今日から俺は!!劇場版:どうしてここまでヒットしたのか タイミングだけでない二つの“イズム”

映画 テレビ
映画「今日から俺は!!劇場版」のビジュアル(C)西森博之/小学館(C)2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、旧作の再上映が続いていた映画館。久々の新作として上映された「今日から俺は!!劇場版」(福田雄一監督)が関係者の予想をはるかに上回るヒットを記録している。多くの映画館がいまだに1席空けに伴う半分以下のキャパシティーで運営しているにもかかわらず、観客動員230万人、興行収入29億円突破(8月6日現在)を記録。週末動員ランキング(興行通信社調べ)でもV3を達成しており、配給元の東宝では50億円も狙えるとみている。どうしてここまでのヒットとなったのか。作品の魅力と社会情勢の面から理由を探ってみた。

 「今日から俺は!!」は、1988~1997年にマンガ誌「増刊少年サンデー」(小学館)と「週刊少年サンデー」(同)で連載された西森博之さんのマンガが原作。1980年代初頭を舞台に、金髪パーマの三橋貴志(賀来賢人さん)と、“トンガリ頭”の伊藤真司(伊藤健太郎さん)のツッパリコンビが、他校の不良たちとけんかしたり、騒動に巻き込まれたりする姿を描いた青春コメディードラマとして2018年10月期に日本テレビ系で放送。橋本環奈さん演じる早川京子の45秒間に及ぶ白目シーンをはじめとした出演者のコミカルな演技や、小栗旬さん、山田孝之さんら福田監督ゆかりの人気俳優のカメオ出演などさまざまな要素が人気を博し、映画化が決まった。

 今回の劇場版は、原作でも人気の「北根壊高校編」を映像化。不良の巣窟・開久高校を隣町の北根壊高校が間借りすることになったことから、さまざまな騒動が巻き起こるというストーリーで、ドラマ版のキャストが総出演。さらに、北根壊高校の番長、柳鋭次と大嶽重弘を、柳楽優弥さんと栄信さんがそれぞれ務めるほか、怪しいスケバン・涼子を山本舞香さんが演じている。

 7月17日の公開初日から3日間の累計では動員約60万5000人、興収約7億8800万円、土日2日間で動員約48万6000人、興収約6億3100万円を上げる好スタート。2週目も週末の動員約38万9000人、興収約4億9600万円を記録し、初登場となった「コンフィデンスマンJP プリンセス編」(田中亮監督)の土日の成績(動員28万6000人、興収4億500万円)を上回った。

 どうしてここまでのヒットになったのか。コロナ禍によってほとんどの新作映画の公開が数カ月延期されていたというタイミング的な要因はさすがに無視できない。一部を除いて、緊急事態宣言の解除後、6月からちらほらと新作の公開がスタートしたが、業界最大手の東宝は「千と千尋の神隠し」をはじめとしたジブリ作品の再上映などにとどまっており、“今日俺”が解除初の大型新作になったという点は一因だろう。

 また、いわゆる“夏休み映画”としての需要も大きかった。東宝によると、公開第1週の男女比は40:60、10代からシニアまで幅広い層を集客したという。「コンフィデンスマン~」も前作を上回るロケットスタートとなったが、“今日俺”は、初の映画化としての高い注目度に加え、単純明快な内容からファミリー層からの引き合いも強かったとみられる。

 作品としての魅力も大きかった。プロデューサーの高明希さんによると、作品で描かれる「ツッパリ文化」を現代で描くにあたって、福田監督のこだわりは“世代間ギャップ”だったという。「今の時代に合わせて無理やり整合性を取ろうとするとファンタジー感がなくなってしまう。『なんだこれ!?』って思わせるのがこのドラマの面白さですよ」と福田監督に言われて納得したと明かす。さまざまな側面を持ち合わせる「ツッパリ文化」を“福田イズム”でコメディーに昇華させたのだ。

 さらに、原作の中で、「絶対にこれだけは守ろう」と考えた要素が“西森イズムのバディー性”だった。「三橋と伊藤など、信頼し合っている2人の友情をちゃんと反映したいと思っていました。西森先生の作品のいいところは、いつもはギャグばかりなのに油断してると急にその友情模様が出てきて泣かされてしまうところなんです。だからこそドラマも映画もその原作のベースを大事にして描きましたし、そういうところも、ヒットした要因になったと思っています」と話している。

 コロナ禍に伴うタイミングだけでなく、こうした二つの“イズム”で想像以上のヒットとなった“今日俺”。ファミリー向け映画の大本命とされる人気アニメ「ドラえもん」の劇場版最新作「映画ドラえもん のび太の新恐竜」(今井一暁監督)をはじめ、ライバルが続々と公開されるが、“今日俺”の快進撃はまだまだ続きそうだ。

映画 最新記事

MAiDiGiTV 動画

最新動画

PHOTO

このページのトップへ戻る