10年を超える活動歴を持つ4人組パフォーマンスチーム「s**t kingz(シットキングス)」のshojiさんとOguriさんによる新作舞台「My friend Jekyll(マイ フレンド ジキル)」が、6月8、9日にスパイラルホール(東京都港区)で上演される。幅広いジャンルに精通するマツコ・デラックスさんもファンを公言するシットキングスのメンバーが今回、挑むのは「朗読×ダンスパフォーマンス」。得意のダンスとあらゆるものを掛け合わせ、パフォーマンスの可能性を広げてきたシットキングスの新たな挑戦について、当事者であるshojiさんとOguriさんに話を聞いた。
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「マイ フレンド ジキル」は、怪奇小説「ジキルとハイド」が題材で、shojiさんとOguriさんは“朗読の語り手”と“踊り手”に分かれて、物語は進行する。舞台は1日2回全4公演で、2人の役割は回ごとに入れ替わる仕組み。Oguriさんは「台本は全く同じなんですけど、2人それぞれの表現方法があって、全く違う舞台、見え方になるんじゃないのかなって」と話す。
shojiさんも「お互いがイメージするキャラ設定も振り付けも全く違うので、いざ合わせてみたら、そこはそういうキャラクター、動きになるんだって驚きがあった」といい、「同じキャラクターを演じてはいるんですけど、全然違う作品になっていると思います」とOguriさんに同調する。
今回「朗読×ダンスパフォーマンス」という形態はもちろん、“言葉”というものが彼らの舞台に加わるのは初めてとなる。先日「子供たちにも楽しんでもらえたら」と、ぺージに仕込まれたQRコードを読み込むと物語に絡んだオリジナルダンス動画が楽しめるという“踊る絵本”「あの扉、気になるけど」をリリースしたばかりだが……。
「今まで自分たちはいろいろなものと出会って、それらとダンスを掛け算をすることで、たくさんの人に知ってもらえるようになった。さらにもっともっといろいろなものと掛け算して、新しい人と出会うためにはどうしたらいいのかって考えたとき、浮かんだのが演劇とか朗読とか、そういう言葉の表現が好きな方に向けてのアプローチだった」とshojiさん。
また、演劇的な要素は「以前からチャレンジしたかった」分野と言うが、朗読は今回が初めて。Oguriさんは「こんなにも日本語って難しいのかって。普段まったく意識はしていない、文字の連なりに苦戦しています」と苦笑い。shojiさんも「体での表現と比べて、言葉はより具体的。少しでも感情を乗せ間違うと、それがお客さんにストレートに届いてしまう。誰でも耳で聞いて理解できてしまうものだからこそ、普遍的なものだからこその難しさは改めて感じています」と苦労を明かしていた。
その一方で「音楽がすごくいいんです」と声を弾ませるOguriさん。音楽プロデューサーのGOTH-TRADさんが参画し、「独特で、ぐっとくる音楽。怖い雰囲気もあるし、優しいときは本当に優しい。さらにギタリストの方が2人いて、生で演奏してもらうので、それがすごい振動で伝わってきていいなって」とうれしそうな笑顔。
shojiさんは「朗読とダンスのコンビネーション」を見どころの一つに挙げ、「普段は基本的に音に合わせて踊っているんですけど、今回は音が鳴っていたとしても、相手がゆっくりとしゃべったら、自分の動きもゆっくりとなるような、音より朗読に寄り添っているので、ダンスと朗読が呼吸し合っている感じを楽しんでもらえたら」とアピールしていた。
結成から10年を超えようと、こうやって新たな挑戦を、新しいものとダンスとを掛け算することによって活動するフィールドを広げていっているシットキングス。Oguriさんは「一人では絶対に見ることのできない景色があるんです」と前置きし、「予想しなかった、考えてもみなかったことが自分に起こるっていうのはやっぱり楽しいですし、個々の活動で得たものをチームに還元することでまた新しい、面白いものが生まれたりするので、その連続が楽しくて、続いているんです」としみじみ。
shojiさんも「やめたいなって思ったことはないですね」ときっぱり。「メンバー4人でいると、自然と次は何する、次は何するって、すごく前向きな流れで物事が進んでいくので、今までも長期の目標を立てたことはないんですね。自分たちがどうなりたいかって、あえて決めたりはしない。もっともっと、その時その時の面白い出会いを大切にするチームでありたいなって。もちろんダンスっていうものが軸にあるんですけど、常にチャレンジできて、変化できるシットキングスでいられたら」と力を込める。
さらにshojiさんは「とにかく『日本初!』『世界初!』みたいなことをいっぱいやりたいなって。だから、思いついちゃったクリエーターさん、大募集というか。これをシットキングスと一緒にやったら面白いなって思ってくれたら、会いに来てほしいですし、これからも出会いに欲張りでいたいなって」と笑顔で語っていた。