ちいかわ
第252話 シーサーの資格(4)
3月14日(金)放送分
「君のいる町」「風夏」などで知られるマンガ家の瀬尾公治さんの新連載「女神のカフェテラス」が、2月17日発売の「週刊少年マガジン」(講談社)第12号でスタートする。瀬尾さんは同誌で約20年にわたって第一線で週刊連載を続けてきたトップランナーで、“ラブコメの名手”としても知られている。「ラブコメはもういいかな?」と考えた時期もあったというが、「いろいろやってみたけど、結局ラブコメが楽しいです」と新連載では真っ向からラブコメに挑むことになった。新連載を「集大成」と話す瀬尾さんの“終わらない挑戦”に迫る。
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瀬尾さんはバイタリティーにあふれたマンガ家だ。1996年にデビューし、2002年に「週刊少年マガジン」で「CROSS OVER」を連載をスタート。以降、「涼風」「君のいる町」「風夏」「ヒットマン」と約20年にわたって週刊連載を続けてきた。2月17日発売の「週刊少年マガジン」第12号では「ヒットマン」が最終回を迎え、新連載「女神のカフェテラス」が同時にスタートする。瀬尾さんは2014年にも「君のいる町」の最終回と「風夏」の第1話を同時掲載したことがある。担当編集によると、最終回と新連載が同時に掲載されるのは「週刊連載では聞いたことがない。しかも2度も。極めて異例です」といい、そのバイタリティーに驚かされる。
「ヒットマン」は、マガジン編集部を舞台に、主人公・剣埼龍之介がマンガ編集者として成長する姿を描いたマンガで、2018年6月に連載がスタートした。ラブコメのイメージが強い瀬尾さんの新境地となった。約2年半にわたる連載を終えることになり、瀬尾さんは「描きたいことは描ききった」と語る。
「リアルなマンガの現場を描きたかった。最初は『半沢直樹』っぽいというか、熱い物語にしようとしていました。マンガ、編集に関する小ネタは講談社の担当の方を取材させていただきました。マンガ家に関する表現は、ほぼ僕の経験ですね。アンケートの順位にこだわるところとか。剣埼みたいにモテまくる編集はいないようですが(笑い)」
「ヒットマン」では、マンガ家が読者アンケートの結果に一喜一憂する姿が印象的だ。担当編集によると「アンケートは作家さんによっては見たくないという人もいるのですが、瀬尾先生はいい意見も悪い意見も全部見ています」といい、瀬尾さん自身も読者アンケートを参考にしている。「ヒットマン」も読者アンケートを受けて、ラブコメ要素を強めにするなど週刊連載ならではのスピード感、ライブ感を大切にしながら、描ききった。読者の反響は、瀬尾さんのバイタリティーの源にもなっている。
「唯一、読者と対話できるのがアンケート。序盤は苦戦したところもあり、アンケート結果を受けて、ラブコメ寄りにしたんです。展開を止めてはいけない。どんどん進めることを意識していました。反響があるとやっぱりうれしいんです。子供の時に、絵を褒められたらうれしかったし、ずっとその延長で描いているのかもしれません。週刊連載を続けてきて、止まることが、ずっと怖いんですよ」
新連載「女神のカフェテラス」は、瀬尾さんが「次はラブコメで!」という思いから生まれた。瀬尾さんは「ラブコメはもういいかな?」と考えた時期もあったというが、「いろいろやってみたけど、結局ラブコメが楽しいです」と真っ向からラブコメに挑むことになった。「週刊少年マガジン」は、宮島礼吏さんの「彼女、お借りします」、ヒロユキさんの「カノジョも彼女」、吉河美希さんの「カッコウの許嫁」など数々の人気ラブコメが連載中で、まさに“ラブコメ戦国時代”だ。
「『君のいる町』を終えた後、ラブコメはもういいのかな?とも思ったんです。やったことがないことをやろう!と『風夏』はバンド、『ヒットマン』はお仕事ものに挑戦しました。ラブコメは、若い人が描けばいいとも思っていたんですけど、一昨年前に、宮島君と飲んでいて『ラブコメ、やらないで!』と言われたんです。じゃあ、やろう!と(笑い)。ライバルと思っていてくれていることがうれしかった。『ヒットマン』ももう少し連載する予定だったのですが、『マガジン』でラブコメが増えていますし、終了を少し早めてもらいました」
「週刊少年マガジン」は、瀬尾さんをはじめ「ラブひな」「魔法先生ネギま!」などの赤松健さん、「ドメスティックな彼女」などの流石景さんらの名作を連載してきた歴史もある。担当編集は「ラブコメは、ヒロインがたくさんいるハーレムものの系譜、瀬尾さんのような三角関係の系譜があるとすれば、新連載は瀬尾さんのこれまでの方程式にはない作品になります」と説明する。瀬尾さんは「初のハーレムものです!」と声を弾ませる。
「僕がイメージした読者が喜んでもらえるものを全部ぶち込んでいます。『マガジン』でラブコメだったら、ヒロインが5人出てくればいいかな?って(笑い)。まずは本気で笑えるバカな話をいっぱい描きたい。家族というテーマを軸にはしていますが、その中でいかに遊べるか?を考えています。主人公がどの子とくっつくかは決めていません。僕の意思よりも読者が求めるものを描きたいので、一番人気のある子がいいでしょうし。新しいことをやっているので、楽しいですね」
「連載作としては10本目ですし、集大成にしたい。20年やってきたことがどれだけ通じるかを詰め込んでいます」と力を込める瀬尾さん。「中高生にとって恋愛が全てでしょうし、ラブコメを読んで夢を持ってほしい」と思いを込めた。ベテランながら「まだまだ!」と挑戦を続けるのは、たぐいまれなるバイタリティーがなせることなのだろうか? 「女神のカフェテラス」の挑戦に注目したい。
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