小野大輔×山寺宏一:「宇宙戦艦ヤマト2202」 2年以上のアフレコを終え「明るくすがすがしい」 ラストは…

「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」に出演する小野大輔さん(左)と山寺宏一さん(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会
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「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」に出演する小野大輔さん(左)と山寺宏一さん(C)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

 人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」の最新作「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の最終第7章「新星篇」が1日公開された。2017年2月の第1章「嚆矢篇」公開から約2年を経ての最終章。古代進役の小野大輔さん、デスラー役の山寺宏一さんに、アフレコを終えた心境などを聞いた。

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 ◇ベテランも多いアフレコの雰囲気は…

 ――前作「宇宙戦艦ヤマト2199」から始まり、「2202」でキャラクターを演じ終えた、現在の心境は?

 小野さん 「2199」の時は1年半以上、今回の「2202」では2年以上旅をしてきました。いつも同じスタジオで収録していたんですけど、その雰囲気が本当にヤマトの艦内みたいで、一緒に旅をしてきたことを実感しています。最後の収録が終わった時は、ここまで一緒にたどり着いたみんなにお疲れ様と言いたい気持ちでいっぱいでした。ブースからだと、調整室にいる監督たちは第一艦橋にいる艦長に見えるんですよ。

 山寺 あのガラスの感じがね(笑い)。

 小野さん 本当に似ていて。だから、いつもヤマトの中にいるような感覚がありました。それと、役者さんはベテランから若手まで老若男女が参加されていて、世代に関係なくみんなが同じ気持ちで作品に情熱を注いでいました。それは艦長としてとてもうれしかったですし、クルーたちを誇りに思いました。

 山寺さん こんなに長いスパンで収録して、いろいろな世代の人たちが出ている作品はほかにないですよね。ほかのシリーズものとは一線を画す特別な作品でした。しかも、デスラーは毎回出ている役ではないので、ものすごい緊張感がありました。決して殺伐とした空気のスタジオではないんですけど、最後の最後まで一言を発する度に緊張が走っていました。今はまだ終わったんだという実感はなくて、この先も旅が続くんじゃないかという気が勝手にしています。

 ――山寺さんでも緊張されるんですね。

 山寺さん 僕はまだ老若の若ですから(笑い)。ヤマトの現場は、ベテランだけじゃなくて声優業界を引っ張っているような世代から、キラキラした若手までいろいろな人が参加されているので。

 小野さん 緊張されていたんですね。

 山寺さん いや、大変でしたよ(笑い)。「2199」の時は、ガミラス側とヤマト側で別々に収録することが多かったので一人の時間もあったんですけど、「2202」は皆さんと一緒だったので。ほかの現場では中心にいるような人たちが端っこにいたりしてね。

 小野さん そうですね。「あなたがそこに座ったら若手が座るとこないですよー!」って場面もありました(笑い)。

 山寺さん 僕もどうしたらいいかなと思って、さり気なく小野くんの隣に座ることが多かったですね。

 小野さん ご本人はこうおっしゃっていますけど、山寺さんがいらっしゃる時は場の空気がとても華やかになるなと思っていました。

 山寺さん あら、うれしいですね。小野くんがそう言っていたと大きく書いておいてください(笑い)。

 小野さん (大塚)芳忠さんや麦人さんたちはとても気さくな方で、気軽に話していただけるんですけど。僕らからしてみると大先輩なので。

 山寺さん まぁ、ジジィたちがね(笑い)。

 小野さん そんなこと言ってないですから(笑い)。本当にすごい方たちばかりなので、どうやってコミュニケーションを取ったらいいのかと、実は座長として悩んだりもしていました。

 山寺さん そうなんだ。でも、とても良い雰囲気でしたよ。

 小野さん 山寺さんが僕の近くに座ってくださった時に、もう一段現場の空気が上がったような気がしたんですよね。

  ◇このラストにたどり着けて良かった

 ――改めて、「ヤマト」の魅力とは?

 小野さん 普遍的なテーマを描いているなといつも思っています。歌が全てを説明してくれているので、「ヤマト」を知らない人も、イスカンダルに行って帰って来るお話だということは知っています。それは、日本人なら誰しもが知っている桃太郎や浦島太郎のような昔話の域ですよね。その中に日本人が思う美しさや尊さ、男の子が見て血湧き肉躍るようなSF作品としてのエンターテインメント、好きなものが全部入っている気がします。だから、時代を経てこうやってまた新たに作られたとしても、今の時代に生きる人にも共感しながら楽しんでもらえる作品になっているんだと思います。

 山寺さん おっしゃる通りですね。これから全部こうやって答えようかな(笑い)。

 小野さん それはズルいですよ(笑い)。

 山寺さん 多分、一つの要素だけじゃ、こんなに長いことみんなに愛されていないと思うので、いろいろなことが詰まっているのは間違いないです。その中でまず一つは、壮大であるということですね。人々の琴線に触れる人間ドラマもしっかりと描かれています。僕が中学1年生の時、小学生向けの作品が多かったので、もうアニメは卒業かなと思っていたら初代の「宇宙戦艦ヤマト」の放送が始まったんですけど、これほど地球規模の危機を繰り返す作品があるのかと驚いて、どハマりしたことを覚えています。それが今や全宇宙の規模になっていますけどね(笑い)。絶対無理だという危機を何とかみんなで乗り越えるエンターテインメントの王道を、これだけの壮大さで体現してみせたアニメはヤマトが初めてでした。オリジナルの意志を基に、新しいスタッフたちがリスペクトしながら愛を持ってより豊かで新しい物語にして語り続けていますよね。

 小野さん 本当にずっとピンチですよね(笑い)。ピンチを脱しても、またピンチになりますから。

 ――2年以上にわたる「2202」の最後の収録を終えた時の気持ちは?

 山寺さん 僕は途中から参加しているというのもあるので、これは小野くんが代表して答えます(笑い)。

 小野さん みんなとてもすがすがしい顔をしていました。詳しくは言えないんですけど、とても良い終わり方をしています。第7章のあおり文句にもあるように、誰しもが想像できないようなラストを迎えています。ファンの皆さんは「2202」はどうやって終わるのかといろいろな想像をしていると思います。もちろん僕らキャストも想像していたんですけど、その答えはシリーズ構成の福井(晴敏)さんの頭の中にしかないので、とにかくやるだけだと思って臨んでいました。

 そのラストは思った通りのものではないかもしれないですけど、ここまで関わり続けてきて良かったなと、僕は思えたんですね。それで、スタジオを見回してみると、みんながニコニコしていたんですよ。大きな役目を終えてホッとしてドッと疲れているというよりは、明るくてすがすがしい表情をしていて。僕はその光景を見られたことが、座長としてすごく幸せでした。長い旅を続けてきて良かったなと思いました。さすがに、もっと旅したいって人はいませんでしたけどね(笑い)。制作発表会の時に福井さんが「希望のない物語は描きません」とおっしゃった通りだと思いました。これまですごくつらかったんですけど、このラストにたどり着けて良かったですね。見てくださる方にもそう思ってもらえればいいなと思います。

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