水曜日のダウンタウン
有名人の卒業アルバムその地元に行けば意外とすんなり手に入る説
12月11日(水)放送分
動画配信サービス「Hulu(フールー)」のオリジナルドラマ「息をひそめて」に出演している蒔田彩珠(まきた・あじゅ)さん。コロナ禍の2020年を舞台に、多摩川沿いに暮らす人々のささやかな日常を描くオムニバスで、第4話に登場する三隅夕河を演じた。2012年の連続ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(関西テレビ・フジテレビ系)を皮切りに数々の是枝裕和監督作品に起用され、昨年公開の映画「朝が来る」(河瀬直美監督)で、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞、第94回キネマ旬報ベスト・テン助演女優賞などに輝いた、気鋭の若手女優だ。人には言えない何かを抱えた役が多いイメージの蒔田さんだが、この春、高校を卒業したばかりの18歳の素顔とは? 「演じることが楽しいってことを忘れたくない。楽しむ気持ちを一番大事にしたい」との思いで演技と向き合う蒔田さんに話を聞いた。
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第4話の副題は「この町のことが好きじゃなかった」で、高校1年のときに母親を亡くし、以来、父の雅人(光石研さん)と2人暮らしの三隅夕河を演じた。夕河は生まれ育った多摩川沿いの団地を出て、4月から金沢の美大に通う予定だったが、コロナ禍により授業開始が延期され、宙ぶらりんな毎日を余儀なくされる。大学が始まるまでの暇つぶしにと、ウーバーイーツの配達員を始める夕河は、仕事を通じて、今まであまり好きではなかった町の魅力に気づき、忘れていた思い出が掘り起こされていく……。
「台本を初めて読んだときは、せりふも少ないし、自転車をこいでいるシーンも多くて。どういう作品になるんだろうっていうのが第一印象でした」と振り返る蒔田さんだが、「映像になったときにすごくきれいで。言葉がなくても夕河と、お父さんの気持ちも伝わってくる作品だなって思いました」と明かす。
夕河は蒔田さんと同年代。「大学にも行けなくても誰のことも責められないし、お父さんのことは好きだけど、お母さんを亡くしたことでどこにもぶつけることのできない気持ちを抱えている。それでも配達員として働き始めて、どうしたら仕事をスムーズにできるかを考えていて、新しいことに挑戦できる女の子なんだなって感じました」と話す。
また「多摩川の河川敷を自転車で走ったのがすごく気持ちが良かったです」と撮影中を思い出しつつ、「普段からウーバーイーツを利用することがありますし、配達員をやってみたいなって思っていた時期もあったりしたので(笑い)。役とはいえ、それが体験できてうれしかったです」とほほ笑んだ。
物語の終盤には、夕河が父の雅人に連れられ、生まれ育った多摩川沿いの団地の敷地に久しぶりに足を踏み入れた際、自身の名前の由来を教えられるシーンもあった。蒔田さんも「私もインタビューなどで聞かれる機会があって、名前の由来を母に教えてもらったことがある」といい、「『彩珠』の『彩』はお母さんが好きな川の名前から、『珠』は、そのお母さんの名前に『真』という字が入っているので、私には真珠の『珠』の方をつけて『彩珠』となったそうです」と説明。「由来を聞いたときは、つながりを感じましたし、自分の名前は好きです」と語った。
プライベートに目を向ければ、この春に高校を卒業し、学生生活を終えた蒔田さん。「『学生』という枠組みではなくなってしまったので、もう大人の仲間入りだなって思っていて……。気を引き締めていけたらなって思っています」といった自覚も。
また「初めは、普通の高校に通っていたので、文化祭や体育祭など、普通の高校生活がどういうものなのか、体験できたのはすごく良かったなって思っています」と思い返し、「高校の裏にすごく大きな公園があって、みんなでぐだぐだとしゃべったりして、そこで特別なことをしていたわけではないのですが、高校生だからこそ何もなくてもいられたっていうのはいい思い出です」と笑顔を見せた。
そんな蒔田さんは普段はどんな女の子なのか。「今まで、何か抱えている役が多かったので『暗い』『静かそう』というイメージを持たれることが多いのですが、全然そんなことはなくて。兄が2人いて、末っ子なんで、甘えん坊というか、普段はとっても明るい子です」としっかりとアピールしていた。
一方で、演技への思いは人一倍強い。「ある意味、女優しかしてこなかったので、ほかを知らないっていうのもあるのですが。今でも一番、楽しいことは演技で、自分ができるのは『これだ』っていう思いもあります」と力を込める。
これまでの女優キャリアの中で、やはり「是枝監督と出会えたというのは大きいです」と話す蒔田さんは、「何をしていても、是枝監督がいるから大丈夫だって思える、安心感がある」という。
「以前、特別な何かを抱えていない明るい女の子の役をいただいたときに、初めてっていうくらい、演じるってときに『どうしよう?』ってなってしまったんです……。監督が『ゆたんぽでおなかを温めているような子をイメージすれば、自然と温かい気持ちになるよ』って、抽象的な言葉ではあったのですが、『なるほど』って腑(ふ)に落ちた。そういうアドバイスをすぐしてくれる方です」と全幅の信頼を寄せた。
また、河瀬監督がメガホンをとり、蒔田さんが出産直後に不妊の夫婦にわが子を差し出した少女を演じた「朝が来る」では“受賞ラッシュ”を経験。「こんなにも映画賞があること自体、賞をいただけるまで知らなかったのですが、評価していただけてうれしかったですし、『もう一回、この舞台に戻ってきたい』って思えたので、次は主演で戻ってきたいですね」と夢を膨らませた。
清原果耶さん主演で5月17日にスタートするNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「おかえりモネ」では、ヒロインの妹役に決まっていて、話題作への出演は続く。
改めて女優業について「楽しいからやっているんだって気持ちを忘れたくない」と話す蒔田さんは、「現場が楽しくないと、演技も楽しくならないですし、これからもずっと、楽しむって気持ちを忘れないで続けていきたいです」と目を輝かせていた。
2024年12月13日 08:00時点
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