やくならマグカップも:多治見出身の“普通の会社員”が声優に 津村ねんど「人生が変わった」

「やくならマグカップも」に登場するのあ(左)と声優を務める津村ねんどさん(C)プラネット・日本アニメーション/やくならマグカップも製作委員会
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「やくならマグカップも」に登場するのあ(左)と声優を務める津村ねんどさん(C)プラネット・日本アニメーション/やくならマグカップも製作委員会

 岐阜県多治見市が舞台で、伝統工芸品・美濃焼がテーマのフリーコミックが原作のテレビアニメ&実写「やくならマグカップも(やくも)」。放送前に実施された声優オーディションで、2000人を超える応募の中から宮地晴さん、津村ねんどさんの2人が選ばれた。主人公・姫乃たちとは別の学校に通う陶芸部の女子生徒・のあを演じる津村さんは、多治見出身の“普通の会社員”で、声優になるために勉強していたわけではなく、声優を目指していたわけではないという。声優デビューをして「人生が変わりました!」という津村さんに「やくも」、多治見への思いを聞いた。

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 ◇「何かの形で関わりたい」 地元、作品への愛

 「やくも」は、2010年に多治見市の有志や企業が集まり、プロジェクトが始動。2012年から地元IT企業のプラネットがフリーコミックを発行している。母の故郷・多治見市に引っ越してきた豊川姫乃が、母が伝説の陶芸家であったことを知り、陶芸の世界に引き込まれていく……というストーリー。CBCテレビ、BS11、TOKYO MX、MBS、AT-Xで放送。

 津村さんは多治見生まれで、2020年3月まで多治見に住んでいた。今は多治見を離れて、会社員として働いているが「人生のほとんどを多治見で過ごした」という。「やくも」がアニメ化されると知り、「何かの形で関わりたい」という思いからオーディションに応募した。

 「アニメやゲームがすごく好きで、声優っていいなあ……と思ったことはあったのですが、目指していたわけではありません。『やくも』は、地元の作品ですし、以前からすごく好きで、アニメ化されることがうれしくて、公式サイトを見ていたら、オーディションが実施されることを知りました。締め切りの2、3日前だったので、急いで応募しました」
 約1000倍の難関を突破し「はぁっ!!と変な声が出ました」ととにかく驚いた。すぐに冷静になり、「多治見出身だから選ばれたのかな? でも、それだけじゃないものを表現できるように頑張ろう!」と気を引き締めた。

 アフレコでは「すごい!」と共演者、スタッフに圧倒されっぱなしだったという。

 「一つの作品を作るために、いろいろなプロフェッショナルの方々がいらっしゃって、すごい!と完全に素人目線でした。素人なんですけど……。ガチガチに緊張して、自分はこんな声なんだ!と驚きましたし、思うように声が出なくて、たくさんアドバイスをいただきました。帰り道は一人で反省会でした。キョロキョロしちゃったな……とか。次の日は、普通に会社に行きました。不思議な感じでしたね。これが現実なんだな……昨日のことは夢だったのかな?と」

 オーディションに合格して「人生が変わりました!」と語る津村さん。「声優をやってみたい!またあの場所に行きたい!と思うようになりました。実際にやってみて、悔しい思いもしましたし。声優になるためにどうしたらいいのかな?と考えています」と刺激を受けた。

 ◇多治見は「やっぱり大事な場所」

 今は多治見を離れている津村さんだが、だからこそ気付いた魅力もある。

 「都会の人が想像する牧歌的な田舎とは違って、少しだけ栄えているんです。でも田舎なんです。住んでいる時は、何もないところだな……と思ったこともあったのですが、やっぱりいいところなんですね。何もないなんてことはなくて、陶芸などの魅力もありますし、自分にとってやっぱり大事な場所です」

 津村さんにとって多治見には大事な場所、ものがたくさんある。

 「多治見市モザイクタイルミュージアムはフォトジェニックですし“映えて”いいですよ。市としては、たじみそ焼きそばを推していますが、個人的に一番好きなのは、富士アイスのじまん焼きです。高校の帰り道によく食べていました。うながっぱ音頭という洗脳ソングもいいんです。『やくも』の声優の方にも歌ってほしいなあ……」

 「やくも」は、多治見を愛する人々の思いが詰まっている。第11話で登場するのあを演じる津村さんの演技からもそんな思いを感じることができるはずだ。

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