PSクラシック:懐かしさに感涙… おじさんゲーマーが復刻ゲーム機を体験 “はしごプレー”に熱中

「FFVII インターナショナル」のゲーム画面(C)1997 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA LOGO ILLUSTRATION: (C) 1997 YOSHITAKA AMANO
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「FFVII インターナショナル」のゲーム画面(C)1997 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA LOGO ILLUSTRATION: (C) 1997 YOSHITAKA AMANO

 1990年代後半に人気を博した家庭用ゲーム機「プレイステーション(プレステ)」の復刻版で、12月3日に発売される「プレイステーション クラシック(PSクラシック)」(ソニー・インタラクティブエンタテインメント)。「ファイナルファンタジー(FF)VII」に入れ込み、「アークザラッド」や「R4 RIDGE RACER TYPE 4」などプレステの名作タイトルを数多く遊んできたおじさんゲーマーが、話題のゲーム機を実際にプレーしてみた。

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 ◇洗練されたユーザーインターフェース

 PSクラシックは、プレステのデザインをそのままに、本体の大きさは縦横で約45%、体積で約80%のコンパクトなサイズで精密に復刻した。日本、北米、欧州で初代PSの発売日と同じ12月3日に数量限定、9980円(税抜き)で発売予定だ。

 当時のゲーム機は、任天堂のスーパーファミコンがピークを過ぎ、“次世代機”のプレステと、ライバルとなるセガの「セガサターン」のどちらを買うかで議論したものだ。大学生だった当時のおじさんも、さすがに二つのゲーム機を買うのはお財布的に厳しく、友達と相談してお互いに別々のゲーム機を買い、気になったゲームがあれば本体ごと貸し合うようにしたのだった。

 実は当時「セガサターン」を買ったおじさんは、友達と交換する形でPSを借りて「アークザラッド」などを遊んでいた。しかし、数年後に自前のプレステを買うことになる。きっかけは、もちろん「FFVII」の発売だった。その瞬間、友達がそろってプレステとFFVIIを買い求め、みんなゲームを遊び倒し、マテリア集めに熱中して自慢したのを覚えている。おじさんにとってプレステは、確かにそんな青春の一時代を彩った思い出深いゲーム機なのだ。

 さて、涙もにじむおっさんの自分語りはこのくらいにして、さっそく外箱を開けると、見慣れたデザインの本体が見える。慎重に取り出して持ち上げてみたが、軽すぎてとてもゲーム機に思えない。うっかり模型と勘違いしそうなほどで、模型として飾っていても気付かないのではないだろうか。ともあれ、USBケーブルとHDMIケーブルを接続して、懐かしいコントローラーを手に、本体のパワーボタンを押すと、起動音と共に初代PSのロゴが浮かび上がった。ミニファミコンやネオジオミニの時と同様、懐かしさを感じてしまい、ついつい目が潤んでしまった。

 言語選択画面で日本語を選ぶと、20のゲームタイトルがリング状に配置されたホーム画面になった。コントローラーの左右のボタンを押すと、ゲームソフトのアイコンがスムーズに切り替わる。ゲーム中に本体のリセットボタンを押すと、この画面に戻ってくる仕組みだ。ゲームは“クラシック”なのに、洗練されたインターフェースになっているのが不思議だった。

 ◇ゲームをとっかえひっかえ “はしご”が楽しい

 まずは、プレステの代表作ソフト「FFVII インターナショナル」を選ぶ。過去のFFシリーズは軒並みプレーし、PS4で開発されたFF15のイメージもあるせいか、正直にいえば最初は「グラフィックが昔のゲームだなあ」と思った。しかし同時にFFVIIのすごさも実感した。冒頭でヒロインのエアリスが登場し、カメラアングルが引きになって町全体を見せたのは、映画のカメラワークそのもの。20年前に作られたゲームとは思えないし、当時この映像を見てその進化に驚いたことも思い出した。そして10分程度でグラフィックにも慣れて、気が付くと1時間以上プレーしていた。

 とはいえ、今回はたくさんのゲームソフトを触る目的があるので、後ろ髪を引かれる思いで、リセットボタンを押してホーム画面に戻る。するとリセットボタンを押した段階のゲームの進行が自動的に保存された。戦闘シーンでゲームをやめたのだが、再度ゲームをするとその戦闘からプレーできたことに驚かされた。通常ゲームのセーブとは別に、1タイトルに一つオートセーブができる。据え置き型ゲームで面倒だった「わざわざセーブポイントまで行ってセーブ」という作業が不要なのは大きい。もちろん、ゲーム中に通常のセーブポイントはあるので使い分けると快適にプレーできそうだ。

 ただ親切な設計ゆえに感じる時代の変化もあった。「バイオハザード ディレクターズカット」は、セーブを1回するごとにアイテム「インクリボン」が必要だった。そのためセーブに回数制限があり、その緊張感もゲームの面白さだった。ところがPSクラシックは、オートセーブがあるため、回数制限が実質的に意味のないものになっている。もちろんオートセーブはないと困るのだが、現代のスマホゲームでのお手軽プレーに慣れていたおじさんも、そこに一抹の寂しさを感じるのだった。

 FFVIIからバイオハザード ディレクターズカット、R4 RIDGE RACER TYPE 4、ミスタードリラー、METAL GEAR SOLID、闘神伝、サガ フロンティア、XI [sai]、GRADIUS(グラディウス)外伝と名作の数々を片っ端から遊んでいった。オートセーブ機能があるので、次から次へと“はしご”できるのが楽しい。すると当時は気づかなかったゲームクリエーターたちのセンスの良さにも気付かされる。表現的にはほぼ何でもできる現行ハードとは違い、ハードの性能に限界がある中で、面白さのエッセンスを詰めようと試行錯誤しているのが感じ取れるのだ。

 なお当時のプレステは、ソフトの読み込みに時間のかかるゲームが多かった記憶がある。PSクラシックも「ロード時間は特に配慮していない」とのことなので、ロード時間を気にしていたが、遊んだゲームはどれもすぐ快適にプレーできた。ただ、グラフィックがドットで表現されているミニファミコンやネオジオミニといったこれまでの復刻ゲーム機と比べると、3Dポリゴンという現代にもつながる技術で開発されている“古すぎない”ゲームが大半なので、今のグラフィックと比べると見劣りする印象を受けてしまうかもしれない。一方で、RPG全盛期のハードということで、腰を据えてじっくり遊べるタイトルが多いのはポイントだろう。徹夜上等でゴリゴリやりこんでいたあの頃に思いをはせながら、オートセーブで今の身の丈にあったプレーで楽しみたいと考えるおじさんであった。

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