SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第1話 再出発!集う麦わらの一味!
11月3日(日)放送分
人気アニメーションシリーズ「トムとジェリー」の実写映画「トムとジェリー」(ティム・ストーリー監督)が、3月19日に公開された。日本語吹き替え版で、高級ホテルを舞台にしたトムとジェリーのけんかに巻き込まれる新人ホテルスタッフのヒロイン・ケイラを演じるのが、人気声優の水瀬いのりさんだ。水瀬さんは、仕事で失敗しながらも奮闘するケイラの気持ちが「痛いくらい分かった」と話し、演じることで「ケイラの人生を一緒に歩めたような気持ちになれた。背中を押された」と感じているという。収録の様子や本作の魅力、「失敗して落ち込むことも多かった」というデビュー当時について語った。
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実写映画は、トムとジェリーをはじめとした動物は全てアニメーション、ケイラら人間たちは実写という世界観で描かれる。ジェリーが引っ越したニューヨークの高級ホテルで世界が注目するウエディングパーティーが開かれることになるが、トムとジェリーのせいでパーティーが台無しに。汚名返上のためにタッグを組むことになったトムとジェリーが、世界一すてきなウエディングパーティーを開こうと奮闘する。
水瀬さんが日本語吹き替えを担当するケイラは、成功を夢見てニューヨークに出てくるも、半年間で4回の解雇に遭い、ある日経歴を偽って名門ホテルに臨時スタッフとして採用される。米女優のクロエ・グレース・モレッツさんがケイラを演じる。水瀬さんは「難しさ」を感じることも多かったという。
「ホテルで働く女性ということで、学生生活ではなくて社会人に囲まれながらなので、自分が想定していたよりもさらに大人っぽく、声を低くというディレクションをいただきました。ホテルで大人たちに頭を下げたり、仕事仲間と話をするシーンでは『まだ声が幼いかもしれない』と言われ、調整しながら収録していきました。実写の女優さんに声を当てる仕事は何度か挑戦させていただいているんですけど、すごく難しいです」
映画では、アニメの「トムとジェリー」と同じく、トムとジェリーがしゃべることはないため、ケイラのせりふ量がかなり多い。収録は約10時間にも及んだが、「苦しさを感じることはなかった」と振り返る。ケイラは、経歴を偽ってホテルに潜り込んだこともあり、その場その場で機転を利かせて自分を取り繕う「カメレオンっぽさを持っている女性」と表現する。
「心の中ではざわざわしていても平然とやりきってしまうというか。仕事で『私に任せてください』というシーンも声が上ずるわけではなく、本当にベテランのホテルスタッフのような、偽りの経歴通りに振る舞うんです。一人のキャラクターではあるけど、いろいろ面を出してお芝居するのは非常に難しくもあり、楽しかったです」
なかでも水瀬さんが苦戦したのはケイラの「ブタ鼻」のシーンだった。
「ケイラを演じているクロエさんの癖だと思うのですが、笑った後に鼻が鳴る、ブタ鼻になるんですよ(笑い)。それをコピーするのがすごく大変でした。しかもしゃべりながらブタ鼻を入れてくる時もあって、それが日本の女優さん、俳優さんのお芝居にはないダイナミックさというか。収録でも、ケイラがブタ鼻を入れてくる前後はすごく心臓がバクバクして、せりふをしゃべるにもブタ鼻を意識してしまって(笑い)」
ブタ鼻の音だけを収録することもあったという。
「ブタ鼻だけで5種類ぐらい録(と)りました。でも、ブタ鼻って、やってと言われるとできないんですよね。結局、会話の流れで収録したものが一番自然だったので、それが使われたんじゃないかと。ただ、そういう部分がクロエさんの魅力であり、ケイラの親しみやすさにもなっているんですよね。クロエさんのユニークなお芝居に引っ張られて、私も『こんな芝居したことない』という体験がたくさんできました。まさに一心同体というか、クロエさんの作るケイラと一緒に走れたと感じてすごくうれしかったです」
実写映画「トムとジェリー」は、トムとジェリーのハートフルなコメディー要素が中心ではあるが、ケイラらホテルで働く人々や、世界が注目する結婚式を挙げるセレブカップルの人間ドラマも描かれる。水瀬さんはケイラを演じ、普段のアニメーションの収録とは違った感覚を持ったという。
「普段はアニメを見てくれるお客さんに作品の世界に入ってきてほしいと思いながら演じているんですけど、今回は本編を見ながらの収録だったこともあり、より自分が作品の世界に入ったような感覚になれました。ホテルの仕事を頑張ったり、トムとジェリーに振り回されたりしているケイラという女の子に私もなれた、人生を一緒に歩めたような気持ちになれたのはすごく貴重な時間でした」
映画では、トムとジェリーの大げんかのせいで結婚式が台無しになり、ケイラがホテルをクビになってしまう。落ち込むケイラが「『私はできる』というのを見せたかった……」というシーンでは、水瀬さんも「うるうるしちゃいました」という。水瀬さんも「仕事で落ち込むことは多い」と話す。
「長く活動させていただいて、今だからこそ声優の世界のルールが分かってきていますけど、デビュー当時は何もかもが分からないことだらけで、それを『分からないです』と言うこともできなかった自分がいました。今となってはそれがすごく悔しいし、あの時『分からないです』と言えていたら、もっと違ったのかなと思うこともあります。だから、ケイラが経歴を偽っていることを打ち明けようとしたけどできなかった気持ちが痛いくらい分かりました」
水瀬さんは、デビュー当時、収録でのマイクの立ち位置が分からず先輩とぶつかって収録が止まってしまうなど「『もう終わったな……』って、思う瞬間が多々あったり、本当になかなかうまくいかなくて。うまくいかないと思えば思うほど空回りしてしまった」と振り返る。そうした失敗を乗り越え、「その時、勇気がなくてできなかったことも、時が進んで『あんな時もあったな』って言える未来を信じて歩いて行こうという気持ちになりました」と語る。
「今も失敗はたくさんあります。アーティストとして歌を歌っている時に歌詞を盛大に間違えたりとか。電車で寝過ごしたりもしますし、スタジオの場所を間違えることもありますし、本当に日々失敗ばかりです(笑い)。本当はそんな失敗がないほうがいいんですけど、それでも誠意というか、全力で謝罪をして、それを取り戻すために頑張る。仕事で取り戻す。その繰り返しです」
そんな水瀬さんが演じる「トムとジェリー」のケイラは明るくパワフルで、とても魅力的だ。失敗をおそれぬ勇気とパワーをもらえるはずだ。
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