ダンダダン
第5話「タマはどこじゃんよ」
10月31日(木)放送分
武内直子さんの人気マンガが原作のアニメ「美少女戦士セーラームーン」シリーズの新作劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」の後編が2月11日に公開される。原作の連載がスタートした1991年から30年近く愛され続けている。「美少女セーラームーン」は革新的であり普遍的でもある作品だ。原作の担当編集で「Eternal」のシニアプロデューサーを務める講談社の小佐野文雄さんに、愛され続ける理由を聞いた。
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「美少女戦士セーラームーン」は、1991~97年に少女マンガ誌「なかよし」(講談社)で連載された人気マンガが原作で、テレビアニメが1992~97年に放送された。ドジで泣き虫な月野うさぎが、愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーンに変身し、仲間の戦士たちと活躍する姿が描かれている。
セーラー服をモチーフとした可愛い衣装、戦うヒロイン、ジェンダーフリーなキャラクターなど「美少女戦士セーラームーン」は1990年代に誕生した当初、革新的に見えた。今もその魅力は色あせない。小佐野さんは、約30年にわたって愛され続けている理由の一つとして「キャラクター、小物などのデザインが普遍的」であることを挙げる。さまざまな魅力にあふれた作品ではあるが、デザインの普遍性について詳しく聞いた。
「例えば小物の変身コンパクトにしても古びて見えない。武内先生は美術書をよく読んでおり、デザインに造詣が深かったんです。実は、キャラクターデザインも1カ月か1カ月半くらいしか時間をかけていないんですよ。というのも、先生が最初に描いたものはキャラクターごとにバラバラだったデザインで、チーム感をだしてほしく、統一するようお願いしました。そのため一回全ボツにさせてもらったため、本当に時間がなかった。ドタバタの中で集中してやったのがよかったのかもしれません。武内先生は元々、集中力がすごい方なんです」
武内さんは当時、まだ新人マンガ家の域を出ていなかった。「美少女戦士セーラームーン」を描く中で、その類いまれなる能力を開花させていったという。
「武内先生は時代の空気を巧みに切り取り、作品に落とし込める力がある。それまでも連載経験がありましたが、この作品でぐんと伸びた。また、連載当時からずっと読んできたはずなのに、今読み返して、新たに気付くこともたくさんあります。今でも教えられることばかりで、とんでもない作品だったのだと改めて気付かされています」
「美少女戦士セーラームーン」は革新的だが、普遍的でもある。1990年代に革新的だったかもしれないが、時を経て、それがスタンダードになったのかもしれない。
「少女マンガの世界では、10年周期説があります。10年くらいたつと古いと言われてしまう。1990年代は、1980年代の作品がボロクソに言われていたけど、21世紀になるとリバイバルしたり。音楽の世界もそういうことがありますよね。21世紀に入って、エイティーズリバイバルがあったり。10年で一度人気は落ちるけど、20年たつと普遍的なものはリバイバルによって、スタンダードになる。世代の交代とも関係しているのかもしれません」
「美少女戦士セーラームーン」は、2012年に始まった20周年プロジェクトの一環として、2014年にアニメ「美少女戦士セーラームーン Crystal」がスタートした。後編の公開を控える「Eternal」は「Crystal」に連なる新シリーズの新作で、第4期「デッド・ムーン編」が前後編で描かれる。小佐野さんによると、20周年プロジェクト以降、ファンに“変化”があったという。
「20周年で再スタートして感じたのが、ファンの方の心の中に予想していた以上に作品が残っていたことです。1990年代はファンの男女比が男性4、女性6だった。それが今は男性1、女性9になった。1990年代当時、子供だった女性ファンが、大人になり、社会に参加し始め、今も作品のことを覚えていてくれたことが感動的でした」
今後も30年、40年……と世代を超えて、愛され続けるはずだ。「いくつになっても楽しめる作品ですし、世代的にもバトンタッチして、どんどん続いていけばうれしいですね。今のファンの方には天に召されるまでずっとお付き合いさせていただきたいです(笑)」と語る小佐野さん。「美少女戦士セーラームーン」は終わらない作品だ。「Eternal」はもちろん、その先の未来にも期待したい。
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