ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
紀伊カンナさんの人気マンガが原作の劇場版アニメ「海辺のエトランゼ」が、9月11日に公開された。小説家の卵の橋本駿と高校生の知花実央の恋愛が描かれ、大橋明代監督は「日常をちゃんと描くのが大事」と考えたという。日常をしっかり描くことで「駿と実央の恋愛模様が現実味を帯びてくる」映像を目指した。作品の魅力、アニメだからできた表現について聞いた。
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「海辺のエトランゼ」は、沖縄の離島を舞台に、小説家の卵の橋本駿と若くして両親を失った知花実央の初々しい恋愛を描く。本作は、フジテレビのBLに特化したアニメレーベル「BLUE LYNX」の「囀(さえず)る鳥は羽ばたかない」「映画 ギヴン」に続く第3弾として製作。原作者の紀伊さんが監修とキャラクターデザインを担当し、「ダンガンロンパ The Animation」の演出を担当した大橋さんが監督を務め、「モンスターストライク」などのスタジオ雲雀が製作する。声優の村田太志さんが駿、松岡禎丞さんが実央をそれぞれ演じる。
大橋監督は、原作の魅力を「仕事して、ご飯を食べて、恋をして、特別なことは起きないけど、日差しの美しさや、日常の何気ない景色を、紀伊さんが切り取ると、スペシャルな画面になっていく。紀伊さんの観察眼のすごさを感じます」と語る。
アニメ化する上では、「シナリオの段階でキャラクターの感情の流れを改めて追い直す作業」をし、「日常を描く」ことを大切にした。
「はたから見たら大変なことが起こっているわけではないけど、その中でふとキャラクターが救われたり救ったりという感情の機微が入ってくる。だから、日常をちゃんと描くのが大事と思って、できる限り表現したいと思いました」
アニメーションで日常を描くことは「果ての無い作業」と話す。
「そもそもアニメーションは、違和感の集合体。違和感なく見せるというのは果てが無い作業なんです。描いても描いてもきりがない。地味で手間ばかりがかかる作業なのですが、それがうまく表現できていれば、駿と実央が普通に日常にいるという感じも出て、彼らの恋愛模様も現実味を帯びてくる。駿と実央だけでなく、全てのキャラクターが思いを持って動いているという、原作の持つ魅力を表現したいと思いました。作画の都合で止まっている絵ではなく、そこにこの人がいたらこう動くだろうなと思うところは極力動かすようにしました。レイアウトチェックの時に動きの絵を足すことも多く、作画監督さんには大変な思いをさせてしまいました」
アニメ化する上では、紀伊さんと大橋監督が綿密なやり取りをして、原作の世界観を表現していった。最初にこだわったのは「線がやせない、セルアニメの表現」だった。
「紀伊さんとは、作業の一番最初の時に線の出方についての話をしました。最近のアニメは、線が細かったり、繊細な絵が多いんですけど、今回はそうではなくて、昔のセルアニメのようなキャラクターの線がやせない感じでやりたいと。素朴な感じを出したいという話になりました。美術は、紀伊さんが描いたカラーイラストから、紀伊さんらしさを意識して作業していただきました。セルの方は、シンプルな昔のセルアニメみたいな感じに落とし込む」
レイアウトや撮影は「実写っぽさ」を意識したという。
「アニメーションならではの格好よさよりは、実写に近い表現になっているかなと思います。紀伊さんらしいイラストっぽい美術に、素朴なセルを実写っぽい感じで撮ったらどうなるだろうと。音響監督の藤田亜紀子さんが絵コンテを見てくださった時に『実写っぽい感じですよね』と言ってくださったので、伝わっていることがうれしかったです」
さらにモノローグを多用せず「画面から感じ取れる」ことを大事にした。
「雰囲気や画面の切り取り方で伝わっていけばいいなと思って作業していました。せりふで説明したり、モノローグでしゃべらせるよりは、せっかく絵があるから絵で伝わるといいなと。紀伊さんとのやり取りの中でも、できるだけ説明的なせりふは削っていきました。画面全体から感じ取っていただくことが、一番映画として幸せなことなので、そこを目指しました」
駿と実央を中心とした「日常」を丁寧に描くことは、作品が持つメッセージにもつながるという。
「実央の口から『自分たちが幸せであれば、他人からどう見られていてもいいんだ』といったニュアンスの言葉が出てきます。生きていく上で、自分たちが幸せだったらいいんじゃないかと。それは、BLというカテゴリーだけに集約されることではなくて、とてもすてきなことだと思っています」
大橋監督は、原作の魅力を何気ない日常を切り取っていくと「スペシャルな画面になっていく」と語ったが、アニメでもその世界観は美しく表現されている。駿と実央の日常をスクリーンでじっくりと味わいたい。
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2024年11月22日 05:00時点
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