テレビ試写室:唐沢寿明主演「あまんじゃく 元外科医の殺し屋 最後の闘い」 クライムサスペンスもシリアス一辺倒じゃない大人のエンタメ   

唐沢寿明さん主演の「ドラマスペシャル あまんじゃく 元外科医の殺し屋 最後の闘い」(C)テレビ東京
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唐沢寿明さん主演の「ドラマスペシャル あまんじゃく 元外科医の殺し屋 最後の闘い」(C)テレビ東京

 ドラマからドキュメンタリー、バラエティー、アニメまで、さまざまなジャンルのテレビ番組について、放送前に確認した記者がレビューをつづる「テレビ試写室」。今回は3月30日午後9時から放送される、俳優の唐沢寿明さん主演の「ドラマスペシャル あまんじゃく 元外科医の殺し屋 最後の闘い」(テレビ東京系)だ。

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 ドラマは、唐沢さん扮(ふん)する元外科医の殺し屋の折壁嵩男(おりかべ・たかお)が、相棒の弁護士・横倉義實(橋爪功さん)から殺しの依頼を受け、法で裁けない悪人を成敗しながら、生死を懸けた戦いを繰り広げ、現代医療の狂気をえぐる“クライムサスペンス”。2018年9月に放送された「あまんじゃく 元外科医の殺し屋が医療の闇に挑む」の続編で、前作同様に連続ドラマ「99.9-刑事専門弁護士-」(TBS系)などで知られる木村ひさしさんが演出した。

 元料理人の宗村将史(金田明夫さん)から依頼を受ける嵩男。ターゲットは三波正昭(大鷹明良さん)という悪徳料理評論家だ。三波はかつて、宗村の娘・亜子をワナにかけ乱暴し、自殺に追いやった過去がある。嵩男は宗村の依頼を受けることに。そして嵩男は、三波の愛人・煮雪梨花(松本若菜さん)に近づく。彼女を利用して三波を徹底的に追い詰め、最後は完璧に抹殺する嵩男。そんな中、世間では優秀な人間の死体から心臓や脳が抜かれるという、奇妙な事件が立て続けに起きていた。

 一方、三波の暗殺計画を進める嵩男のもとに、更なる殺人依頼が。嵩男のかつての恋人・梶睦子(木村多江さん)の紹介だという椙山絵麻(柴本幸さん)が、DV夫の啓介(中村俊介さん)を殺してほしいというのだ。さらに嵩男は妻・千代乃(大場久美子さん)の難病に悩む恩師の名和潤造(野口五郎さん)と偶然に再会する。運命の糸に手繰り寄せられるように予期せぬ出来事が続く。そしてそれは、やがて思いもかけない巨悪の存在につながっていく……。

 奇(く)しくも同日から始まった窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説「エール」で、唐沢さんは主人公の父を演じ、初回放送の最後では、我が子(後の窪田さん)の誕生を全身全霊で喜び、お茶の間に笑いを届けたばかり。そんな唐沢さんが今作では、(当然といえば当然だが)全く違う顔を見せている。

 アクションシーンでは50代後半に入っても衰えを全く感じさせない動きを披露し、悪を前にしたときの、元外科医ならでは手のポーズをかたくなに崩さないのもいい。今秋からテレビ朝日系で連続ドラマとして放送される日本版「24」(「24 JAPAN」)でジャック・バウアーにあたる獅堂現馬(しどう・げんば)を演じることが決定してる唐沢さんだが、ファンならその前に見るべき作品だといえるだろう。

 アクションといえば忘れてならないのが、嵩男のかつての恋人・睦子を演じる木村さん。かつては“薄幸女優”などと呼ばれ、近ごろは“怪演”が目立つが、木村さんの華麗な身のこなしは今作の大きな見どころになっている。

 一方で、全編シリアスかといえばそうではなく、思わずクスリとさせられるシーンや、突っ込みを入れたくなるようなシーンもある。視聴者を最後まで飽きさせない、制作陣の遊び心が感じられる「大人のエンターテインメント」といえるのではないだろうか。

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