映画:「鬼滅の刃」だけじゃなかった 「今日から俺は!!」「テネット」… コロナ禍で奮闘した2020年の映画たち

映画「今日から俺は!!劇場版」のビジュアル(C)西森博之/小学館(C)2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会
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映画「今日から俺は!!劇場版」のビジュアル(C)西森博之/小学館(C)2020「今日から俺は!!劇場版」製作委員会

 コロナ禍に見舞われた2020年は、エンターテインメント業界にも大打撃を与えた。そんな中、映画業界では吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)さんの人気マンガが原作のアニメ「鬼滅の刃」の劇場版「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」(外崎春雄監督)が、累計で動員2404万人、興行収入(興収)324億円を突破。歴代興収ランキングで「千と千尋の神隠し」(2001年)を抜き、19年ぶりに記録を更新するなど、2021年に向けて明るい兆しもあった。「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の記録ばかり注目された本年だが、そのほかの作品はどうだったのか。年の瀬に、改めて振り返っていく。

 ◇興収50億円超 「今日俺」ヒットの二つの理由

 通常、その年の映画の興収統計は、翌年の1月末ごろに発表されているため、順位は暫定的なものになるが、2020年の興収2位は、7月に公開された「今日から俺は!!劇場版」(福田雄一監督)。3位は1月から全国公開され、第92回アカデミー賞で作品賞などを受賞したことで話題になった「パラサイト 半地下の家族」(ポン・ジュノ監督)、4位は7月に公開された「コンフィデンスマンJP プリンセス編」(田中亮監督)、5位は8月公開の「映画ドラえもん のび太の新恐竜」(今井一暁監督)……と続く。意外なことに、緊急事態宣言の解除以降に公開された作品が、トップ10中で8作を占めている。

 特筆すべきは、実写映画ではナンバーワンになった「今日から俺は!!劇場版」だろう。公開当時は、新型コロナウイルス感染予防のためにイベントの開催制限が実施されており、映画館では収容率50%以内というガイドラインが設けられていた。そんな中でも、50億円以上の興収をあげた。

 「今日から俺は!!劇場版」はなぜヒットしたのか。プロデューサーの高明希さんは、いわゆる“夏休み映画”としての需要が大きかったことと、作品としての魅力も大きかったという二つの理由を説明。作品で描かれる「ツッパリ文化」を現代で描くにあたって、福田監督のこだわりは“世代間ギャップ”だったという。「今の時代に合わせて無理やり整合性を取ろうとするとファンタジー感がなくなってしまう。『なんだこれ!?』って思わせるのがこのドラマの面白さですよ」と福田監督に言われて納得したと明かす。

 ◇公開延期相次いだ洋画大作  「テネット」が奮闘

 興収10位までの中で、邦画は8作品がランクイン。本来であれば、今年公開されていたであろう人気シリーズの最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(キャリー・フクナガ監督)、「ミニオンズ フィーバー」(カイル・バルダ監督)、「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」(ジャスティン・リン監督)などは、日本よりもコロナの影響が大きい国が多いこともあって、2021年以降に延期に。洋画は寂しい1年だった。

 ただし、ランキングで3位となった「パラサイト 半地下の家族」は、コロナによる外出自粛ムードが広がる前に公開されたこともあり、40億円以上の興収となっている。コロナ禍以降に公開された洋画大作でも、クリストファー・ノーラン監督の最新作「TENET テネット」が興収ランキングで6位の20億円以上と奮闘した。

 同じく、10月に掲載された記事で、同作の宣伝プロデューサーを務めるワーナー・ブラザースの小宮脩さんは、映画がヒットした理由について「謎解きを楽しむことにフォーカスが定まったことが良かったと思います」と、謎だらけであることを逆手に取った宣伝が奏功したと説明。また、外的な要因として「残念なことに洋画大作の多くが公開延期になり『TENET テネット』のようなブロックバスター映画(長編大作映画)を待ち望んでいた人たちが多かったことが挙げられます」と分析している。

 そのほかに、「風の谷のナウシカ」(1984年)、「もののけ姫」(1997年)、「千と千尋の神隠し」(2001年)、「ゲド戦記」(2006年)などスタジオジブリの劇場版アニメが、6月ごろから映画館で続々と再上映され、新作公開がなかった映画業界を沸かせたことも、2020年の映画業界の特徴だろう。これまで興収約308億円だった「千と千尋の神隠し」は約8億円を上積みし、約316億8000万円になる珍現象が起こったことは記憶に新しい。

 新型コロナウイルスの感染者数が、全国で過去最多を記録するなど、2021年もコロナ禍は当面続きそうだ。そんな中でも、「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」の大ヒットによって、映画館で映画を鑑賞する楽しみを再発見した人が多かったことは、映画ファンとして非常に喜ばしい出来事だ。来年はどんな映画と出会えるのか、期待したい。

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