真島ヒロ:「RAVE」「FAIRY TAIL」「EDENS ZERO」 “生きる伝説”の人気の理由 速筆伝説の真相

「EDENS ZERO」を手がける真島ヒロさん
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「EDENS ZERO」を手がける真島ヒロさん

 マンガ「RAVE(レイヴ)」「FAIRY TAIL(フェアリーテイル)」などで知られ、現在は「週刊少年マガジン」(講談社)で「EDENS ZERO(エデンズ ゼロ)」を連載中のマンガ家の真島ヒロさん。「RAVE」「FAIRY TAIL」がテレビアニメ化され、「EDENS ZERO」もテレビアニメが4月にスタートするなど次々とヒット作を生み出し、1998年のデビューから20年以上にわたって第一線で活躍している。とにかく速筆で、休載をしないなどさまざまな伝説を耳にすることもある。“生きる伝説”の人気の理由、執筆の裏側に迫った。

ウナギノボリ

 ◇描きたいものを描き続けている

 真島さんのマンガは、さまざまな魅力にあふれている。難しい設定でも一度読めば頭に入ってくる。1話の中に起承転結がしっかりとあり、ワクワクする。とにかく分かりやすいのだが、じっくり読むと、気付くことも多い。プロとして当たり前のことなのかもしれないが、簡単なことではないはず。まさにプロの中のプロだからできることなのだろう。

 「デビューの時から丁寧に作るのが『マガジン』のスタイルと聞いてきたので、そこを大事にしています。若い頃は勢いだけで描いていて、それはそれでよかったところもあるのですが、20年もやっていますからね。どういうふうに描けば分かりやすいか、身についているのかもしれません。昔は、周りが見えていなくて、自分が描きたいことを優先して、担当編集が軌道修正してくれていました。最初は、なんでこんなに直すんだろう?と思っていましたけどね(笑い)。より読者が望むものを描くことを段々と意識するようになったんです。自然と身についていったところもあります」

 一方で「僕は描きたいものを描き続けている」とも話す。

 「僕は幸せな作家なんです。自分が描きたいものと読者の方が読みたいものが近いのかもしれません。描きたいものを描いています。自分が描いていて楽しくないと読者の方も楽しくないですから。つらいと思ったことがないんですよ。好きでやっている仕事ですから。アイデアがでなくて悩むことはあるけど。やっぱりすごく楽しい。長年続けてきた結果でしょうね」

 女性キャラクターが可愛いのも真島さんのマンガの魅力の一つだ。少年マンガではあるが、女性キャラクターの女性ファンも多い。

 「可愛い女の子を描くことは、デビュー前の課題の一つだったんです。担当編集に『もっと可愛く!』と言われ、アニメ、マンガ、ゲームを研究しました。最終的には僕の理想像なんですよね。そこが反映されています」

 ◇実は速筆ではない?

 真島さんはさまざまな伝説があるマンガ家だ。その一つが「とにかく速筆」と言われていることだ。しかし、本人は「だまされていますよ(笑い)」と否定する。

 「実は全く早くないんですよ。これを言ってしまうと面白くないんですけど、早く見せているところはあります。本当に早い人をいっぱい知っていますし、客観的に見ると早くないんです。遅い方ではないかもしれませんが。僕の絵柄は淡泊ですからね。僕が『マガジン』で連載を始めた時代は、スクリーントーンを使っていないマンガは『マガジン』では僕くらいでした。作画カロリーが低いんですよ。劇画調のものに比べると全然なんです。(『 はじめの一歩』で知られる)森川ジョージさんの絵を描けと言われたら、1週間ではできませんよ」

 「RAVE」は約6年間、「FAIRY TAIL」は約11年間、一度も休載しなかった。これもとんでもない伝説だ。

 「森川ジョージさんが唯一、僕に勝てないところです(笑い)。森川さんは憧れの先輩です。『はじめの一歩』は僕が超えられないマンガ。唯一、そこしか勝ち目がないんです。最初の頃、編集部から『休んでくれ』と言われていました。でも、絶対イヤだった。新人だったので、1週でも休んだら、忘れられると思っていたので。もし倒れてしまったら困るので、1カ月先まで先行して描くようにしています」

 連載中の「EDENS ZERO」について「最初は30巻くらいかな?と思っていたけど、それでは終わらないかもしれません。描いていくと楽しくなっていくんですよね。次から次にアイデアが出てくるんです」と話す真島さん。「楽しい」という言葉が印象的だ。だから、真島さんのマンガは楽しいのだろうし、休載もしないのだろう。「EDENS ZERO」はもちろん、これからもさまざまな“伝説”で驚かせてくれそうだ。

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