桜の塔:脚本・武藤将吾×演出・田村直己 仮面ライダーで“正義”に向き合った2人の思い

連続ドラマ「桜の塔」第2話のワンシーン=テレビ朝日提供
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連続ドラマ「桜の塔」第2話のワンシーン=テレビ朝日提供

 俳優の玉木宏さん主演の連続ドラマ「桜の塔」(テレビ朝日系、木曜午後9時)。警視総監のイスに群がる男たちのパワーゲームを通して、“正義”や組織の内情を描く意欲作で、脚本を担当するのは、特撮ドラマ「仮面ライダービルド」や、「3年A組-今から皆さんは、人質です-」などで知られる武藤将吾さん。一方、演出を手掛けるのは、「仮面ライダーエグゼイド」や、「仮面ライダージオウ」の演出に携わってきた田村直己さんだ。「仮面ライダー」シリーズで“正義”についてとことん向き合ってきた2人に、「桜の塔」を通して伝えたいテーマを聞いた。

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 ◇“正義の象徴”警察を逆説的に描く ライダーファンもうなずく?

 武藤さんは、ドラマの脚本執筆のきっかけについて、「正義ってすごく曖昧で、もろいというか、人によって、見方によって正義のありかたが変わってくるじゃないですか。正義って何なんだろうって思ったときに、正義という“輪郭”がすごくはっきりしている警察という組織を、逆説的に描くということが、フィクションでやる意味があるなと思って」と明かす。

 重ねて「世間から見て、『正義ってこうだ』という点で最も象徴的な警察を、逆説的に描くということはすごくチャレンジする意味があった」と語る。「もともとは仮面ライダーという作品で伝えたい『正義』というものがあった。大人が見て『正義って一体何なんだろう?』ということを、問い詰めていったのが『桜の塔』。だから『正義』という言葉もドラマに出てくるし、人によって正義の価値観が違うということが、テーマになるのかなと思っています」と話した。

 一方、田村さんは「仮面ライダーのファンもこのドラマを見たら『あぁ、なるほど』と思うだろう」と話す。「だから子供にも(本作を)見てほしいなって。やっていることは(仮面ライダーと)似ている部分もあるので」と解説する。

 続けて「キャラクターは一癖も二癖もあるけど、いろんな形の正義を持った人が描かれているので、それが面白いのかなと。価値観が違う正義がいろいろ描かれている感じがする。仮面ライダーにもそういう大きなテーマがあって、撮りやすいのも、そういうことを(武藤さんが)考えられているのからなのかな」と分析。「ついついアクションシーンとか入れたくなっちゃいます」と笑顔で話す武藤さんは、「この番組は大人がメイン(ターゲット)なんですけど、子供にも見てほしいな」とアピールした。

 武藤さんは、そんな“一癖も二癖もあるキャラクター”たちについて、「第1話で見た印象と、かなりのキャラクターの印象が大きく変わってくるというか。『この人は、こういうキャラクターだろうな』と思っていた人が、実は違うという……。いろんな側面がある」と語る。「ほころびが出てきたりとか、野心がむき出しになってきたりとか。その変化を楽しんでいただきたいなと思います」と話した。

 ◇武藤脚本の良さは「全員に役割があること」

 田村さんは、タッグを組むことになった武藤さんの台本の良さについて、「全員に役割がある」ことを挙げる。「いかんなくみんなの個性を発揮できる話になっているので、それが一番武藤さんの脚本のすてきな部分かなと。“キャラクターが死なない”で、生き生きとちゃんと役割を持っている」と称賛。

 一方、武藤さんは、自身が手掛ける脚本作りで意識していることについて聞かれると、「考えながら物事を見るのではなく、没入していただくためにはどうしたらいいかは考えますね」と明かす。「A→B→Cの話の展開があるとしたら、Bを抜いちゃうことによって、間が縮まるじゃないですか。みんなが来るだろうなと思ったBがなくて、いきなりCが来ることで、みんな考えるのをやめるというか、一度作品に“身を委ねる”ようになる」と秘密を語った。

 田村さんは、“B”がない武藤脚本について、「役者と演出は大変なんですよ(笑い)。端折っているところもちゃんと考えなくてはいけないので」と告白。「大人の役者ですらびっくりするので、子供の役者とかは意味が分からなくてパニックになる(笑い)。武藤さんみたいな個性の強い人は、役者が大変だなと」と話す一方、「その分役者が得るものは大きいと思いますけどね」と語っていた。

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