ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
藤子・F・不二雄さんの人気マンガ「ドラえもん」の誕生50周年記念作であり、劇場版アニメ第40作目となる「映画ドラえもん のび太の新恐竜」(今井一暁監督)。第1作「のび太の恐竜」(1980年)、そのリメーク作「のび太の恐竜2006」(2006年)を経て、50周年という節目の年に“恐竜”をテーマとした作品が公開された。ドラえもん役の水田わさびさん、のび太役の大原めぐみさんら声優陣にとっては、2005年の声優交代から15年目の作品となった。「ドラえもん」の収録は「常に新鮮」と語る水田さん、大原さんに作品や、ドラえもん、のび太への思いを聞いた。
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「のび太の新恐竜」は、のび太たちが、恐竜のキューとミューの仲間を探して、6600万年前の白亜紀を舞台に大冒険を繰り広げる。のび太が恐竜博の化石発掘体験で、化石を見つけ、ドラえもんのひみつ道具・タイムふろしきで化石を元の状態に戻すと、未発見の新種の双子の恐竜が生まれる。のび太に似てちょっと頼りないキューとおてんばなミューを育てるが、やがて2匹が現代で生きていくには限界が来る。キューとミューを元の時代に返すことを決心したのび太は、ドラえもんや仲間たちとともに6600万年前に出発する。
――水田さん、大原さんが「ドラえもん」に声優として参加して初めての劇場版が「のび太の恐竜2006」。恐竜をテーマにした「のび太の新恐竜」が「ドラえもん」50周年記念作として公開されると聞いた時はどう思いましたか。
大原さん 「恐竜」というワードですぐにピー助(「のび太の恐竜」でのび太が育てた恐竜)が思い浮かんだので、もしかしたらピー助にまた会えるかもしれないという期待がありました。
水田さん 恐竜は、F先生(藤子・F・不二雄さん)がめちゃめちゃ大好きじゃないですか。だから、節目の年にふさわしい題材だなと思いました。恐竜はやっぱり原点ですよね。「恐竜」という時点でこれは間違いないと、自信がありました。
――「のび太の新恐竜」はのび太が恐竜を育てるという「のび太の恐竜」とリンクする部分があります。どんな気持ちで演じましたか。
大原さん やっぱり「のび太の恐竜2006」がよみがえりましたし、「また恐竜を育てるんだな」という喜びがありました。「のび太の恐竜2006」の頃から比べると、私も2児の母になっていますから、また違った母性が出せるんじゃないかという思いもありました。私自身も「ドラえもん」と一緒に成長してきましたから、そこが生かせたらいいなという思いで挑ませていただきました。
水田さん 私は収録中に「のび太の恐竜2006」で名シーンだった、ドラえもんの“あたたかい目”(ドラえもんがのび太を見守る時の特徴的な目)を常に影でやっていました。
大原さん すごい目をしてましたよね(笑い)。
水田さん 恐竜モノでは、のび太くんが育てる、ドラえもんは見守り役に徹する。恐竜を育てるのは、のび太くんの踏ん張りどころなんですよね。責任感が芽生えて、張り切っちゃう。そこが見ていていとおしいというか。作品を見る皆さんものび太くんを見守ってあげてほしいですね。
――収録中も大原さんは水田さんに見守られている感覚はありましたか?
大原さん もちろんです。皆さんに見守っていただいて、何かあれば助けていただいてという場面が何度もありました。アクセントが間違っていたら教えてくれたり、「ここはこういう感情なんじゃないかな」と教えてくださったり、みんなで作品をいいものにしたいという思いで作っているという感覚はすごくありました。
――大原さんの期待していたように「のび太の新恐竜」ではピー助が登場するシーンがあります。
大原さん あの場面は鳥肌が立ちました。台本を読んでいても、本当に感情のアップダウンが激しかったんです。心がたくさん揺さぶられたので、読み終わった後にくたくたでした。のび太が温めた卵がかえるシーンも鳥肌が立ちましたね。「これは恐竜の卵じゃないかもしれない」とドラえもんがのび太に話すシーンもあるんですけど、恐竜が産まれると信じてやまないのび太の高揚感が自分にもリンクして、うれしい“ぞわぞわ”がありました。
――今作では、双子の恐竜のキューとミューが物語のキーとなります。とくに、キューが懸命に空を飛ぶ練習をするシーンも見どころになっています。
水田さん キューの頑張りはやばかったですね。キューは何度も何度も飛ぼうとするんですけど、キューを演じている遠藤綾ちゃんも何度も何度もリテークを重ねていたんです。綾ちゃんの背中とキューの頑張ろうとしている姿がリンクしましたね。
――キューは「キュー」、ミューは「ミュー」という鳴き声のみのせりふです。
水田さん 鳴き声だけで全ての感情を表現しないといけないからすごく難しいんですよ。だから、やっぱり綾ちゃんは天才。鳴き声だけで、のび太くんと出会えた喜び、飛べない悔しさ、喜怒哀楽を表現していた。ミュー役の釘宮理恵ちゃんもそうですけど、性格の違う双子の恐竜を見事に演じ分けているんです。あの二人はやっぱり声優さんだなと。すごかったです。
――ドラえもんは、2匹の恐竜を育てるのび太を見守るシーンが印象的です。
水田さん 今回正直、台本を読んだ時点で「あ、さみしいぐらい出番がない」って思ったんです。ヤキモチ焼いちゃうくらい見せ場がないなって思いました。だから徹底して見守り役になろうと思ったぐらい。でも、ドラえもんやドラミ、出木杉くんもそうなんですけど、出しゃばると物語が終わっちゃうんですよ。だから見せ場がなくていいんです。
――水田さん、大原さんが「ドラえもん」声優になられて15年目です。収録では変化がありましたか?
