花江夏樹:「鬼滅の刃」で開けた「新しい道」 頑張る炭治郎と「共に成長した」

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「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」に出演する花江夏樹さん

 吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんのマンガが原作のテレビアニメ「鬼滅の刃(きめつのやいば)」に続く物語となる「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(外崎春雄監督)が10月16日に公開された。幅広い世代から愛される「鬼滅の刃」で主人公・竈門炭治郎(かまど・たんじろう)の声優を務めるのが花江夏樹さんだ。数々の人気作に出演してきた花江さんだが「炭治郎というすごく魅力的なキャラクターを演じられたことは自分の声優人生の中でも大きい。新しく道が開けたようなキャラクター」と感じているという。作品への思い、炭治郎を演じる上でのこだわりを聞いた。

 ◇鬼滅ファンだからこそ後悔したくない 理想の炭治郎を表現

 「鬼滅の刃」は、家族を鬼に殺された竈門炭治郎が、鬼に変異した妹を元に戻すために旅立つ……というストーリー。原作は、2016~20年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載され、テレビアニメが2019年4~9月に放送された。テレビアニメの放送と共に原作の人気も加速し、コミックスのシリーズ累計発行部数は1億部を突破。歌手のLiSAさんが歌うテレビアニメの主題歌「紅蓮華(ぐれんげ)」が大ヒットし、「第70回NHK紅白歌合戦」に初出場したことも話題になるなど幅広い世代から注目される作品となった。

 「鬼滅の刃」はそもそも深夜アニメとして放送されたこともあり、花江さんは「テレビアニメを収録している時は、子供たちの間でも知られるほど人気になるとは思っていなかった」という。

 「テレビアニメの収録の時は、『たくさんの人に見てもらえたらいいな』という思いで全力でやっていましたが、こうしてたくさんの皆さんに見ていただけるのは、本当にうれしいことです。いろいろな方から『鬼滅見たよ』『うちの息子が好きだよ』と言われるのもうれしいです。『鬼滅の刃』がきっかけで、ほかのアニメにも触れていただける機会があるかもしれないですし」

 大人気作となってからも、演じる上での姿勢は変わらないという。

 「僕自身が『鬼滅』がすごく好きなので、『自分が想像していたようなシーンにしたい』というプレッシャーはあります。自分が原作を読んでいた時の炭治郎の理想とずれたりしないようにしなきゃという。僕も劇場版が公開されたら、もちろん劇場に行きますし、普通にファンとして楽しみたい。そこで炭治郎を見た時に『これちょっと違ったな』という後悔がないようにしなきゃなと。『鬼滅』は、僕の中では客観的に見られて、自分が演じているという感覚でなくアニメを楽しむことができる作品なんです。そこで、自分がファンとして納得できるようにしたい」

 花江さんにとって「鬼滅の刃」という作品は、どんな存在となっているのだろうか。

 「一人のファンとして本当に楽しめる作品ですし、そんな作品に関われて、しかも炭治郎というすごく魅力的なキャラクターを演じられたことは、自分の声優人生の中でも大きいことです。これからも長い付き合いになればいいなと思っています。また一つ新しく道が開けたような、そんなキャラクターになっています」

 ◇炭治郎の思いがぶれないように 「一緒に成長できた」

 花江さんが演じる炭治郎は、鬼に家族を殺され、生き残った妹の禰豆子(ねずこ)も鬼に変異させられるという過酷な境遇にもくじけず、鬼殺隊へ入隊し、禰豆子を人間に戻すべく奮闘する。その頑張る姿は、テレビアニメでも多くの人の胸を打った。花江さんは、「炭治郎の思いをぶれさせないようにと演じている」と語る。

 「炭治郎には、禰豆子を人間に戻すという思いがあるので、そこは本当にぶれさせないようにという気持ちで演じています。彼はすごく真面目で優しい子。人を思いやれる気持ち、倒した鬼にも寄り添ってあげられるような優しさ、心の清らかさをすごく意識して演じています」

