アニメ質問状:「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」 小説を書き上げてから脚本を ある種のミステリー的なアプローチも

「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の一場面(C)Vivy Score/アニプレックス・WIT STUDIO
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「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の一場面(C)Vivy Score/アニプレックス・WIT STUDIO

 話題のアニメの魅力をクリエーターに聞く「アニメ質問状」。今回は「甲鉄城のカバネリ」「進撃の巨人」などのWIT STUDIOが制作するオリジナルテレビアニメ「Vivy -Fluorite Eye’s Song-(ヴィヴィ-フローライトアイズソング-)」です。シリーズ構成・脚本の長月達平さんに、作品の魅力などを語ってもらいました。

ウナギノボリ

 --作品の概要と魅力は?

 時代は近未来、AIが人類の生活に欠かせない存在となっている世界、歌うために作られたAIであるヴィヴィの元に、100年後の未来からマツモトと名乗るAIが現れます。マツモトはヴィヴィに、100年後に発生する人とAIの戦争を阻止するため、自分と協力してAIを滅ぼしてほしいと言い出します。AIらしいAIながら、人類に寄り添うヴィヴィ。人間くさい言動をしながらも、AIらしい合理性を優先するマツモト。二体の凸凹コンビが掛け合いながら、最終目標である戦争を止めるために、各時代の戦争の原因となる出来事を改変していく、という歴史修正モノの内容となっています。

 --アニメにするときに心がけたことは?

 SFを題材にしながら、描きたい核となる部分はキャラクターたちのドラマになります。できるだけ分かりにくい設定や説明は省き、キャラクターが何の目的で、何をしなくてはならないのかを明確に描くことを目標としました。また、オリジナルアニメは先が分からない分、次も見てもらうための各話最後の“引き”のインパクトを重視しています。大きな情報や新キャラクター、見ている視聴者の方の意識を引き付けるギミックを随所に使っているので、引き込まれてくださるかと!

 --作品を作る上でうれしかったこと、逆に大変だったことは?

 今作はアニメの脚本に入る前に、“原案小説”という形で先にシリーズ全体の小説を書き上げています。当然、脚本会議の前に終わっていないといけないので大変ですし、原案小説が面白くなかったらもくろみが砕け散るのでプレッシャーが尋常じゃありませんでした。リレーの最初の走者として、脚本会議に続くバトン(原案小説)をしっかりつなぐために、同じくシリーズ構成・脚本の梅原英司さんとは血ヘドを吐くような打ち合わせを毎週毎週何度も何度も繰り返しました。おかげでよいシナリオになったと思います。

 脚本会議から制作に加わったスタッフの皆様には、最初に何冊もの小説を読んでもらうところから入ってもらわなくてはいけないので、きっと大変だったかと思いますが、書く方も苦労したのでおあいこということで! 

 --今後の見どころを教えてください。

 「Vivy」は成長ものという見方をすると正確ではないですが、ヴィヴィとマツモトも複数の時代とエピソードをへて、その考え方や関係性に変化が生まれていきます。AI的には適応や判断基準のアップデートというべき変化ですが、これまでの出来事を受けた彼女たちの変化と、そのヴィヴィたちがぶつかることになるシンギュラリティポイントの命題、それに対する回答の出し方など、問題解決のアプローチの変化が面白いところかなと。

 視聴者の皆様は、既に楽しみ方を前半パートで分かってくださったかと思います。「何が起きたのかは分かっている。どうしてそうなったかを確かめる」という、ある種のミステリー的なアプローチ、ヴィヴィと共に時代の謎解きに夢中になってくださればうれしいです!

 --ファンへ一言お願いします。

 まずはオリジナルアニメ「Vivy -Fluorite Eye’s Song-」の前半エピソードをご覧いただき、ありがとうございます! AIや時間遡行(そこう)を題材とした作品は、これまでにもさまざまな名作が生まれています。自分もそうした作品が大好きで、その“面白い!”というエッセンスを「Vivy」にはふんだんに詰め込ませていただきました! ぜひとも本作をご覧になって、こうしたジャンルの魅力に気付く一助になっていただけたら、その中でも「Vivy」という作品をとびきり好きになっていただけたらうれしいです! どうぞ最後まで、応援よろしくお願いいたします!

 シリーズ構成・脚本 長月達平

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