水曜日のダウンタウン
電気イスゲームトーナメント 1回戦第2試合 ほか
11月20日(水)放送分
深夜に終電を逃した人に、「タクシー代をお支払いするので、家、ついて行ってイイですか?」と聞き、OKであればそのままついていく様子を描くテレビ東京の人気番組「家、ついて行ってイイですか? 」(水曜午後9時)。毎回、街を歩いていた“市井の人”が主人公の物語が展開されるが、SNSには「やっていると、つい見ちゃう」「見始めると最後まで見てしまう」という声も。“目が離せない”番組はどのように作られるのか。プロデューサーの高橋弘樹さんは「(VTRの)ストーリーは、映画並みにしっかり作り込んでいるつもり」と話す。こだわりの制作の裏側に迫った。
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2014年1月の番組スタートから、これまでに600人以上の一般人の人生ドラマを描き続けてきた高橋さん。2005年に同局に入社し、数々の番組を制作。このほど出版した著書「1秒でつかむ」(ダイヤモンド社)では、番組作りを通して「1秒で惹(ひ)きつけて」「1秒も飽きさせない」技術などを説いている。
同書でも触れているが、「家、ついて行ってイイですか? 」は、TVISION INSIGHTS社が測定する視聴質データランキングの2018年1月クールで、NHK大河ドラマ「西郷どん」、「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)に続いて3位を獲得した。
視聴質とは、人体認識技術を用いて、誰が見ているのか、どのように見ているのか(視聴態勢)を数値化したもの。テレビがついている時にテレビの前にどれぐらい人がいるかを示す指標「VI値」と、テレビの前にいる人の中でどれぐらいの人がテレビを注視しているかの指標「AI値」を掛け合わせた数値だ。
高橋さんは「簡単に言うと、テレビの視聴率はどれだけ多くの人が見ていたか。視聴質は、どれだけ多くの人が実際に見ていたかということと、どのように見ていたかという量と質」と説明。
同ランキングでは、AI値が全バラエティー番組の中で1位だった。高橋さんいわく、「豪華なタレントが出演する番組よりも、終電を逃したおじさんを見ている“目玉”の方が、テレビを凝視して動かなかったということ」になる。
その理由はなぜなのか。高橋さんは「(VTRは)一本15分くらいなんですけど、すごく作り込んで、じっくり見るような作りにしているんです。会話の一つ一つに意味があって、その意味はすべて回収されていくとか、何か物語の構成に関わっているとか。市井の方がおっしゃったことを丁寧にすくい上げ、ストーリー作りでは、映画並みにしっかりその方の魅力が伝わるよう作り込んでいるつもり」と語り、「無駄なものは一切ないと思って編集しているから、情報密度がすごく濃くて、そこが視聴質につながっていたらうれしい」と分析する。
また、番組に対して「とても人生の勉強になる。見ていてどっと疲れる」という感想がある新聞に載っていたことがあったといい、「本来、テレビってリラックスするものだから本末転倒だと思いつつ、でもうれしかった」と振り返りながら、「すごい勢いで相手の感情とかが伝わってくるから、疲れちゃうんだと思うんですよね」と話す。
番組に携わるディレクターは全部で70人で、そのうち若手ディレクターは35人。ディレクターたちの力を合わせて、番組としては月に延べ500回、年に6000本くらいロケに出るという。そのうちオンエアされるのは月12本で、高橋さんは「500回ロケに行っても、ついて行けるのはわずか。全然ついて行けないです。先方の人生に迷惑をかけちゃうとか、いろいろな事情でオンエアに至らないこともあります」と明かす。
そんな苦労の中、家までついて行く映像が撮れた後は、「ディレクターが魅力だと思ったこと、この人の魅力の本質だと思ったことに向けて“磨いていく”」。例えば、家に帰るタクシーの中で「家に奥さんはいるんですか?」と質問した場合に、「普通だったら『います』だけど、『いらっしゃいます』と言う人がいた。そこを(気にせずに)流してしまう人もいるんですけど、たったその一言で、何かそこに込められる意味があるみたいな、ちょっと普通とは違う、違和感があるところをディレクターと僕でひたすら探していく」のだという。
密着したVTRの中には、その人の価値観や魅力など「何か物語のヒントが隠されている」と話す高橋さん。「『います』と言った後の目のそらし方など、ささいなことをずっと見ている」といい、ちょっとした会話の中での、“違和感”を覚えるような言葉選び、仕草などを「見逃さない気持ち」で徹底的に探した後、編集作業で積み上げていく。
「ナチュラルなように見えるんですけど、その人の魅力的な発言を、魅力的な秒数で、魅力的な場所に置く。それによって、15分全体から醸し出すその人の魅力が伝わるようにする。本気で編集しています」と力を込める。
「(番組は)笑っちゃうだけのときもあるし、感動することもある。それは、ディレクターも必死に一生懸命撮っていて、向こう(取材対象者)も真剣に答えてくれていて、自分の人生をさらけ出してくれるから、そこに心打たれるのかもしれないです」と話す高橋さん。ちょっとした“違和感”から見えてくる取材対象者の本質、そして、その本質の魅力としっかり向き合い、伝えようとする制作陣の“愛”が、視聴者を「惹きつけて飽きさせない」のではないだろうか。
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2024年11月22日 10:00時点
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