 炭治郎の成長も意識している。

 「年齢的な成長もそうですし、任務を重ねていくごとに彼の覚悟や、肉体的、精神的な強さもどんどん進化していっていると思うので、もっと声に圧をかけて覇気を出したり、気持ちを入れるようにする」

 花江さん自身も頑張る炭治郎から影響を受けている。

 「炭治郎の本当に諦めない力というか。妹を人間に戻すという思いだけで、あれだけ頑張れる。毎日つらい思いをしてもなお、諦めずに頑張る、前向きな気持ちは炭治郎から教えてもらいました。僕も日常生活でくじけそうになった時は、『炭治郎があれだけ頑張っているんだから、こんなことぐらいできるだろう』と考えることもあります。『鬼滅の刃』のアフレコの時も、炭治郎がこのシーンでこれだけ頑張っているんだから、もっと自分も頑張って声を当てないと負けちゃうぞという気持ちでした。僕自身も炭治郎と一緒に成長できたんじゃないかなと思います」

 炭治郎たちの前には、次々と強大な鬼が現れる。炭治郎が常に全力であるように、アフレコも声優陣の全力がぶつかり合う現場だという。

 「鬼を演じられているキャストの皆さんが本気で炭治郎を殺しにくるので、『あ、殺される、負けちゃう』って思うんですよね。だから、そこで負けないように全力で返すというのがすごく緊張感がある。炭治郎の頑張る姿はいろいろな人に響くと思うので、僕が全力で炭治郎を演じることで、ほかのキャストの皆さんについてきていただけたり、助けてもらえたりできるような、そんな頑張りができたらいいなと思っています」

 ◇ずっと演じたかった無限列車編

 劇場版は、テレビアニメ最終話から繋がる物語。炭治郎、炎柱の煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう)ら鬼殺隊が短期間で40人以上の行方不明者を出しているという無限列車の調査へおもむき、十二鬼月(じゅうにきづき)の下弦(かげん)の壱の魘夢(えんむ)との戦いに挑む。

 花江さんは、「鬼滅の刃」の特番で、劇場版のアフレコを「熱かったです。役者の魂がぶつかり合っていた」「終わった後、本気で燃え尽きるほどに叫びました」と語っていた。かなりハードな収録だったそうだが、「集中力が切れることはなかった」という。

 「無限列車編は僕も好きなお話なので、テレビアニメを収録している時から『ここはアニメになったらどうなるんだろう』『このせりふ早く言いたい、このシーンやりたいな』という気持ちがすごくあったので、モチベーションがそもそも高かった。2日間で収録したこともあり、気持ち的にも途切れることはなかったです」

 アフレコでは、煉獄を演じる日野聡さんの演技も「一言一言が響いてくるようだった」といい、「本当に言葉がストレートに伝わってくる。日野さんのお芝居が重なってより煉獄のよさが際立っていました」と語る。

 劇場版では、炭治郎の家族が登場するシーンも印象的だったという。

 「炭治郎の家族はテレビアニメの第1話に少しだけしか出てこなかったので、無限列車編の収録で久しぶりにキャストの皆さんとお会いできて、すごくうれしかったです。それに、収録が終わった後に、炭十郎(炭治郎の父)役の三木(眞一郎)さんが、『君が息子でよかったよ』と声をかけてくださったんです。それは今年一本当にうれしかったですね(笑い)」

 劇場版の見どころを聞くと、「思いの強さを感じ取っていただきたい」と語る。

 「炭治郎にとっての家族、仲間、柱と、人と人の思いの強さが描かれているので、絆や思いの強さを感じ取っていただきたいです。皆さんにとって大事な人にも、今全力で気持ちを伝えようと少しでも思っていただけたらいいなと思います」

 劇場版では、さまざまな戦いをへて強くなった炭治郎たちの新たな戦いが描かれる。花江さん演じる炭治郎の“全力”を劇場で受け止めたい。

※禰豆子の「禰」は「ネ+爾」が正しい表記となる。
※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記となる。

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