名探偵コナン
#1146「汽笛の聞こえる古書店4」
12月21日(土)放送分
若者向けのイラスト付き小説「ライトノベル」。ここ数年「なろう」の略称で知られる小説投稿サイト「小説家になろう」などのネット発作品の強さが際立っていたが、2018年は1990年代に人気を博した「スレイヤーズ」(KADOKAWA)の18年ぶりの新刊が登場してヒットし、19年は「ロードス島戦記」も出る。18年の書店の売れ行き傾向や流行について振り返り、展望を探った。
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ライトノベルのコーナーが充実している東京・秋葉原の書店「書泉ブックタワー」。同店の18年シリーズ別年間ランキング(17年12月1日~18年11月30日)のトップは「スレイヤーズ」だった。トップ10のうち8作品がネット発の作品で、昨年とほぼ同じくネット系小説のパワーが強い中でのトップ奪取。販売期間もほぼ4カ月だけで2位にダブルスコアの圧勝だった。
10月21日に開催された「ファンタジア文庫大感謝祭2018」で、同店のイベントとして、「スレイヤーズ」の作者・神坂一さんと、イラスト担当のあらいずみるいさんのサイン会が開催され、すさまじい反響だった。ライトノベルにも精通する同店の田村恵子さんは「参加は抽選で、40人の枠に全国から信じられない数の応募がありました。本当に申し訳がないぐらいに……」と明かす。
18年ぶりとなる「スレイヤーズ」16巻は、10月20日発売で、サイン会の対象外商品。「スレイヤーズ」以外のファンタジア文庫も抽選の対象だったが、サイン会希望者はわざわざ「スレイヤーズ」を買い求めた。9月に会の告知をしてから、店側も予想して多めに仕入れたり、追加発注をかけたりしたが、それでも在庫が尽きそうになることがあったという。もちろん16巻の新刊も飛ぶように売れた。
しかもサイン会参加者は、「スレイヤーズ」全盛期のファン層・40代男性だけではなく、女性も多かったという。田村さんは「おそらくですが、CS放送などのアニメを見て知った新規ファンもいるのでしょう」と予測する。同店に置いた主人公・リナの等身大パネルを撮影に来る人もいるなど、人気は依然として高く、田村さんは「終わったコンテンツではなかったということですよね」と笑う。
しかし、全体的に見ると依然としてネット系小説が強い構造は変わらない。年間2位は、2017年のトップだった「魔法科高校の劣等生」(KADOKAWA)で、新刊がしっかり出ていたことが大きいという。ライバル的な「この素晴らしい世界に祝福を!」(KADOKAWA)は11位、「Re:ゼロから始める異世界生活」(KADOKAWA)は16位だった。新刊を出した数がそのまま反映された形だ。
ネット系小説のコミカライズが売れる構造も強まっている。そのため、品数の店数が増える傾向にあり、本が最も目立つ平積みにする期間も、1冊当たりに充てる時間が少なくなるなど店としては悩ましい傾向が続いているという。
そんな中で、19年の試金石とされているのが、4月1日の発売が発表された「ロードス島戦記」だ。詳細は明らかになっていないが、30周年記念の特設サイトが立ち上がり、ヒロインのディードリットが描かれたイラストと共に「また会えたね、ディード――」のキャッチコピーが掲載されている。田村さんは「話題になっている『ロードス島戦記』ですが、商品がそろわないのが惜しい。あれば売れると思うのですが……」と明かす。ラノベが売れないと言われる中でも、ニュースが出るだけで「売れる」と言わせるのが依然としてパワーのある証しだ。
圧倒的なシェアを占めるネット系小説に対抗できるコンテンツがかつてのビッグタイトルで、しかも新規ファンを取り込んでいるのが興味深い。ラノベが人気になれば、当然アニメ化の可能性も膨らむため、ラノベの売れ行きにも注目だ。
1位 スレイヤーズ
2位 魔法科高校の劣等生
3位 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術
4位 デスマーチからはじまる異世界狂想曲
5位 オーバーロード
6位 りゅうおうのおしごと!
7位 本好きの下剋上
8位 ゴブリンスレイヤー
9位 ありふれた職業で世界最強
10位 転生したらスライムだった件
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