3人組音楽ユニット「いきものがかり」のボーカルとして知られ、24日に初のソロカバーアルバム「うたいろ」をリリースした吉岡聖恵さん。2016年に同ユニットでデビュー10周年を迎え、17年1月からは、「放牧」と銘打ったリフレッシュ期間を過ごしている吉岡さんに、放牧期間中の日常生活やおのおの活動しているメンバーの水野良樹さんと山下穂尊さんの近況などについて聞いた。
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――改めて、いきものがかりとして放牧宣言をしようと思った経緯は?
10年バンドをやらせてもらえたっていうのが大きくて……。デビュー前に「10年やれたら、いきものがかりとして一つの形ができるんじゃないか」って話していたこともあって、今、リフレッシュしたらいいんじゃないかという気持ちが3人の中で一致したんですね。個人個人が楽しいことを探しながら新しいことをやれたらいいね、みたいなこともあって決めました。どうせなら、いきものがかりらしくユーモアを交えて言おうかっていうので「放牧」になりました。パッと頭に浮かんで私が「放牧」って言ったら、「いいじゃーん!」ってすごく盛り上がって、「じゃあ(公式サイト発表用に)牛の着ぐるみを着ようよ」「草の上で写真を撮ろうよ」ってバカバカしい考えが浮かんで、着ぐるみに手を出しました(笑い)。
――放牧期間中はどんなふうに過ごしていたんですか。
放牧してすぐニューヨークとロサンゼルスに2回、グラミー賞の表彰式を見に行ったり、(沖縄の)竹富島に行ってまさにリフレッシュの時間を過ごしたり。最近では本当の放牧を見てみようと思ってスイスの牧場に行ってきました。フィンランドからスイスの乗り換えに失敗して、フィンランドに1泊することになり、フィンランドの海辺で歌ったり。
あとは早寝早起きだったり、料理サイトを見て料理を作ってみるとか。意外とお酒が好きなんですよ。忙しいときは結構、セーブしてたんですけど、普通に友達と飲みに行く機会とかがあったので、(それをきっかけに)きゅうりの漬け物や焼き鳥、しょうが焼きとか、普通のつまみ系を作ったり。お酒は何でも飲むんですけど、とりあえずビールから飲んで、必ず飲むのはレモン酎ハイです。
――メンバーの水野さん、山下さんとは連絡を取り合っていますか。
そうですね。ご飯を食べに行くこともあるし、意外とリーダー(水野さん)の家に集まって結構、ミーティングしたりとか。メンバーは人に曲を書いたり、本を出したりとかしていて、お互い何をやっているかも気になるから、「あれ、やってたよね」とか「どんな曲なの?」っていうコミュニケーションをとったり。あとは“お疲れー”とか、LINEで変なスタンプを送ったりとかしています(笑い)。
リーダーは表に出ている曲以外にも、いっぱい曲を作っているし、やっぱり音楽に対する情熱や創作意欲はすごいなって。あと、山下は改めて自由人だなって思いました。本人が仲間と所有している山小屋があるんですけど、キャンピングカーを買って、休みのときにその山小屋に通って東屋を建てたり、キャンプファイヤーをしたり。改めて、いい意味で全然違う3人だなって思います。
――2人は吉岡さんのご兄弟の同級生だったんですよね。最初はお兄さん的な存在だったんでしょうか。
出会ったときから“メンバー”だったんですよ。水野は兄弟とのつながりで、いきものがかりより前にコピーバンドで一緒になったのが最初で、その後に路上ライブに参加させてもらうんですけど、山下ともいきなりメンバーとしてライブをやっちゃったので……。会ったときの感覚が本当にナチュラルだったんです。会った日(初の路上ライブを行った1999年11月3日)の帰りの電車で「次、どうする?」って話をしていて、「俺たち3人で一緒にやろうよ!」っていう熱い決断というよりは、そういう感じだったんで……。いい意味で学生のころの距離感と変わっていない気はします。来年結成20年で、もう人生の半分以上一緒にいるので、もう何か家族みたいな感覚ですね。
――改めて、放牧中の生活は吉岡さんにとってどんな時間でしたか。
規則正しい生活を送ること、シンプルなことや普通のことをやっているというのは、心身ともにすごく整うというか……。地に足が着いた時間をもらえたこと、次のステップ(アルバム制作)に行く段階ですごく静かな時間を過ごせたことが、当たり前のようでいてすごく貴重なことだなって思いましたね。
<プロフィル>
よしおか・きよえ 1984年2月29日生まれ、神奈川県厚木市出身。2006年3月、いきものがかりのボーカルとしてシングル「SAKURA」でメジャーデビュー。16年3月に10周年記念ベストアルバム「超いきものばかり~てんねん記念メンバーズBESTセレクション~」をリリース。17年1月にグループとして「放牧宣言」をし、18年10月24日に初のソロカバーアルバム「うたいろ」を発売した。
(インタビュー・文・撮影:水白京)