葬送のフリーレン:死を丁寧な感情で描く 意外なタイトル秘話も 「マンガ大賞2021」大賞の話題作

「マンガ大賞2021」の大賞に選ばれた「葬送のフリーレン」の描き下ろしイラスト
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「マンガ大賞2021」の大賞に選ばれた「葬送のフリーレン」の描き下ろしイラスト

 マンガに精通する書店員らが「その年一番面白いと思ったマンガ」を選ぶ「マンガ大賞2021」(実行委員会主催)が3月16日に発表され、「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中の「葬送のフリーレン」が大賞に選ばれた。小学館の担当編集の小倉功雅さんが授賞式に登場し、「光栄ですし、うれしいの一言に尽きます」と喜びを語った。

 「葬送のフリーレン」は、2020年4月に同誌で連載がスタートした、山田鐘人さんが原作、アベツカサさんが作画を担当するマンガ。勇者一行が魔王を倒した後の物語を描く“後日譚”ファンタジー。勇者一行の魔法使いで、エルフゆえに長寿であるフリーレンが仲間の死を経験し、人を知るために旅をする姿を描いている。人気マンガをランキング形式で発表するガイドブック「このマンガがすごい!2021」(宝島社)のオトコ編の2位に選ばれたことも話題になり、3月17日発売のコミックス第4巻で累計発行部数が200万部を突破するなど話題になっている。

 小倉さんは「葬送のフリーレン」のタイトルの由来を聞かれ、「山田先生のタイトル案がありながら、編集部でも検討した。編集部会議で『いいタイトルが決まったら自腹で賞金1万円出します』と募ったら、副編集長が出した案の中に『葬送のフリーレン』があった。最終的には山田先生、アベ先生に決めていただいた。賞金は副編集長が受け取りました」と笑顔で明かした。

 小倉さんは作品について、「表面的には人の死を描いているので、死は誰にでも身近にあるというところを、とても丁寧な感情で描いている。少し掘り下げたところには前向きさ、肯定感があると思っておりまして、切ない話ですが、読み心地はとてもいいという感覚があります。前向きに感情や人生を肯定できる感覚がある。また、人への興味をうまく捉えて描いている作品」と魅力を語った。

 小倉さんは、制作過程で山田さん、ワダさんが作り出す作品のクオリティーに毎話驚かされるといい、「頭が下がる思いです」と話した。「山田先生のネームは18ページほぼ直さない。アベ先生はなんとも言えない人間の複雑な感情を表現されている。毎回原稿を見てすごいなと思います」と話した。

 授賞式では、山田さん、アベさんが寄せたコメントも公開された。山田さんは「この度はとても高い評価をいただき、ありがとうございます。とても面白いマンガばかりがノミネートされているので、まさか大賞を受賞するとは本当に思っていませんでした。このマンガの雰囲気を表現してくれているアベツカサ先生と楽しく打ち合わせをしている担当編集さんのおかげだと思っています。大賞受賞、本当にうれしいです」とコメントを寄せた。

 アベさんは「この度は大賞に選出していただき、ありがとうございました。子供の頃から知っている賞なので、とても感慨深いです。山田先生、担当編集さん、アシスタントさん、家族、友人、そして読者の皆さん、たくさんの人に支えられているから今ここにいられるのだと思います。これからも努力を怠らずもっといいものが描けるように、皆さんにお届けできるように頑張りたいと思います」とコメントした。

 「マンガ大賞」は2008年に創設されたマンガ賞で、審査にマンガを売る出版関係者が関与しないのが特徴。大賞に選ばれた作品は注目を集めて売り上げが一気に伸び、アニメ化や映画化などのメディア展開につながることもある。今回は2020年1月1日~12月31日にコミックスが出版され、通巻8巻以内のマンガ(過去の大賞は除く)が対象。

 過去の大賞は、末次由紀さんの「ちはやふる」や、羽海野チカさんの「3月のライオン」、柳本光晴さんの「響~小説家になる方法~」などで、昨年は山口つばささんの「ブルーピリオド」が受賞した。

 ◇過去の大賞受賞作品(敬称略)

 「岳」石塚真一▽「ちはやふる」末次由紀▽「テルマエ・ロマエ」ヤマザキマリ▽「3月のライオン」羽海野チカ▽「銀の匙 Silver Spoon」荒川弘▽「海街diary」吉田秋生▽「乙嫁語り」森薫▽「かくかくしかじか」東村アキコ▽「ゴールデンカムイ」野田サトル▽「響~小説家になる方法~」柳本光晴▽「BEASTARS」板垣巴留▽「彼方のアストラ」篠原健太▽山口つばさ「ブルーピリオド」

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