森七菜:2年前はほぼ無名も 「3年A組」「天気の子」、朝ドラに初主演ドラマ…快進撃続く 魅力は「女優純度」

森七菜さん
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森七菜さん

 窪田正孝さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」で、ヒロイン・音(二階堂ふみさん)の妹・関内梅を演じている森七菜さん。10月20日に記念すべき連続ドラマ初主演作となる「この恋あたためますか」(TBS系)がスタートし、放送中の深夜ドラマ「あのコの夢を見たんです。」(テレビ東京)の第3話(10月16日放送)には、“天真らんまんでいつも明るい人気者・七菜”として登場する。今後も映画「461個のおべんとう」(兼重淳監督、11月6日公開)、「ライアー×ライアー」(耶雲哉治監督、2021年初春公開)といった出演作が控える森さん。今から2年前は知る人ぞ知る存在で、一般的にほぼ無名に近かった彼女を取り巻く状況は、まさに一変したと言える。快進撃が続くワケと森さんの女優としての魅力に迫ってみた。

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 ◇転機は「3年A組」出演 イマドキ可憐で芯の強さも併せ持つ19歳

 森さんは2001年8月31日生まれ、大分県出身の19歳。2016年に県内でスカウトされ、芸能界入り。2017年は人気グループ「嵐」の櫻井翔さん主演の連続ドラマ「先に生まれただけの僕」(日本テレビ系)で生徒役を務め、映画「心が叫びたがってるんだ。」にも出演した。2018年には、連続ドラマ「やけに弁の立つ弁護士が学校でほえる」(NHK)でいじめにより自殺未遂事件を起こす生徒、「獣になれない私たち」(日本テレビ系)で田中美佐子さんの独身時代を演じ、にわかに注目を集めるようになるが、一般の視聴者に“発見”されたのは、やはり昨年1月期放送の連続ドラマ「3年A組-今から皆さんは、人質です-」(同局系)からだろう。

 「3年A組」で森さんが演じたのは電脳部所属の“アニメ大好き小動物系クイーン”堀部瑠奈。劇中の特撮ドラマ「ガルムフェニックス」について熱弁する“特オタぶり”含めて「原石感ハンパない」「瞳の澄みかたがダントツ」「表情もせりふ回しも絶妙」「演技が飛び抜けてナチュラル」などと絶賛された。

 同年は、森さんがヒロイン陽菜の声優を務めた、新海誠監督の劇場版アニメ「天気の子」が7月に公開され大ヒットを記録。10月には、映画「男はつらいよ」の主人公・車寅次郎(寅さん)の少年時代を描いたNHKドラマ「少年寅次郎」に、“初代マドンナ”のさとこ役で登場し、ここでも視聴者に強い印象を残す。

 同ドラマの制作統括・小松昌代さん(NHKエンタープライズ)は森さんを「イマドキ可憐(かれん)」と表現。さとこが使う山形弁を、普段からしゃべっている言葉のように自分のものに引き寄せてしまう感じから、「この先、彼女はすごいことになるんじゃないか」ととても驚いたといい、「それこそ(同年代の)清原果耶さんもすごいと思いますけど、森さんの芯の強さも負けていないと思います」と太鼓判を押していた。

 ◇朝ドラ「エール」の“梅ちゃん”として愛され… 歌手デビューや写真集発売も

 2019年11月の時点で、月刊情報誌「日経トレンディ」(日経BP社)の「2020年の顔」に選ばれていた森さんだが、2020年に入ると快進撃はさらに加速する。1月公開の岩井俊二監督の映画「ラストレター」では、一人二役をこなし、主題歌「カエルノウタ」で歌手デビュー。4月からは朝ドラ「エール」がスタートし、大きなメガネがトレードマークの文学少女“梅ちゃん”として人気を集めると、第14週(9月14~19日)では、“梅ちゃん”とお笑いトリオ「ハナコ」の岡部大さん扮(ふん)する“五郎ちゃん”の恋模様が描かれ、無事2人が結婚した際には視聴者から祝福の声が上がったほどの、愛されぶりだ。

 「エール」レギュラー出演と並行して、7月には自身が出演する「オロナミンC」(大塚製薬)のCMソング「スマイル」(ホフディランのカバー)を配信限定リリースし、8~9月に放送された眞島秀和さん主演のドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」(読売テレビ・日本テレビ系)ではナレーションを担当。8月28日公開の映画「青くて痛くて脆(もろ)い」(狩山俊輔監督)では、どこか少年っぽくもある音楽好きの不登校少女を熱演すると、19歳の誕生日に合わせて31日には、ファースト写真集「Peace」(ギャンビット)を発売し、好評を博している。

 ◇快進撃続くワケ 見る者を自然と引きつけるウソのない演技の源泉
 そんな快進撃が続く森さんの魅力は、「女優純度」とも言うべき役になりきる力と探究心。だからこそ、その演技にはウソがなく、見る者を自然と引きつけるのだろう。

 役作りでは「あまり決め込まないこと」を大事にしているというが、現場に入れば、演じる役が背負っているものの“重さ”や、その時間の“長さ”さえも「感じよう」と没頭する。以前のインタビューで森さんは、「何も決めないっていうのも、周りからしたら迷惑な話かもしれないんですけど……。監督から『スタート』の声がかかってから思い付いたものを大事にしたいというか。相手の方から何か面白いものをいただけたら、すぐに対応できるような状態でいたいんです」と明かしていた。

 さらに「“スイッチ”みたいなものは特になくて。大げさに聞こえるかもしれないんですけど、気付くとその世界に入っている気がする」「普段の日常を生きるように、映像の中でも、可愛い子ぶるでもなく、格好つけるでもなく、存在できたらいいなって毎回思うので、そこも大事にしている部分なのかもしれません」とも話していて、オフの日も「なんか、ずっとお芝居のことを考えていますね。普段の生活の中でいろいろと込み上げてくる感情も、もしかしたら、どこかで使えるかもしれないって思ってしまうんです」と語っていたのが印象的だった。

 撮影が佳境に入りつつある朝ドラ「エール」(放送は11月末まで)でも、「1秒たりとも気を抜いてはいけないと自分に言い聞かせながら、毎回収録に臨んでいます」と勉強熱心な一面をのぞかせていた森さん。「恋はつづくよどこまでも(恋つづ)」「私の家政夫ナギサさん(わたナギ)」といったヒット作と同じ、TBS系火曜午後10時放送の連ドラ初主演作「この恋あたためますか」では、主人公のコンビニ店員・井上樹木としてどんな演技を披露してくれるのか。当然、注目だ。

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