アイドルグループ「欅坂46」が7月16日、10月に開催予定のラストライブをもって、グループの活動に終止符を打ち、改名後に再スタートすることが発表された。4年前の4月6日、デビュー曲「サイレントマジョリティー」での鮮烈な登場後、数々の快挙を成し遂げ、注目を浴び続けてきたグループの改名。発表は有料配信のライブで行われたが、瞬く間にツイッターには「#欅坂46」「#欅坂改名」がトレンド入りするなど、衝撃が走った。なぜ欅坂46は改名に踏み切ったのか。そして新章となる、改名後の未来は……。これまでの活躍を振り返ると共に、考えてみたい。
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欅坂46は、乃木坂46に続く“坂道シリーズ”第2弾として2015年に結成した。翌年の4月6日、デビュー曲「サイレントマジョリティー」を発売。センター・平手友梨奈さんの圧倒的な存在感、アイドルの概念をくつがえすような“笑わない”演出と、メッセージ性の強い歌詞が一躍話題となり、これまでアイドルに興味がなかった層なども含め、ファンを獲得していった。
同年末には「第67回NHK紅白歌合戦」に出場。メジャーデビュー年で紅白出場という快挙を果たした。翌年の紅白歌合戦では、1度パフォーマンスした楽曲「不協和音」を、総合司会の「ウッチャンナンチャン」の内村光良さんと、サビ部分だけを再度披露したことも話題に。「不協和音」はその後、昨年末のグループにとって4度目の出場となった「第70回NHK紅白歌合戦」でも披露し、大きな反響を呼んだ。
また小林由依さん、土生瑞穂さん、渡邉理佐さん、渡辺梨加さんと女性ファッション誌の専属モデルを務めるメンバーを中心に、「東京ガールズコレクション(TGC)」や「GirlsAward(ガールズアワード)」などのファッションイベントにも数々のメンバーが出演。女性ファンの支持も得て、イベントをにぎわしている。その人気ぶりを表すがごとく、2017年から3年連続で国内最大の野外ロックフェスティバル「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」にも登場。さらに、冨樫義博さんの人気マンガ「HUNTER×HUNTER」に、欅坂46の楽曲の名前をモチーフとした「念能力」(作中で主人公らが使う能力)が登場したこともあった。
しかし、グループとしてはここ1、2年の活動に停滞の感があった。全てのシングル曲でセンターを務めてきた平手さんが1月に脱退。さかのぼる2018年から、主要メンバーの今泉佑唯さん、志田愛佳さん、長濱ねるさんらの卒業も相次いだ。2019年2月発売の8枚目のシングル「黒い羊」以後、新しい楽曲が発売されていない現状もある。期待の2期生が加入し、冠番組「欅って、書けない?」(テレビ東京)や、ライブなどではすでに頭角を現しているが、加入後に新曲が発売されていないため、目立った音楽活動ができていない。
2期生は、2018年に行われた「坂道合同オーディション」で選ばれたメンバーだが、同オーディションで選ばれた、姉妹グループの「乃木坂46」の4期生、「日向坂46」の3期生らがすでに、シングル曲でセンターを務め、冠番組を放送していたり、ソロ曲を持っていたりする中、この現状はファンにとっても歯がゆかったはずだ。
この間、グループへのさまざまな報道もあった。キャプテンの菅井友香さんは、16日のライブで改名を発表した際、「グループの名前が一人歩きして、耳をふさぎたくなるようなことに悩まされたこともありました」と語ったが、注目を浴び続けてきたグループだけに、世間の好奇の目にさらされることが幾度もあった。
そういったグループに立ち込める暗雲を振り払うように、昨年9月に行った初の東京ドーム(東京都文京区)での公演以来、約10カ月ぶりのワンマンライブとなった16日の無観客配信ライブ「KEYAKIZAKA46 Live Online,but with YOU!」での改名発表。今年2月に加わった新2期生も含めての28人体制での初パフォーマンスにもなったが、ライブを前に公式サイトで「重要なメッセージ」があることが予告されており、ネット上でファンがさまざまな予想をしていた。その中には、改名を予想しているファンもおり、停滞するグループが前に進むために、心機一転、前に進むことが必要だと考えたのだろう。
異例にも思える改名だが、身近なところで成功例がある。後輩グループにあたる「日向坂46」が2019年3月に「けやき坂46」からの改名を経験。改名後は、デビュー1年目でレコード大賞、紅白歌合戦出場に、翌年の全国アリーナツアー、12月の東京ドーム2DAYS公演を決めるなど快進撃を見せている。「欅坂46」としてこれまでの輝かしい活躍ぶりを考えるに、一筋縄ではいかないことかもしれないが、「日向坂46」のように改名を経て、グループとしてより一層強くなり、飛躍した姿を見せてくれることが期待できる。
キャプテンの菅井さんは改名発表後のブログで「突然の発表に戸惑っている方もいらっしゃるかもしれませんが、この改革を私たちの活動と行動で正解にしていきたいです」「再生できることに感謝して、欅坂46でのすばらしい経験や、試練の日々を糧に、私たちらしくパワーアップすることをお約束いたします!」と力強く宣言した。
その言葉通り、改名発表から2日後のTBS系の音楽特番「音楽の日2020」では、欅坂46としてのラストシングル「誰がその鐘を鳴らすのか?」を熱演。視聴者からは「圧巻」「メンバーの気持ちが伝わってきた」「一人一人が輝いてて新しい欅っぽさも見えた」などの声が多数上がり、話題になった。2期生や新2期生も加わった欅坂46の新章。前を向いた彼女たちは、これからもさらなる高みを目指し、新たな坂道を登っていくはずだ。