プリキュアの日:制定の狙い 大人にも愛され続ける理由

アニメ
「プリキュア」シリーズを手がける東映アニメーションの鷲尾天プロデューサー

 2月1日は、人気アニメ「プリキュア」(ABCテレビ・テレビ朝日系)シリーズの記念日「プリキュアの日」。2004年2月1日に第1弾「ふたりはプリキュア」がスタートしたのを記念して、2018年に日本記念日協会の公認で制定された記念日で、過去2年はSNSでファンがシリーズへの思いを投稿し、プリキュアの日がSNSでトレンド入りするなど大いに盛り上がった。プリキュアは女児向けアニメではあるが、SNSで思いを語っているのは大人のファンだ。シリーズの生みの親とも呼ばれる東映アニメーションの鷲尾天プロデューサーに、プリキュアの日制定の狙い、プリキュアが大人にも愛され続けている理由を聞いた。

 ◇16年前の2月1日は忘れられない日

 「プリキュア」シリーズは、普通の女の子が伝説の戦士・プリキュアに変身し、さまざまな困難に立ち向かう姿を描くアクションファンタジー。第1弾「ふたりはプリキュア」がスタートした日は、鷲尾プロデューサーにとって忘れられないという。約16年前のハードな日々を笑顔で振り返る。

 「企画を立ち上げたものの、全然時間がなかったんです。一日でもスタートが遅い方がありがたかったのですが、2月1日のスタートか……と(笑い)。この日は忘れられません。しかも、2004年はうるう年で日曜が5週あり、一カ月に5話分を納品しなければいけなかった。大変でしたね……」

 2月1日は「個人的に記念日だった」というが、当時はまさか本当に記念日に制定されるとは思いもしなかった。「プリキュア」は、原作のないオリジナルアニメ。原作が人気作であれば、ある程度は人気が出ることも予想できるかもしれないが、オリジナルはそうもいかない。鷲尾プロデューサーをはじめとしたスタッフは放送開始当時、ここまで続くとは思ってもいなかったのだ。

 ◇プリキュアのことを思い出すきっかけに

 プリキュアの日は、シリーズ放映開始15周年を記念した企画の一環として2018年に制定された。同年は、15周年記念のさまざまな企画が展開された。プリキュアのメインターゲットは女児だが、第1弾の放送から15年がたち、当時のファンも大人になった。15周年記念は、大人向けの企画も展開され、プリキュアの日もその一環だった。

 女児向けアニメのメインターゲットは成長すると、番組を“卒業”する人も多いともいわれているが、プリキュアには作品を愛し続けているファンがいた。これまで、プリキュアの日は大人になったファンがSNSで好きな作品、キャラクター、放送当時の思い出を語るなど大いに盛り上がった。

 「2009年に(歴代プリキュアが集結した劇場版アニメ)『映画 プリキュアオールスターズDX みんなともだちっ☆奇跡の全員大集合!』を公開した時、プリキュアを卒業したはずの子供も見に来てくれたんです。キャラクターをずっと好きでいてくれる人がいて、それがずっと積み重なっている。プリキュアのことを思い出せるような場所があってもいいかもしれない。プリキュアの日を作ったのは、プリキュアのことを忘れてしまったり、見なくなったりした人が懐かしんだり、思い出したりするきっかけになってほしいという思いもありました」

 ◇普遍的なメッセージ 時代に先駆けて多様性描く

 2018年には15周年を記念したさまざまなイベントも開催され、そこで大人の女性ファンの姿も多く見かけた。シリーズ第14弾「キラキラ☆プリキュアアラモード」で有栖川ひまり(キュアカスタード)の声優を務めた福原遥さんが出演する15周年記念PVも印象的だった。プリキュアが、大人になった「ふたりはプリキュア」世代の女性を応援するPVで、鷲尾プロデューサーが、ある声優養成所で講演した際、この映像を流したところ、映像を見て涙ぐんでいる若い女性を目にしたという。

 自分らしくあること、りりしくあること、自分たちで問題を解決しようと立ち向かう。プリキュアに込められたメッセージは普遍的だ。鷲尾プロデューサーが「その養成所は20歳くらいの人が多かったのですが、夢に向かって進む自分の姿に重ね合わせたのでしょうね。やっぱり子供の頃の記憶は大切ですから」と話すように、大人になって改めてそのメッセージの大切さに気づかされることもある。

 初代から「男らしさ」「女らしさ」という言葉を使わないなど多様性を大切にしてきた。昨年、鷲尾プロデューサーは国際会議「第5回国際女性会議WAW!/W20」のパネルディスカッション「多様性を育てるメディアとコンテンツ」で多様性について語ったこともあった。プリキュアが、時代に先駆けて大切にしてきた多様性が近年、注目されるようになった。

 「今は時代の流れとして多様性という言葉が共有され始めましたが、放送開始当時は世間的にそんなに意識されていませんでした。当時から、これはおかしいよね?と世間に問うように前面に押し出していました。先日、『ふたりはプリキュア』の総集編のブルーレイディスク&DVD(『ふたりはプリキュア総集編 ~ぶっちゃけ、 ありえな~い!? 2020edition~』)の監修をして、西尾(大介)監督と見直しながら、いろいろ思い出していたのですが、当時の既存の価値観とは違うことをやろうとしていたんですね。随分、無茶もしていました(笑い)」

 ◇第17弾「ヒーリングっど プリキュア」は関係性が柔らかい

 プリキュアの日の翌日、2月2日にはシリーズ第17弾「ヒーリングっど プリキュア」がスタートする。モチーフは「地球のお医者さん」だ。

 「自然への敬意、癒やしをテーマにまた新しいことに挑戦します。キャラクター同士の関係性がこれまでよりも柔らかいかもしれません。モチーフ、テーマは先鋭的ですが、世界観が柔らかく、キャラクターの包容力が大きくなりそうです。最近は、(若いスタッフに)番組をほぼ任せていますが、それぞれの中で疑問だったり矛盾に思ったりしていることを表現しようとしているのは変わっていません。それが幹のようなものになっていると思います」

 新作は、プリキュアの伝統を守りつつ、進化した作品になるようだ。今年のプリキュアの日は、SNSで新作に期待するファンの声もあふれそうだ。

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