水田さん 今回の「のび太の新恐竜」はストーリーが分かりやすかったんですけど、「映画ドラえもん」の収録では「ここ、何年前のどこなの?」ってどこの時代を自分が演じているのか分からなくなっちゃうんですよ(笑い)。
大原さん 15年やっている本人が道に迷うという。そこがドラえもん&のび太コンビという感じがしますよね。一緒に道に迷っちゃう(笑い)。
水田さん これが長続きの秘訣(ひけつ)かもね。
大原さん そうなんですよ。常に新鮮。
水田さん 何でも初めてに感じちゃう。それがF先生の作品の魅力だと思うんですよ。前に読んだ話も初めてに感じて、いつも新鮮な気持ちで読めるんですよね。
大原さん 不思議ですよね。前に演じたことがあるストーリーでも、ハッとさせられる。ただ、水田さんは以前演じたストーリーを本当に覚えてない(笑い)。「これやりましたよ」と言うと、「えっ!?」って本気で驚いているから。面白いですよ。
――演技面や気持ちの変化は?
大原さん 私はかなり変化がありました。声の出し方から変わりましたし、今は男の子っぽい安定した声が出るようになっているかと思います。気持ちの変化でいうと、10年目を迎えた時に、神保町シアターで先代ののび太役の小原乃梨子さんと、しずかちゃん役の野村道子さん、私とわさびさんでトークイベントをやらせていただいたことがあったんです。
水田さん 小原さんと野村さんがサプライズで登場されたんです。会場も私たちと小原さんたちの動線を分けていたみたいで。
大原さん その時、小原さんが「10年続けてこられたら本物よ」と私たちに言ってくださって、泣きました。
水田さん 泣いたね。
大原さん それが私の中で「もうのび太くんって胸を張って言ってもいいのかな」と思えたきっかけになったかなと。そこからやっとのび太と本当の意味でシンクロできてきたかなと思います。
水田さん お二人の言い方が温かったよね。言葉に包容力があった。一言一言が深いんです。
大原さん 本当に優しい。安心しましたよね。あのお二人に言っていただけたことで、「私たち、このまま続けていって大丈夫なんだな」という確信が持てたと言いますか、背中を押してもらえたような、本当に包み込んでくれましたよね。
――水田さんは、ドラえもん役で15年目を迎えていかがですか。
水田さん 演技をするという意味では、あまり変わらず同じように演じています。ただ、このコロナ禍の中、過去最大級のプレッシャーを味わっています。この無神経な私が、さすがに神経質になりました。代わりがきかないキャラクターを演じているというプレッシャーは、15年前より今のほうが間違いなく大きいです。イベントで、着ぐるみに声を当てるにしても、私に何かがあったらドラちゃんは言葉が無い状態で登壇するんだろうなと。このプレッシャーは15年前にはなかったですね。でも、役者としてここまで重圧に浸れるというのもなんてぜいたくな環境なんだとは思います。すごいことですよ、人から必要とされるって。こんなありがたいことはないなと、ありがたみも味わっています。
――ご自身にとってドラえもん、のび太はどんな存在ですか?
大原さん 同志かな。昼寝が好きだったり、動物が好きだったり、自分と重なるところが多すぎるので、のび太が一生懸命頑張っている姿を見ると、私も頑張ろうと自然と元気ややる気、勇気をもらえますよね。
水田さん 私はドラえもんと一心同体という感覚ではなくて、ドラえもんと自分を離して見ているんです。アニメのブログをやっているんですけど、「ドラえもんも喜んでいると思います」「ドラえもんに言っておくね」と書いている。だから、演じる時はいつもドラえもんに話しかける感じです。
大原さん 水田さんもかなりドラえもんと似ているところがありますけどね(笑い)。みんな似てくるのかな。私は嫌なことがあると、水田さんに愚痴を聞いてもらうことがあるんです。すると、私以上に怒ってくれる。
水田さん 「それはちょっと許せないよ。のび太くんは悪くないよ」って。あ、のび太くんじゃないや(笑い)。どちらかがへばると、どちらかが元気なんですよ。いいバランスができているんですよね。夫婦みたいな感じ。
大原さん もちろん、ドラえもんが妻ですよ。
水田さん 僕が妻?(笑い)。
大原さん のび太は典型的なダメ夫みたいな感じです。妻がいないと生きていけない。助けてもらっているというか。私たちの関係性も似ていますね。わさびさんいわくドラえもんを客観視できているみたいですけど、そうでもないなと。だいぶ似ていますよ。
水田さん だいぶ似ているそうです(笑い)。
まさに二人三脚でドラえもん、のび太を演じてきた水田さんと大原さん。その節目ともなった「のび太の新恐竜」で、ドラえもんやのび太たちの強さ、優しさ、勇気を感じたい。
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