ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
アニメ「サザエさん」「エイトマン」「鉄人28号」などで知られる老舗アニメ制作会社「エイケン」が今年、設立50周年を迎えた。長谷川町子さんのマンガが原作の「サザエさん」の放送が始まったのが1969年。エイケンの相談役・毛内節夫(もうない・せつお)さんは、スタート時にチーフアニメーターとして参加し、プロデューサーも務めた。毛内さんに、昭和に始まり、平成を経て令和に入る中、「サザエさん」の制作で守ってきたことなどや裏側を聞いた。
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毛内さんは41年生まれ。大学卒業後の63年、エイケンの前身・日本テレビジョン株式会社(現TCJ)に入社。「サザエさん」以外にも「エイトマン」「サスケ」「忍風カムイ外伝」「キャプテン」などに参加してきた。2007年にエイケンの代表取締役社長に就任し、現在は相談役。TCJ入社の1963年に放送が始まったテレビアニメ「エイトマン」にいきなりアニメーターとして参加した。
「小学生の頃からマンガを描いていて、大学で漫研に入っていました。絵を描いて飯を食えるということで入社したんです。アニメはディズニーなどを見たことがありましたが、どうやって作るかは知らなかった。やってみると、うまく動かないんですね。枚数をたくさん描かないといけないですし」
63年は「鉄腕アトム」の放送が始まった年でもあり、日本のテレビアニメの黎明(れいめい)期だった。当時は今のようにアニメの制作方法が確立しておらず、手探りでアニメを作っていたという。
「キャラクター設定がしっかりしていなかったし、作画監督もいなかった。チームに分かれて作っていて、チームによって絵がバラバラでした。チームの中でも主役を私が描く、脇役はあなた、悪人はあなた……と分かれていたりしてね。好き勝手にやっていましたよ。テストを見て、3分の2がリテークになったり」
毛内さんは笑顔で振り返るが、今の制作現場では考えられないような苦労もあったようだ。制作方法が現在のように確立したのは「『サザエさん』の途中くらい」というから驚きだ。
69年にはTCJからTCJ動画センター(後にエイケンと改称)が分社化、独立し、「サザエさん」の放送が始まる。毛内さんをはじめスタッフはそれまで「スーパージェッター」「サスケ」「忍風カムイ外伝」など少年向けアニメを手がけることが多かったこともあり、最初は「サザエさん」の世界観に戸惑った。
「少年向けアニメはアクションが面白かった。立体的に見せようとしていました。ただ、『サザエさん』は違いますよね。どうしたらいいのか分からなかった。最初は『トムとジェリー』みたいにドタバタを描いていたのですが、品の悪さが出ないようにしたり、見ていて不快にならないようにすることを考え始めました。放送2年目を過ぎたあたりから、スタッフも作ることが面白くなってきた」
「サザエさん」は1話の長さが約7分。原作は4コママンガで、原作のエピソードを組み合わせながらストーリーを構築していく。大きな事件が起こるわけではないが、長きにわたり、視聴者を魅了し続けている。
「山あり谷ありではなく、あくが強過ぎてもいけません。でも、気の抜けたサイダーのようになってはいけない。キャラクターの芝居が大切なんです。毎日、新しいことがいっぱいあり、それを膨らませて描く。みんなが見て、優しい気持ちになり、元気になるようにと意識していました」
「サザエさん」は今年、放送50周年を迎えたが、順風満帆だったわけではない。現場が混乱した時期もあったというが、ピンチを乗り越え、長寿番組になった。13年にはデジタル制作に完全移行したことも話題になった。毛内さんは50年以上たっても作品のコンセプトは「全然変わっていないんですよ」と話す。
「キャラクターデザインも初期から比べると随分変わりましたし、お風呂も五右衛門風呂からタイルの風呂に変わったりと、設定が変化したところは多々あります。でも、変えていないことの方が多いんです。世の中がどんどん変わっていますが、根本的に変わらないものもある。今後、人類が何を選択し、日本、世界がどうなっているか分かりませんが、親子、兄弟、友人の関係は変わらない。そこを守っていきたいんです」
長谷川町子美術館(東京都世田谷区)でエイケンの50周年を記念した企画展「エイケン50周年展~アニメサザエさんと共に~」が6月23日まで開催されている。企画展でエイケンが作り続けてきたアニメを見ていると、時代が変わっても変わらないものがあると気付かされる。これからも、見る人が優しい気持ちになり、元気になるアニメを作り続けてくれるのだろう。
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