良いこと悪いこと
第8話 7人目、だーれだ?
12月6日(土)放送分
女優の新垣結衣さんと俳優の松田龍平さんがダブル主演する連続ドラマ「獣になれない私たち(けもなれ)」(日本テレビ系、水曜午後10時)。理想の女性を演じるため、仕事、恋に身を削って努力している深海晶(新垣さん)と世渡り上手の毒舌男・根元恒星(松田さん)の「ラブ(かもしれない)」ストーリーだが、パワハラなどを受け、身を削って奮闘する晶や登場人物たちの恋愛模様に、SNSでは「リアルすぎる」「見ていてつらい」などの声があがった。なぜ視聴者はリアルさを必要以上に感じてしまったのか? その裏には制作陣のリアルにこだわった脚本と、新垣さん、松田さんをはじめとしたキャスト陣の演技力があった……。
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ドラマは、ヒット作「逃げるは恥だが役に立つ」、「アンナチュラル」(共にTBS系)などで知られる野木亜紀子さんによるオリジナルストーリーだ。
視聴者の「リアルすぎてつらい」という反響には「良くも悪くも驚きました」と語る松本京子プロデューサー。仕事と恋に八方塞がりの晶の姿に「つらい」といった声が上がると同時に「自分ならすぐ辞める」「自分の境遇を見ているよう」といった“共感”ともとれるコメントも並んだ。松本プロデューサーは「皆さんの中に、怒りなど共感していただける部分があるのだと思います。フィクションとして見ていないというか、自分に重ねて楽しんでくれているんだと感じました」と話す。
松本プロデューサーは、「『主人公がズバズバと問題を解決する』『恋ができない主人公が運命の人と出会っていきなり恋が始まる』ということが現実的ではない」と説明する。その点については、ドラマを進めるにあたって野木さんとも話し合ったといい、結果、晶と恒星のように“大人になればなるほど恋に落ちづらい”、社長からパワハラを受ける晶が、業務改善を申し込んでも“あっさり切られる”といった「リアルさにこだわった」とも明かしている。
野木さんは、登場人物たちがどこで生まれ、どこで育ち、どこの学校を卒業したかといった経歴や年表を作るほどの緻密さで、脚本の段階でリアリティーを追求。松本プロデューサーも「ものすごく緻密で(物語に)たくさんの伏線を張ってくれている」と満足そうに語る。
実は脚本の段階では、フィクションとして楽しんでもらえるはずだったという松本プロデューサー。視聴者が登場人物と距離を置けないほど、共感してしまった理由の一つに、新垣さんらキャスト陣の「演技力」を挙げ、「新垣さん、松田さんをはじめキャストが自分たちの役とものすごく向き合い、表現する演技が素晴らしいから」と分析。リアルにこだわった脚本と新垣さんたちの演技が「相乗効果を生んで、リアルさを増していったんだと思います」と結論づけている。
演出についても「けもなれは(進展の)一歩一歩の一歩が小さい。『ながら視聴』『倍速視聴』では見落としてしまうほど、せりふや表情などの動きを丁寧に作っています」と自信をのぞかせる松本プロデューサー。「今後も容赦ないリアルさで進んでいく」という「獣になれない私たち」の明日がほのかにでも明るいことを期待したい。
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