は美しいのかなと思っています」と理由を語った。
一方、あいみょんさんは、「傷つくこと、ですかね。傷つけば傷つくほど、きれいになると思うので。傷つかなくなったら終わりやなと思います、人間、男も女も。それがないと、みんな上に上がりたいと思わないじゃないですか。女の子も失恋したほうがきれいになりたいと思うし。それは恋愛だけでなく、たぶん、皆さんのお仕事でも、悔しいことがあったり、傷つくことがあったりするほうが、さらに上を目指せると思うんです。人間は、満足しきったらおしまいやって感じですかね」と辛口のコメントが飛び出した。
そんなあいみょんさんだからこそ、日々の生活でこだわっていることに、「慣れないこと。毎回、全部新鮮って思わないと、場数(を踏んだ分)だけ、ありがたみがなくなります」と語るのはうなずける。かたや吉岡さんは、日々「周りの人を大切にすること」を心がけているそうだ。
ふうかは、パッチワークのシャツに、襟にファーの付いた柄もののベストや、モンペ風のパンツにポシェットなど、独特のファッションセンスを見せる。そこで2人にファッションへのこだわりを聞くと、あいみょんさんは「むしろこだわらない」そうで、「動きやすいもの」が好みのよう。というのも、「たいてい、スタジオとかに行くと、すぐ衣装に着替える。だから、汚れてもいい、ぬれてもいい」格好がおのずと多くなるそうだ。
かたや吉岡さんは「飽きない、シンプルなデザイン」が好みで、「重ね着はしないようにしています。デニムとTシャツとか、ワンピースとか。1枚で着られる」ものを愛用しているという。なぜなら、「朝、全然余裕がないから(笑い)」。それを隣で聞いていたあいみょんさんは、「結構、重ね着をする」らしく、「レコーディングになると、ずっとスタジオにこもっているので、パジャマで行ってもいいや、ぐらいなんですけど(笑い)、ちょっと外に出て買い物するときとかは、前日から服を選んでおくタイプ」だと明かした。
その言葉に、吉岡さんが「買い物とかするときは、おしゃれな格好したいですね」と賛同すると、あいみょんさんは「そう。なんかね、瀬戸内寂聴さんが言っていました。いつなんどき、運命の人に出会ってもいいように、ちゃんとしておきなさいって」と人生の大先輩から受けたアドバイスを披露。それを聞き吉岡さんも、「大事よね……」とうなずいていた。
ちなみに、「ここ一番!」というときに、あいみょんさんがするのは「ネイルを塗り直す」こと。仕事場へはアクセサリーを着けていかないという吉岡さんは「(ここ一番では)アクセサリーを着ける」ことを挙げていた。
現在、25歳の吉岡さんと、23歳のあいみょんさん。2人に10年後の自分も想像してもらった。すると、「子供を3人は、年子とかで産んでおきたいです(笑い)」と、あいみょんさんが言えば、吉岡さんは「私は、3人は多分産めてないと思う(笑い)。でも、結婚はしていたい」との答え。
とはいえ吉岡さんも母親願望は「もちろんあります」といい、それを聞いたあいみょんさんが、母親になった吉岡さんを想像しながら、「見たい、見たい! 『大変やで。下の子がさあ』みたいなこととか言いたいですね」と笑うと、吉岡さんも「言いたい! そういう子育てしたい。すてきだな。いつかは家庭を持ちたいですね」と自分たちの将来に思いをはせながら、会話に花を咲かせていた。
<プロフィル>
よしおか・りほ 1993年1月15日生まれ、京都府出身。大学在学中から小劇場の舞台に立ち、自主映画にも参加。NHK連続テレビ小説「あさが来た」(15~16年)で注目される。主な映画出演作は「明烏(あけがらす)」「幕が上がる」(共に15年)、「つむぐもの」(16年)、「名探偵コナン から紅の恋歌」(声の出演・17年)。ドラマは「ゆとりですがなにか」(16年)、「ごめん、愛してる」(17年)、「きみが心に棲みついた」(18年)、「健康で文化的な最低限度の生活」(18年)。今後、映画「パラレルワールド・ラブストーリー」(19年)の公開を控える。
あいみょん 1995年3月6日生まれ、兵庫県西宮市出身。中学生のころから曲作りを始め、2015年にタワーレコード限定シングル「貴方解剖純愛歌~死ね~」でインディーズデビュー。16年、シングル「生きていたんだよな」でメジャーデビュー。18年4月に4枚目のシングル「満月の夜なら」、8月に5枚目のシングル「マリーゴールド」をリリース。11月からは過去最大規模の全国ツアー「AIMYON TOUR 2018 -HONEY LADY BABY-」を開催。11月14日リリースの6枚目のシングル「今夜このまま」は、放送中の水曜ドラマ「獣になれない私たち」の主題歌。
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