宮野真守:「PSYCHO-PASS」 謎めいた静火の「信念や正義感を貫き通す」 中博史、田中敦子と共演にシビれる

「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」の一場面(C)サイコパス製作委員会
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「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」の一場面(C)サイコパス製作委員会

 人気アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス」のシリーズ最新作「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」のブルーレイディスク(BD)&DVDが、7月15日に発売される。発売に先駆け、謎の組織ビフロストのコングレスマン、法斑静火(ほむら・しずか)を演じた宮野真守さんがコメントを寄せた。宮野さんは、謎めいたキャラクターである静火を演じる上で「静火の中にある信念や正義感を貫き通すということを念頭に置いていました」と明かした。

ウナギノボリ

 ――テレビシリーズ第3期「PSYCHO-PASS サイコパス 3」(以下「PP3」)から「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」(以下「PP3FI」)まで作品に関わった印象は?

 テレビシリーズは1話1時間という枠だからこそできる硬派な刑事ものという印象がありました。僕は法斑静火を演じるのにあたり、(塩谷直義)監督のお話を伺いながらお芝居していたのですが、「彼がなぜこんな行動をするのか」「彼が何を目指しているのか」の答えを聞くたびに驚きがありました。この「PP3」にはいろいろな伏線が張り巡らされているんですが、その細かい作り込みに監督の愛情を感じるんですよね。監督はこの作品で、どれだけやりたいことがあるんだろうと。その膨大な設定や巧みな構成がこの作品の最大の魅力だと思います。

 ――法斑静火をどんな人物と捉えていましたか。

 彼が何をやろうとしているのか、それが表向きには分からない。その謎めいたところが、静火の一つの魅力だと思うんです。ただ、その謎めいた静火を、僕は謎のまま演じてはいけないなと思って、収録のたびに監督に情報をどんどん更新してもらって、静火の中にある信念や正義感を貫き通すということを念頭に置いていました。その信念や正義感が劇中に表に出てくることはほとんどないのですが、静火が抱いている思いを考えながら、声を出していきました。

 ――表には見えない内面で、静火の心情が動いていたのですね。

 実は「PP3FI」で一度だけ、彼が穏やかに語り掛けるシーンがあるんです。今までの彼とは違う語り口で。あのシーンで、彼の精神性や目的に対する思いが垣間見えるんです。あのシーンは、静火が初めて表に出した感情なんです。きっと、そのシーンを見ると、彼がより不思議に見えると思います。

 ――謎の組織ビフレストのコングレスマンとして活動する静火と対照的に、事件へ立ち向かう監視官・慎導灼(しんどう・あらた)と炯(けい)・ミハイル・イグナトフのコンビの印象は?

 今回の魅力の一つは、この2人(灼と炯)のキャラクター性だと思います。新しいバディーの形と、新しい能力にシリーズのファンのみなさんも驚いただろうし、事件の捜査の在り方や人の描かれ方が広がっていくことで、物語が面白くうねりを見せていく。バディーの関係性も変わっていくし、それぞれの成長物語も描かれるところが、とても面白いです。

 ――テレビシリーズの第8話で、静火は炯と接触し、彼を13番目のインスペクターに勧誘します。

 炯はすごく実直だし、正義感も強い上に、弱点(妻の舞子・マイヤ・ストロンスカヤ)がはっきりしている。静火から見ると、ある意味で扱いやすい相手だったんでしょうね。同時に、静火のこうかつな一面が垣間見えたんじゃないかと思います。

 ――そんな静火は「PP3」と「PP3FI」でビフロストのコングレスマン・代銀遙熙(しろがね・はるき)、裁園寺莢子(さいおんじ・きょうこ)と対峙(たいじ)します。ビフロストという場をどのように捉えていましたか?

 ビフロストで会話をした時はシビれましたね。二人(代銀と裁園寺)には負けられないなと。二人を演じるのは大先輩(代銀遙熙役の中博史さん、裁園寺莢子役の田中敦子さん)の方々で、役者としては胸を借りますが、静火としては相対している心持ちでした。緊張感を抱きながらも、言葉を交わさせていただきました。

 ――「PP3FI」ではビフロストの正体が明らかになります。宮野さんは、シビュラシステムが管理する社会に対して、どんな思いがありましたか。

 シビュラシステムは正しい。正しいんです、けど……それでいいのか? そういう「けど」が付いてしまう気持ちになるところが、この作品の面白いところだと思います。犯罪面に関しては(潜在犯を取り締まることで)犯罪者が少なくなるわけで、もしかしたら治安がよくなるのかもしれない。職業の適性を判断してくれるというのも人生の早道なのかもしれない。でも、正しいことや早道をすることだけが面白いことかというと、そうでもないと思うんです。

 僕はいろいろな経験をさせてもらってきたからこそ、今それが肥やしになる仕事をさせてもらっている。どんな人生でも、遠回りやいろいろな経験を積むことが、より豊かな生き方につながっていくことだと思うんです。例えば、職業であっても、僕は自分で適性を見つけていくことのほうが好きですね。だからこそ「シビュラシステムと人間」という題材は面白いなと思います。システムだけに頼りきりになると、間違いがあっても気づかないし、間違った正義を信じてしまうかもしれない。だから、システムには人間がいる。そのテーマが、この「PP3FI」でも描かれています。

 ――「PP3FI」をどのように楽しんでほしいですか?

 これまで静火を見てきてくれた方は「なかなかしゃべらないキャラクターだな」と思っていたかもしれません。きっとラスボスだろうと思っていた人も多いと思います。第8話の炯に対する態度とか、いかにも怪しいですからね(笑い)。でも、「PP3FI」をご覧になると、静火が紛れもなくメインキャラであったことが分かると思います。僕も「PP3FI」のストーリーを知って、安心しました。ぜひ、ご覧いただき、その展開を楽しんでください。

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