マガジン:「ヒットマン」全員全裸の笑える袋とじが話題 ギリギリ攻めて新境地

「週刊少年マガジン」で連載中のマンガ「ヒットマン」
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「週刊少年マガジン」で連載中のマンガ「ヒットマン」

 「君のいる町」「風夏」などで知られる瀬尾公治さんのマンガ「ヒットマン」の袋とじ企画が話題だ。9月11日発売の連載誌「週刊少年マガジン」(講談社)41号に同作の第1話の登場人物を全員全裸にしたリメーク版が掲載。同17日に発売されたコミックス第5巻特装版の小冊子には、全裸リメーク版のフルバージョンが収録された。中年男性を含めて全てのキャラクターが全裸になった斬新な企画で、SNSで「誰得!?」「衝撃」「笑ってしまった」などと話題になった。斬新な企画が生まれた背景に迫った。

 ◇面白いアイデアを採用する風土 全力でバカをやる

 「ヒットマン」は、マガジン編集部を舞台に、主人公・剣埼龍之介がマンガ編集者として成長する姿を描いている。2018年6月に連載がスタートした。「マガジン」にはこれまでにも「風夏」「ドメスティックな彼女」などの袋とじが掲載されたことがあった。袋とじといえばエロ……と考えてしまいがちだが、「ヒットマン」は笑える袋とじになった。同作の担当編集の講談社の仲田帝士さんによると、斬新な企画が生まれた背景には、同誌編集部の風土が関係しているという。

 「面白いことをやる!という気持ち、面白いアイデアを採用する風土があるかもしれません。今回、最初は全く違う企画だったのですが、編集長から『足りない』『インパクトがない』とダメ出しがあったんです。そこで全裸です。もちろん、会社なので利益につなげなければいけないですし、作家さんが面白がってくれないとできませんが。僕らや作家さんが面白がらないと、面白くはならない。今回も編集部から、瀬尾さんに提案したところ『やるしかないですね』と快諾いただきました。迷っていませんでした」

 編集部や作家が面白がっても、読者がドン引きしてしまう……ということも考えられる。「ヒットマン」の袋とじは、全力で徹底してバカをやった。全員が全裸ということは、もちろん中年男性も全裸だ。「マガジン」41号は、中年男性の全裸が多く描かれた。

 「スベってしまうこともあるかもしれません。100%一生懸命、全力でバカをやる。照れがあるとスベってしまうかもしれませんしね。エロスを感じない全裸は、コメディーになるんだ……と新たな境地になりました。細かいんですよ。太っているおじさんは汗をかいていたり、おじさんの腹筋が割れていたり」

 攻めの姿勢はリスクも伴う。少年マンガ誌ということもあって、過激すぎてもいけない。絶妙なバランス感覚も大切だ。

 「ネーム(マンガの下書き)の段階から、吹き出しでここは隠れますよね?などとしっかり何重にもチェックしています。いつもよりも細かくチェックしながら、ギリギリを攻めていただきました」

 ギリギリを攻めても批判の声はあるだろう。しかし、「読者の皆様には、さまざまなご意見をいただきます。でも、今回もやめようとはなりませんでした」とチャレンジした。

 ◇小さなことを積み重ねが大切に

 仲田さんは「ヒットマン」以外にもさまざまな企画に挑戦してきた。その一つに「別冊少年マガジン」で連載中のマンガ「100万の命の上に俺は立っている」とフリー素材サイト「いらすとや」のコラボがある。同作のコミックス最新5巻の全てのコマをいらすとやの素材に差し替えた特別版「ワケあり無料版」を、「週刊少年マガジン」などの公式サイト「マガメガ」で無料公開して話題になった。

 出版不況が続き、マンガを含めた本が売れないと言われ、電子書籍、ウェブマンガが勢いを増す中、読者に楽しんでもらうためにさまざまな努力を重ねている。

 「娯楽が多様化して、時間の奪い合いになっていますし、作品数が増えている中で埋もれないようにしなければいけません。電子書籍が急成長している一方、中高生はクレジットカードを自分で使えないこともあって、紙のマンガを買っています。どうやって選んでもらうかということを大切にしたい。カバーのデザインも大切ですし、例えば『ヒットマン』の場合、コミックスには、おまけのマンガを入れたり、作家さんに汗をかいてもらっています。実はこんなことをやっています!という情報をいかに届けるかも考えないといけません。小さなことを積み重ねることしかできませんので」

 全員全裸など“バカもやる”が、仲田さんが作品に向き合う姿勢は真面目そのもの。今後も斬新な企画で読者を驚かせてくれそうだ。

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