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ゴジラ:虚淵玄「ゴジラは人間の因果」 アニメ版ならではの“観念として怪獣”とは

アニメ 映画
劇場版アニメ「GODZILLA」3部作の(左から)静野孔文監督、瀬下寛之監督、ストーリー原案・脚本を担当した虚淵玄さん

 怪獣映画「ゴジラ」の劇場版アニメ最終章・第3章「GODZILLA 星を喰(く)う者」(静野孔文監督・瀬下寛之監督)が9日、公開される。ゴジラ映画史上初の3DCGアニメーション作品として、全高300メートルのゴジラ・アースや、超科学が生み出したメカゴジラシティの登場などが話題となったが、ストーリー原案と脚本を手がけた虚淵玄(うろぶち・げん)さんは「アニメ版では観念としての怪獣、人知を超えた存在としての怪獣を描きたかった」と振り返る。虚淵さん、瀬下監督、静野監督にアニメ版ゴジラでのこだわりを詳しく聞いた。

 ◇アニメだからこそ表現できた「観念としてのゴジラ」

 作品には、2万年もの間、地球に君臨し続けてきたゴジラと人類の因縁の物語が描かれており、「名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)」などの静野さんとアニメ「亜人」などの瀬下さんが監督、「魔法少女まどか☆マギカ」「Fate/Zero」などの虚淵さんがストーリー原案と脚本を担当。「シドニアの騎士」「亜人」などのポリゴン・ピクチュアズが製作する。

 虚淵さんは、アニメ版ゴジラでは「特撮ではなくアニメということで、相当むちゃな提案をさせてもらった」と振り返る。アニメ版では、シリーズ史上最大規模のゴジラ・アース、メカゴジラが増殖したメカゴジラシティが登場してきたが、最終章では、金色の高次元怪獣・ギドラが新たに登場する。

 虚淵さんは「まさに今回のキングギドラの表現もそうですし、そもそも『体長300メートルのゴジラとかどうするの?』『街が全部メカゴジラとかどうするの?』と。脚本で文字に書くのは楽かもしれないが、絵にした時にどうするんだという責任を監督のお二人に全て取っていただけたというのは、本当にありがたい限りです」と語る。

 怪獣たちをこれまでと違った形で表現したことには、虚淵さんの「アニメであれば、観念としての怪獣というものを描けるだろう」という思いがあった。虚淵さんは「怪獣が実在した時にどんなふうに怖く見えるかとか、生々しい肌の実感としての恐怖を描けることが特撮の強み」だといい、アニメでは「特撮が扱わないところから切り込んで怪獣を描きたかった。どんなメッセージ性のもとに初代のゴジラが描かれたのかという観念としてのゴジラ。重量や臨場感といったものではない恐怖の対象、人知を超えた存在としての怪獣を描いてみたかった」と明かす。

 ◇アニメ版の大前提は「怪獣プロレスにはしない」

 瀬下監督は、そもそもアニメ版では「企画の初期段階で東宝さんから『このアニメ版ゴジラは怪獣プロレスにはしません』という宣言があった」と明かす。「怪獣という存在と怪獣プロレスは、日本ではどこかセットになっちゃっていますけど、今回はプロレスをしない怪獣という起点だった」と振り返り、虚淵さんもその大前提で原案を作り上げたという。また、特撮のゴジラ映画に詳しくなかった静野監督には、あえて見ないまま製作を進めてもらうようにした。

 「そうすると、(ゴジラ映画を見ていない)静野監督の視点ならではのアイデアがバンバン来るわけです。その結果、出来上がったアニメ版を、これまでゴジラを見たことがない女性のファンが見てくださっている。そういう意味で戦略や目的は達成できている」と瀬下監督。実際のところ、虚淵さんも瀬下監督も「怪獣プロレスが大好き」といい、「でも、今回はそこじゃない。極論を言うと、もし僕と虚淵さんだけで作っていたら、第2章の『メカゴジラシティ』は最後に全部が飛び立って合体して、高さ1キロのメカゴジラになっていたと思います。そこから30分は戦闘シーン」と冗談めかして語っていた。

 静野監督は、アニメ版の製作を通して「ゴジラとはこういうものなんだとすごく勉強になったし、怪獣映画の面白さを味わうことができた。メカゴジラとキングギドラがここまでファンの気持ちを引き付ける怪獣なんだと改めて知った」と話し、「3部作全部作り終わったので、やっとゴジラ映画を見ていいことになる。伝説になっている怪獣たちが、どのように映画で表現されて、今のこの地位があるのかを改めて勉強したい」と語った。

 ◇「ゴジラ」とは一体何なのか

 改めて「ゴジラとは?」と聞くと、虚淵さんは「初代を見て思ったことですが、そもそも科学へのアンチテーゼというか、文明に対する警告というポジションで出てきたモンスター」と分析。「倒す・倒さないという存在ではなく、人間の因果だろうなと。運命というか。今現在栄えている人間と、その行き着く先にいるゴジラ。そんな位置付けを背負っている特別な怪獣なんじゃないか。人間とゴジラは根っこにおいては共通のものだと思う」と語った。だからこそ、最終章で「人間の因果とは全く関係のない」ポジションで登場する怪獣ギドラは、ゴジラと人間の共通の敵になるのだという。

 瀬下さんは、以前のインタビューで「ゴジラのモチーフはご神木」と表現し、背びれはヒイラギの葉をイメージしたと明かしているが、植物をモチーフとしたことには意味があったようだ。「今でも地球上では、植物が最も古くて、最も多くて、最も巨大。生態系を見ても、昆虫などは植物の繁栄、安定のために存在しているんじゃないかと。地球は植物のものかもしれない」と話し、「実際に植物は『俺たちが支配者だから勘違いしないでね』とかは言わないんですけど……。この数億年で出てきた人間という動物が、あまりにも調子に乗っているから、とりあえず動くかと全部消し去った。そんなことも考えてやっています」とゴジラのモチーフに秘めた思いを明かした。

 続けて瀬下監督は、アニメ版の製作を通して「ゴジラというキャラクターの可能性を感じた」と話す。「僕は元々ゴジラ作品が好きですから、『アニメじゃ無理だ』と言っていたんです。やはり、東宝特撮という様式美の中にゴジラは存在するんだろうと。でも、アニメ版をみんなで力を合わせて手がけて、ここまで来られた」としみじみと語る。

 「今思うのは、ゴジラはもうアニメになってもいいし、東宝特撮の伝統を引き継いでもいいし、ハリウッドになってもいいし、もしかしたら2.5次元ミュージカルになってもいいかもしれない。ゴジラ像は、もっとキャパシティーのあるキャラクターに変容しつつあるんじゃないか。時代を超えて生き続けていく、作られ続けていくキャラクターなのだと身をもって認識し直しました」とゴジラファンとして、また初のアニメーション作品を手がけた監督としての思いを語った。

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